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戦場の狩人

作者: 4869

友人のリクエストに答えて勢いだけで書きました。はじめを読んでダメだと思った方はすぐに閉じてください。


彼は駆る。漆黒の闇の中を目的もなく駆る。ひたすら戦場を狩続ける。悲しい化け物の話。




滅びた地球から人類が移住してきてから約300年。ここは緑豊 かなそれはそれは美しい星だった。人々は小さな世界で幸 せに暮らしていた。しかし、突如としてその世界が崩れ去 った。100年戦争...。再び繰り返された大きな過ち...。そして僕は、僕は......。



「ひっ!た、た頼む!助けてくれ!」「ごめんね。貴方を助けると僕は失業しちゃうんだ。バイバイ」鈍く光る得物を一閃させるだけで目の前の『彼』は動かなくなった。どうして誰も僕と戦ってくれないんだろう...。困ったなぁ…つまらないじゃないか。まぁいっか。次の獲物はっと...通称平和維持軍第5班班長、アレンさんか。少しは手応ほしいね...


...悲しい化け物は夜の荒野を駆ける。ひたすら戦場を駆ける...


着いた。意外と遠かったけど、楽しみのほうが勝ってる。落ち着かない心臓の音が大きすぎてバレそう。これが終わって、契約者も消せば僕の痕跡は完全に消える。まずはそーっと近づく…『バサッッ!!』「っっ!」ちっ。感づかれていたか!?気づけば僕の喉元に冷たい感触が走っていた。「これはこれは。ようこそ。白龍さんよぉ。てめぇが来ねぇから待ちくたびれたぜ?」「お待たせしました。アレンさん。さぁ、死んでくださいっ!!」一度刃を交えそして飛びすさって距離をとる。僕の刀は長い、彼の刀は短い。懐に飛び込まれたらおしまいだ。彼は僕を楽しませてくれそうだね。身体中の血が騒ぐ。『闘え。血の運命に逆らうな。闘え。』まるでそう言われてるように僕の暗殺者としての血が騒ぐ。「おいおい。瞳孔開いてんぞ。アブなかっしい...っと

ぁ」まただ。なぜ避けられる。「僕の攻撃を避けるなんて凄いですよ。避けないで僕と遊んだん下さい!」『キンッッ!!!』刀を交えては後ろに飛びさする。床を強く蹴って上から刀を振り下ろす。何度も何度も繰り返し響く冷たい金属音。軽快に同じリズムで刻まれる金属音が心地いい。こここそ僕の生きる場所。僕の存在意義。僕の生き甲斐。ただただ愉しくて仕方がない。少しでも気を抜けば殺される。この緊張感がたまらない。狂気の血に従い僕は踊る。白刃をきらめかせ死の舞を舞う。「アレンさん。そろそろ死んでもいいですよ。遊んでくれてありがとうございました」高く跳躍し刀を力一杯降り下ろす。受け止められることは確実。だから横から気配を消した短刀を繰り出す。動物の肉に刀がのめり込む感覚が伝わってくる。思わず笑顔がもれる。フラりとアレンさんの体が傾く。勝ったと思った。「強いなお前惚れ惚れするぜ。だが甘めぇ。青いぜ。可愛いな」気づいたときには既に彼に急所を捕えられていた。僕より早い。背中を嫌な汗が伝っていく。「ハッ。お前とはくぐってきた修羅場が違ぇんだよ。場数もな。年の功ってやつか?」ふと僕を押さえつけていた手が緩んだ。その隙を見逃さず飛び起き、袖に仕込んであった短刀を取り出す。アレンさんは一瞬僕を見て大きな溜め息をついた。「はぁぁぁ......お前なぁ......せっかく助けてやろうと思ったのに...死にてぇのかよ」この男は何を言っているんだ。死にたいだって?そんな価値観は僕にはないんだ。「ぷっ。あっはははははは」「なにがそんなに可笑しい?」「アレンさん。あのね、僕には死ぬとか生きるとかそんな価値観はとうに無いんだよ。戦場の狩人白龍だよ?笑わせないで...」言い終わる前に僕の頬に強い痛みを感じたと思った次の瞬間地面に叩きつけられていた。「っ!てめぇ。ふざけんなよっ!」どうやら彼に殴られたらしい。体が宙に浮かぶ。「価値観だ何だとそんな問題じゃねぇんだよ!てめぇが死んだら悲しむやつだっているだろう!?」いない。そんな人はいない。この戦場で僕の大切な人は全て僕を置いて消えていった。儚くて脆い。自分の手から霧のようにつかめど消えてしまうなら、それで僕が傷つくのなら、傷つかないように大切なモノは作らなければいい。人間らしい心は全て捨てたはずなのに...なぜ......「何で...」「何だよ!おい!!なんとか言え!」なぜ今更そんなことを聞くんだ。「何でそんなことを聞くんですか、アレンさん。貴方には関係無い!!!僕はそうやって生きていかなければいけないんだ!全て...とうの昔に捨てたんだ!!!」「なら!何で泣くんだ?」気付けば頬に熱いものが感じられた。「泣いてなんかいません。放してください!」振り切って窓まで走る。「おい!」アレンさんの呼び止める声も無視して窓から飛び出し闇夜に溶け込む。走って走って走って走って.........さっきの出来事を頭から振り払うように走った。ふと顔を上げると雇い主の家まで戻ってきていた。このまま戻れば確実に口封じに殺されるだろう。何せ失敗した上に顔を見られている。いや。もう回りには雇い主の手下の暗殺者どもが僕の回りを囲っている。「お出迎えご苦労様。パーティーでも?僕も混ぜてくれるかな?」すると暗がりから「君が主役だよ。劉晋。さようならパーティーだ」言うが早いか一気に5人に襲いかかられる。僕の足元にも及ばない癖に。笑っちゃうよ。「ありがとう。でも僕は死ぬわけにはいかないかな。さようならは君たちだよ。」白刃が舞う。白龍の異名をとる僕の白い髪と刀が月に煌めいて舞う。相手の気配を読んで一歩先に一振り。一振りする度に赤い錆びた匂いが辺りに立ち込める。刃を交える事もなく相手は消えていく。僕は動いていないのにあっという間に辺りは曼珠沙華のように真っ赤に染まった。「き、貴様。なぜ笑う?」なぜ?そんなの...「これが僕のルールだから」そう。殺す相手には最高の笑顔を送る。僕が決めたルール。でも今日は最高の笑顔を送ってあげられなかった。人間らしい心は捨てたはずなのにアレンさんの一言で自分に迷いが出来てしまったからだと思う。

しばらくたって僕はもう一度アレンさんの元へ行くことにした。殺すつもりはない。その必要もないしね。夜中になってからこっそり忍び込むと彼はいた。「よぉ。来ると思ってたぜ。始めてだろ?負けたのは。」凄く嬉しそうに言う様子が少し癪にさわる。「ええ。でも今日は戦うつもりはありません。僕が死んだら悲しむ人がいるっておっしゃりましたよね?」「あぁ。違うのか?」「いませんよ。そんな人は。みんな死にました。この戦いがなければ生きていたのに!!!僕らを殺したのはあなた方だ!なぜこの戦いを止められない!?僕は...僕はっ!...」「すまない」「っ!?」いきなり謝られて驚いた。それよりもっと僕にこんな感情が、捨てたはずのものが残っていたことに驚いた。「お前...辛かったんだな…」辛い?そんなはず...「いく宛もどうせねぇんだろ?ここに居ろ。その腕前買ってやる」「!?」この人はいきなり何を言うんだ。「そうしろ。お前みてぇなやつはここに沢山いるしな。人間を捨てるな。お前は戦場の化け物じゃねぇよ。れっきとした人間だ」涙が溢れてとまらなかった。


殺す標的だったはずのアレンさん。彼のおかげで僕は今ここにいる。ハインリヒと伊織という騒がしい後輩もいる。これから僕はここで人間になっていくつもりだ。

読んでいただきありがとうございました!

また続きがでると思うので、良ければ読んでください!

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