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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
99/262

第83話『俺、電車という名の戦場』

いつも読んでくださって本当にありがとうございます!


なろうではコメント欄がちょっと静かめですが、

感想じゃなくても「日常のこと」「アニメの話」「つぶやき」など、

どんな話題でも気軽にコメントしてもらえたら嬉しいです。


いただいたコメントには、ヒロインズや潤が反応することもあります(笑)

一緒に作品の外でも、ちょっとした会話を楽しめたら嬉しいです!








満員電車の中、吊り革につかまるミリーが揺れに合わせてぴょこぴょこ身体を弾ませてる。


「うわぁ……ぎゅうぎゅう詰めだよ〜。じゅんくん、ミリー、潰れちゃいそう〜」


「おい、あんま跳ねんな。俺の肘が宙に浮いてるからマジで体幹勝負なんだけど」


身動きも取れない車内。そんな中、突然響くやかましい男の声。


『でさ〜、ほんっと上司がクソでさぁ〜……そうそう、マジでありえねーって!』


電話だ。しかも、声デカすぎだろ。


周囲の視線もガン無視で、まるで自分の部屋か何かみたいに喋り続ける。


すると、その男に勇気あるサラリーマンが一言。


「君、ここは電車だ。通話は控えなさい。迷惑だよ」


正論。100点。俺の中で拍手鳴った。


でも、男は鼻で笑ってこう言い放った。


「は? おっさんの加齢臭のほうが迷惑だっつーの」


おい。


あまりの暴言に、注意したおじさんは顔を真っ赤にして俯くしかなかった。


それを見ていたミリーが、ぽつりと呟く。


「……おじさん、正しいこと言ってたのに……可哀想なの」


小さく、でも確かな怒りがその声に混じっていた。


男はそのまま電話を続行。


『マジで変なおっさんに絡まれたわ〜、ほんと最悪〜。でさー』


その時だった。


「ぎゃああ……!」


赤ん坊の泣き声が車内に響く。


驚いたミリーが目をぱちくり。


赤ちゃんをあやす母親は、周囲にぺこぺこと頭を下げて申し訳なさそうにしている。


だが──男は舌打ちとともに怒鳴った。


「たくっ! うるせーな! 電車で子供泣かせんなよ! 常識ねーのかよ!」


……いや、お前が言うな。


多分今、この電車に乗ってる全員が心の中で同時につっこんだ。


『お前が言うんかーい!』って。


ミリーは怒りのこもった目で男を見つめ、ギュッと拳を握りしめて一歩前に出た。


「常識がないのは、あなただもんっ!」


小さな体から出たその声は、静かな車内を切り裂いた。


周囲の乗客たちが、はっとしたようにミリーを見る。誰もが「よく言った」と顔に書いていた。


だが──男は、にやりと笑って言い返す。


「はあ? 常識語ってくんの? 何様? ここ、お前ん家じゃねーんだけどー?」


いや、それもお前が言うな。


つい俺も耐えきれず、口から突っ込みがこぼれた。


「お前が言うんかーい! そのブーメラン、でかすぎて回収不可能だからな!? むしろ武器じゃんもう!」


それが決定打だったのか、男の視線がピクリと俺に向く。


「てめぇ、さっきからなんなんだよ?」


その瞬間──

俺はスキルを発動した。



◆スキル発動◆

《威圧(Lv4)》


「……睨む!」


俺は全力で男を睨みつけた。


すると──隣からミリーの声が飛んできた。


「じゅんくん……なんか顔、ひょっとこみたいになってるのー……?」


「ひょっとこォォ!?」


マジか、俺の真剣な表情、笑い取れてたんか。


でも、男はその威圧感──もといひょっとこフェイスに気圧されたらしく、次の駅に着くや否やドアが開いた瞬間、逃げるように電車を降りていった。


「……ふぅ。なんとかなったわ……」


安堵したその時、さっきのおじさんが下車しながらこちらを見て、軽く会釈してくれた。


「ありがとう。君みたいな若い人がいて助かったよ。……ただ、あの表情は……いや、なんでもない。ありがとうね!」


最後、ちょっとだけ口元が引きつってたのが気になる。


俺はミリーに訊ねる。


「俺の顔……そんなひどかった?」


ミリーは首をかしげながら、もごもごと口ごもった。


「うーん……ミ、ミリーわかんなーいっ!」


濁したッ!


今、明確に濁されたッ!!


恐るべし……俺の睨み顔……。


車内にじわりと静けさが戻ってくる。

あれだけ騒がしかったのに、今はやけに静かで……どこか、ホッとする空気。


「……ふぅ。やっと終わったか」


思わず口から漏れた溜息を飲み込むと、俺の袖が引っぱられた。


振り返ると、ミリーが見上げてる。

ちょっと照れたように、でも迷いなく、言った。


「じゅんくん、かっこよかったの」


小さな声。でもまっすぐすぎて、こっちの心臓が変な跳ね方する。


「いや、ひょっとこフェイスで威圧かけただけなんだが……」


「でも、守ったもん。ミリー、ちゃんと見てたよ?」


そう言ってニコッと笑う。


不意打ちかよ。

さっきまでの満員電車のストレスが、一瞬で吹き飛ぶくらいの破壊力。


──と、その時だった。

次の駅に着いて、ドアが開く。


新しい乗客たちがどっと雪崩れ込み、流れの中で異物感のある影が一つ。

大きなバックパックを背負い、前にも荷物を抱えた男。


しかも両肩にはポーチ類。まるで現代の装備兵がそのまま乗車してきたような姿。


「……おい、マジか。帰宅ラッシュにガチ装備で来るなよ……」


男は空いていた座席に腰を下ろすと、無言で左右の荷物を展開。

当然のように、3席ぶんを堂々と占拠。


「いやいやいや……それ、車内で“ソロキャンプ”始まってんだけど?」


隣でミリーが、じっとその様子を見てる。

珍しく、眉を少しだけひそめていた。


「……あれじゃ、誰も座れないの」


「でも誰も言えないんだよ。もうみんな、今日の言葉ポイント使い切ってんの」


疲れてるのだ。全員が。


静まり返った車内。けど、今度の“静けさ”は質が違う。

明確に「諦め」混じりの、見て見ぬふり。


──でも、ミリーは違った。


ぐっと背筋を伸ばし、小さな声で、でもはっきり言った。


「すみません……それ、ちょっと邪魔です」


フルアーマー男が顔を上げる。


「……は? 邪魔って誰に?」


その返しに、一瞬だけ場の空気がまた固まる。


けど、ミリーは迷わず言った。


「ミリーに、です」


柔らかく、でもまっすぐに。


空気が、少し揺れた。


まわりの誰かが、思わずクスッと笑うのが聞こえた。


男はバツが悪そうに視線を逸らし、膝の上に荷物を移動させる。

解放される、3席ぶんのスペース。


その直後、年配の男性が静かに座り、ミリーに軽く頭を下げた。


ミリーもぺこっと丁寧に会釈する。


「どうぞ、座ってください」


その声が、妙にあたたかくて。

不思議と、少しだけ車内の空気が柔らかくなった。


「……なあミリー。お前、今めちゃくちゃ強かったぞ」


「えへへ。ミリー、戦った?」


「うん。スキル名で言うと……《無邪気な圧力》だな。多分ランクS級」


「じゃあじゅんくんは、《ひょっとこフェイスLv.4》なの?」


「それはそろそろ忘れろや!!!」


「ふふっ、忘れられないのー」


俺が思わずツッコんだそのタイミングで、電車がまた軽く揺れる。


ふとミリーが、俺の肩にもたれながらぽそっと呟いた。


「……今日、いっぱい色んなことあったけどね」


「うん?」


「でも、じゅんくんが隣にいるから、怖くなかったの。

ミリー、帰り道が好きだよ」


その声はとても小さくて、でも耳の奥に残るくらい、ちゃんと響いた。


窓の外はすっかり夜。

だけど隣には、ぴたっとくっついてる誰かがいる。


それだけで、今日という一日も……なんとなく、悪くなかったと思えた。




【あとがき小話:読たん、爆誕】


作者『……俺の話、していい?』


潤『いらん。』


作者『えっ、ほんとに? だって読たんが──』


潤『……待て。なんだよ“読たん”って。』


作者『読者に“たん”をつけるとかわいくなるんだよ。

例えば──

「読たん、今日も読みに来てくれてありがとねぇ〜?」

って言われたらどう?嬉しくない?』


潤『気持ち悪ッ!!誰得だよその甘ボイス!!』


作者『じゃあさ、名前に“たん”をつけていくと何でも可愛くなる説ってあるじゃん?』


潤『聞いたことねぇよ。てかお前どこの界隈で暮らしてんの?』


作者『潤たん。』


潤『やめろ(即死)』


作者『ノアたん、ミリーたん、ユズたん、カエたん、リアたん──』


潤『おい本編に火つけんな!!作者消されるぞ!!!』


作者『俺たん──』


潤『誰にも呼ばれてねぇんだよそれだけは!!!』


──こうしてあとがきに誕生した“読たん”。

これが物語のターニングポイントになる……わけがない。


 


作者:pyoco(読たん、いつもありがとう。君がいないと潤も俺も秒で心折れます)

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