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はじめのいっぽ

作者: 速水銀

怖い


真っ直ぐに伸びた一本の線

この線を越えた先には

知らない世界

僕と僕以外を切り離す

たった一本の線


怖い


この線を越えなければ

暖かい世界にいられる

何もない暖かい世界に

恐怖も変化も音もない暖かい世界に


それでも

それでも


この足を無理矢理持ち上げて

僕は

ぎゅっと目を閉じて

僕は


恐る恐る一歩を踏み出す


ほんの少し

線を越えただけでしかないけど

かかとが線に乗ってるけど

膝ががくがくいってるけど


それでも

それでも


僕には大事な

大事な


小さなはじめのいっぽなんだ

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