第0話:終末の世界
王道で行きます。
ボクは顔を布で隠してひたすら当てもなく歩いている。
朽ちることのない身体と尽きることのない無限の力を持ったボクは移り変わっていく世界を転々としていた。
世界は魔法の力が失われていく代わりに科学の力が支配し、人々に便利な生活を与えていた。
様々な便利な道具が人の一部となって世界は発展していったんだ。
だけど、今はその全てが夢幻のように消えてしまった。
空気は気持ち悪いように生暖かく、風は砂が混じったような濁った空気を運んでいる。
足の裏に感じるのは生命の息吹を感じない砂と岩の感触。
聞こえてくるのは寂しい風の音と僅かな呻き声だけ。
世界は死にかけていた。
大規模な戦争が起こり、恐ろしい兵器によって自然が壊れ、沢山の人が死んでしまったんだ。
昔のように笑い声が聞こえなくなり、瑞々しい自然の息吹が感じられなくなってしまった。
ボクは見えない目で空を見上げていく。
いったい何回世界を歩き回っていったんだろう。
世界を回る度に違う空気を味わい、色んな人に出会ってきた。
親切な人がいた。
酷い人もいた。
優しい人もいた。
憎たらしい人もいた。
だけど、全てがボクにとって掛け替えのない出会いだった。
ボクは彼らとの思い出を胸に抱いて今日も生きていく。
マイペースに書きます。