カーネント城
目がさめると、知らない天井が目に入ってきた。
「ここはーー」
体を起こすときに、今自分が寝ているベッドに気づく。すっごく、フカフカだ。自分が使っていたベッドがベッドではなかったみたいだ。肌触りもよく、いくらでも寝れそうだ。
ーーコンコン
「失礼します」
誰かがこの部屋に入ってきた。そちらの方を向くとメイドさんがいた。メイドさんは、黒を基調としたロングスカートを着ている。胸元から腰付近までに白いフリルが付いていて、頭にホワイトブリムをつけている。たぶん、男の人がメイドさんと思い浮かぶイメージ通りの格好だと思う。
「あのー?」
「お気づきになられたんですね、エシュー様。」
「えっ、なんで名前を。それより、様って」
「すいませんが、こちらのお召し物に着替えて下さい。では、着替え終えたらお呼び下さい」
メイドさんは、そう言い部屋から出る。
「ええー。着替えないと、ダメなのかな?」
僕は、渡された服に着替える。
(この服、凄く着心地がいいなぁ)
そんな事を思った。
「あのー、メイドさーん」
「はい、なんでしょうか?」
メイドさんは、声をかけるとドア越しに返答してくれた。
「着替えましたけど・・・」
「かしこまりました。では、部屋から出ていただいて私についてきてください」
「あ、はい。わかりました」
僕はメイドさんに言われた通りに行動する。
「あのー、ここはどこなんですか?」
「すいませんが、今はお答えできません。」
「ええー」
会話はすぐに終わった。それから、10分位歩くと大きい広間に出る。
「あちらの扉にお進み下さい。」
僕は、メイドさんに言われた通りに大きい扉に進んでいく。扉の前に立つと、扉付近に立っている兵士が扉を開けてくれる。
「どうぞ、お入りください」
「あ、ありがとうございます」
僕は扉の向こう側に進んでいく。すると、そこには煌びやかな景色が広がっていた。まず、僕が歩いてる場所にはレッドカーペットがあり、天井を見るとシャンデリアが下げられており、周りには騎士の鎧が並べられてある。けれど、くどいと言うわけではない。
「エシュー君、こちらまで」
「えっ?あ、はい」
僕は、椅子に座っている人の前まであるいた。
「そこで、止まってくれるかい?」
「わ、わかりました。あの〜それより、ここはどこなんですか?」
僕は目の前の人に尋ねる。
「ああ、まだ教えてもらってないんだね。ここは、カーネント国のカーネント城だよ。」
「えっ、じゃあ貴方は?」
「僕かい?僕はこの国カーネントの王様だよ。よろしくね、エシュー君」
「よ、よよろしくです、王様」
「そんなにかしこまらなくていいよ、エシュー君」
そんな事言われても、話し相手が王様だと畏ると思う。
「エシュー君が何故ここにいるのか説明しようか?」
「あ、お願いします」
「昨日の朝方にね、僕の騎士団員がカーネントに戻ってきたと思ったらね僕に言うんだよ。魔の山付近にワイバーンを倒した少年が石化竜と戦っているから助けてくれってね」
「それじゃあ」
「うん、その少年ことエシュー君を助けに行ったら君はそこで寝ていたんだよね。石化竜も周りにいなかったから、君を回収してここに連れてきたんだよ」
どうやら、疲れて眠っている間にカーネントに連れてきてもらったらしい。
「それは、ありがとうございます」
「いや、いいんだよ。ワイバーンから僕の騎士団の命を助けてもらったしね」
「まぁ、そんな話はこれ位にしてっと。エシュー君、お腹減ってないかい?」
「減ってますけど・・・」
「じゃあ、食事にしようか」
王様は、手を叩く。すると、大きい扉が開けられて料理と人がこの部屋に入ってきた。
「さぁ、エシュー君が目を覚ました事だしパーティーと行こうか」
メイドさん達はテキパキと動き、机を用意しその上に料理を並べていく。並べ終えると部屋から出て行った。すると、扉から沢山の人が入ってくる。
僕がその様子を眺めていると、王様がパーティーの開始を告げた。
「うん、人も揃ったようだね。それじゃあ、ワイバーンを倒し石化竜をも退けた小さな英雄エシューに乾杯!」
「「「乾杯!」」」