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転/第八十話:(タイトル未定)
「“やりかた”もよく知らないのに、あんな勝負をふっかける! いやー、あんさんのその向こう見ずな気概、気に入りましたわ。あたしゃあ、あんさんの相棒さんに乗らせてもらいますよ!」
なんでだかちょいと和気あいあいふうに変質した雰囲気の中、“カウンター/勘定台”のおヒトに“遊び方/決まり事”を教えてもらい――ちょうど“それ”が終わったところで、肩をポンと軽く叩かれ、そんな言葉を投げられた。
不意のボディータッチにビクッと身震いしつつ、なにぞと意を向ける。
質のよさそうな着物に身を包んだ、恰幅のよい小柄なおっさんが、揉み手をしていた。
「頼んますよー。今日の遊び用の銭っ子すべて、ガツッとこの勝負に注ぎ込みますんで!」
ご利益がありそうな福の神っぽい笑みを浮かべながら、とんでもなく厄介なことを言うてくれる、このおっさん。
「初めてなので、どうなるかわからないですが……」
引きつらないよう努めて浮かべた愛想笑いで、
「ハハッ」
と、どうにか応じ、流れる所作で逃れるように移動する。