第86話
諸々の事後処理が終わった。
無事にマハリクさんが『2人目』をプレイできるようになり、『何でも屋』もアウトローモード終結宣言をし、スリアドの町に平和が戻った。
で。
また日を跨いで、改めてスリアドは『何でも屋』社屋フロアに集合した。大集合すぎて11人も集まっている。
俺達が2人ずつで計6人、マハリクさん達で5人だ。
記念パーティーでもしようかと集まってみたが、やり過ぎたかもしれん。
「さすがにちょっと窮屈ね」
「全員集合してるからなぁ」
靴下の搾り汁の入ってない普通のお茶を飲みつつ、一息。
さて、いよいよマハリクさんの『2人目』プレイ開始だ。
既に『2人目』を解放済みの我々は、ニヤニヤと眺めて見守るのだ。
ふぉっふぉっふぉ、お主も来るが良い、このステージに……!
「とりあえず、『2人目』は最初のシナリオ選択のように選択肢から選ぶ形で、かつ選択もプレイヤー共有で早い者勝ちですぉ」
「1人目の時と同じってわけね……選ぶだけ先に選んどこうかしら」
「一つ注意しておくと、『2人目』をクリアするか失敗するまで『1人目』に戻ってこれませんぉ」
「……うん、それはWikiにも載ってた情報ね」
「載せたのボクですぉ」
「情報提供ありがたいわ」
「ちなみにもう一つ驚きのことがあるぉ……けどこれはネタバレになるかもしれないので秘密ですぉ」
「ふふっ、楽しみね……! ゲーム性も違うものになるのよね?」
「ですぉ」
うむうむ。マハリクさんが一体どういう2人目にするのか楽しみである。
「私が不在の間は任せるわよイチ」
「はい! お任せください、きちんと会社を大きくしておきます!」
「いいえ? 現状維持でお願いね。大きくするのは私がやりたいから」
「はい! 差し出がましい申し出でした! 業務了解しました!」
よかった、イチちゃんが勝手にアウトローモードに走ることも無さそうで。
またスリアドの危機を救うようなミッションが発生したらあれだからな。
とはいえ、俺達からみてマハリクさんが何分で戻ってくるかである。
「それじゃ、行ってくるわね! えーっと、戦闘系っぽいこのシナリオにしようかしら」
パシュン、とマハリクさんが消えた。
……マハリクさんはなんで消えるの? もしかして俺達とは違って本当に実体のない精霊……? と思っていたら、なんかイチちゃんの光輪が豪華になっていることに気が付いた。
先ほどまでマハリクさんの後頭部に浮いていた光輪である。
「な、なんでしょうか? 私の頭の上になにか?」
「……これはどういうことっすかね?」
「実はイチちゃんが本体だったってことか?」
「じゃあマハリクさんは……実体のある幽霊だった?」
俺達と違って消えてたのも、そういう事なら納得だね。
マハリクさんは本来実態がない、幽霊のような存在。つまり、イチちゃんに憑りついているガチ精霊ってことで。
……他の社員のだれかでも良いのかもしれないな。今日は全員、つまり数字っ子が全員揃っているし。
まぁ、分体には光輪つかないミーティちゃんのようなもんかな。
「さーて、それじゃイチちゃん達。マハリクさんのお帰りパーティーの準備しようか」
「飾り付けとかしちゃうかぉ? 紙の鎖のやつとかで」
「成功するか、失敗するか……どっちっすかねぇ? まぁマハリク氏なら成功すると思うっすけど」
「え? 今出立されたばかりですけど」
「まってイチ! マハリク様なら、社長ならすぐ世界を救って帰ってこれる!」
「とりあえず私達も準備を手伝う?」
「インベントリを使えば料理も無駄にならないと思うし、先に準備だけしておくのはアリだとおもう」
こうしてパーティーの準備が始まった。
お、ペンペンステーキ焼くの? お肉焼くくらいならミーティちゃんも手伝えるから、ケーキも焼いて欲しいなー。
……しかし、俺達の予想に反してマハリクさんは2時間経っても戻ってこなかった。
そう、そういやマハリクさんは俺達とは色々時間の流れが違うんだったのである!
なにせ俺達は全員制限解除コードのおかげで時間が10倍速になっている。ならマハリクさんが1時間で帰ってくるとしても、10時間先だったのである!
イチちゃん達には変に期待させちゃったなぁと思いつつ、一旦解散し、また夜に集合することになった。
マハリクさんの2人目、どういう子なのかなぁ。戦闘系シナリオっぽい事言ってたから切り込み隊長になる子だと思うけど。




