決闘③
ブックマークありがとうございます。
「ふんっ、逃げなかった事だけは褒めてやろう」
オルトさんは、そう言ってくる。
「それはどうも」
適当に返事を返す。
「ところで、お前に話したい事がある」
「何でしょうか?」
「ここにいる二人も追加でお前と決闘しようと思う。なぁに、ワイバーンを倒したお前ならいけるだろう?」
オルトさんは、僕を煽るように言ってくる。
「はぁ、いいですよ」
「!!」
「おい、坊主。見栄を張るんじゃねぇ」
「そうそう、止めときなって」
ニックさんとガランさんが僕を宥めてくる。
「ワイバーンを、倒したか倒してないかは別として俺ら三人を倒すのは無理だ」
「そうだって、引っ込みがつかないのなら俺らが何とかしてあげるからさ」
「心配してくれて、ありがとうございます。でも、大丈夫です。僕は強いですからね」
「っ!もう、知らないぞ坊主」
「そうだね。決闘では容赦しないからね」
「ええ、分かってます」
「馬鹿な奴め!これでお前は絶対に勝てないのだからな!その言葉を後悔するがいい!」
そう言いながら、去っていく。オルトさんは、どう聞いても悪役にしか思えないのだけど本当に騎士団の団長なのだろうか?
それから少しして、僕達四人の周りに障壁が張られる。何でも周りに被害を出さないための魔法らしい。
「もう、始めていいんですか?」
「ああ、いいぞ。ワイバーンを倒したなどの法螺を吹いたことを後悔しろっ!」
「坊主、本気で行くからな」
「俺も、本気でいくからねー」
そう言い、僕に向かって襲いかかってくる。オルトさんは剣でニックさんは空を駆けながら僕の後ろに回り込もうとしている。魔法だろうか?少し羨ましい。ガランさんはその見た目に相応しくデカイ長斧を構えてオルトさんの後ろに続いている。
僕は三人に攻撃する為に少し本気を出す。魔の山でよくやる行為、咆哮を。何故吼えるか、勿論吼えるだけでは意味が無いけどこれは自分がここにいると証明する為に。圧倒的支配者がここにいると。
「ガァァァァァァァァァ!」
僕は天に向けて吼えた。これに威圧を加えて。威圧と言ってもただ敵意を向けるだけどね。
ーーピシッピシピシピシ
少し強くやりすぎたかも知れない。僕を中心にして蜘蛛の巣状に亀裂が入った。
僕の咆哮に気を取られた隙を僕は見逃さない。僕は、ニック、オルト、ガランの順に仕留めていく。
まず、ニック。跳躍をしてニックの足を掴んでオルトに投げる。地面に着地すると素早くガランの背後に回り込み掌底を打つ。叫びながら。
「くーーー!」
ガランを掌底で飛ばしオルトに当てる。これで終わりだ。
「ちょ、お前ーーー」
オルトさんは何か言いかけながら二人に当たり気を失う。
「はい、どうもありがとうございました」
そんな皮肉を言いながら、僕はフレアお姉ちゃん達のところに向かう。