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プロローグ-クラウスの手記-
古都ローランには、多数の巨塔が存在する。
その巨塔がどのように作られ、いつから在ったのかは、もはや知る者はいない。
しかしまことしやかに囁かれるのは、"それ"は人の命を吸って今も成長しているとのことである。
ローランを訪れる者の多くは、塔を目指す探索者だ。
塔には財宝が眠り、日々移り変わる内部からは無限の富が湧きだしている。
俺もその財宝を狙う探索者の一人だ。
魔物や罠の危険をかいくぐり、日銭を稼いでは暮らす……
英雄でもなければ優れた騎士でもない、凡人だ。
だが、ある日を境に、俺は平凡から遠く離れた世界に身を置くことになった。
この手記をどこかの探索者、あるいは歴史家が読んでいるのだとしたら、
一つだけ心にとどめておいて欲しい。
「不死とは、それだけで人の身には余る力であることを」