第74話『俺、武術に目覚める』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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帰り道、駅の改札を出た瞬間、目の前にリアがいた。
黒いスーツに黒の髪。通行人とは明らかに違う、冷えた視線。
なのに、俺を見つけた途端──ため息混じりに、眉をひそめた。
「……リア? こんなとこで何して──」
「何してじゃありません。あなた、何もわかってないんですね」
「え、なにが?」
その一言で、リアの口調が一段階冷たくなった。
「あなたは、人の生死を消耗品のように扱う連中と争っているんですよ?」
「う、うん……まぁ、うん」
「正面からメディアを叩いたんです。情報操作ではなく実名と映像で晒した。──追い詰められた彼らが次に何をするか、わかりますか?」
一拍、置く。
「実力行使です」
(うわ……それ、マジなやつだ)
「今日はこのまま、自宅には戻らないでください。会社の方へお送りします。今後の動き次第では、数日間そこに待機です」
「……わかった。でも、会社の人たちは?」
「既に配置済みです。あなたの会社の警備担当社員が、周囲を警護しています」
「え? うちの社員が? いやそれ大丈夫? プロの警備とかに頼んだ方が──」
リアが、盛大に溜息をついた。
「……あなた、本当に自分の会社のこと、何も知らないんですね?」
「え、えっ?」
「あなたの武勇伝と奇行は、なぜかネットでバズっています。そこに集まったのは腕に覚えがある者限定の噂に惹かれた人材──」
リアは指を折りながら淡々と続けた。
「元軍人、地下闘技場出身、元暴走族、喧嘩上等の喫茶店店主、空手五段の警備員、あと何故かドーベルマンに腕を噛まれながら笑ってた人……」
「最後のやつ何!?」
「──強いというより、強い以外に道がなかった人たちです。腕っぷしは、下手なプロよりよほど信用できます」
(何その採用基準……こっわ)
「……ま、まぁ、俺の仲間が強いのは……いいこと、か?」
「いいことです。あなたが無知でも、彼らは本気ですから」
そうして俺とリアは、駅前でタクシーを拾った。
夜道を滑る車の窓の外、遠ざかる駅の明かりを見ながら、俺はふと聞いた。
「リア。正直、今どれくらいやばいと思ってる?」
「今ですか? そうですね──」
リアは小さく息を吐く。
「あなたの存在そのものを抹消したいと思ってる相手が、実際に動き始めた段階です。
私の評価では、現時点で殺されても文句は言えないランクですね」
「ランク制なの!?」
「もう一度言いますが、自宅には絶対に戻らないでください。会社には裏口から入ります」
「裏口……?」
タクシーがゆっくりとブレーキを踏んだ。
着いた先は、錆びついたシャッターの前。
人気のない倉庫の中でも、特に誰も来ないタイプの場所だった。
「ちょ、ちょっとこの場所──」
「はい降りてー。お二人さん、お迎え来てるからよ」
運転手がドアを開けた瞬間、
──黒い影が、車の周囲を囲んだ。
サングラス。金歯。和彫り。スーツ。
明らかに、うちの社員じゃねぇ。
「……リア、これ……」
「……誘拐です。間違いなく」
「潤くんだな?」
最前に立つ男が、ガラの悪い声でニヤけた。
「こっちは会社のもんじゃねぇよ? ちょっと付き合ってもらおうか。
あー、女の方は……まぁオマケだ。変な真似しなきゃ何もしねぇ」
「リア──!」
「動かないで。今ここで暴れても、勝ち目はありません」
リアの肩を掴む男に、冷たい視線を投げながら、俺は歯を食いしばった。
このままじゃ、マズい──!
「さ、こっちだ。黙って歩け、潤様よォ?」
そう言って、俺の背中をグイッと押す。
そのまま、薄暗い倉庫のシャッターが開いた──
俺とリアは、罠にハマったのだった。
倉庫の中は、コンクリと鉄骨の匂いが漂っていた。
裸電球の下、鉄の台車と油の染みた床。そして──
俺とリアを取り囲む、数人のヤクザ風スーツ男たち。
「よぉ、潤様。大事なもん持ってねぇか、確認させてもらうぜ」
そう言うなり、俺の胸ぐらを掴んだ男が、遠慮ゼロでポケットを探り始める。
「ちょ、やめ──って! 背中触るな! そこ汗たまるゾーンだから!」
「うわ、なんだこれ……ミートソースついてんじゃねーか……汚っ!」
……っミリーだ! 今日パスタ食った後に抱きついてきたんだ! あいつ口拭いてなかったのかよ!
さらに別のヤツが、俺のジャケットの内側やズボンの裾まで入念にチェックし──
「お、お頭! こいつ、服のあちこちから発信機出てきやす!」
「はあ!? 発信機ぃ? 壊しとけそんなもん」
「そ、それがですね……こいつ、17個も付けてやす!」
「……は?」
「じゅ、17!?」
お頭の顔が一瞬引きつった。
いや、俺も驚いてんだよ!?
てか、1個でも十分引くのに、17ってどういうこと!?
どこにそんなに付いてた!? 靴の中!? ボタン!? 臍の奥!?
「ノアが10個? ユズハ、エンリ、ミリー、カエデか……!?
てかお前ら盗聴って概念と恋愛ごっちゃにしてない!? これ愛じゃなくて監視だよね!?」
「……私もひとつ付けてるわ」
「リアさんもぉ!?」
「あなたがどこでどう死ぬかわからないから、仕方なかったのよ」
「いや、その理由カッコいいっぽく言ってるけど、結局GPSだよね!? プライベートって知ってる!?」
ヤクザ一同、しばし沈黙。
ようやく口を開いたお頭が、ジト目で俺を見下ろす。
「……オメェら、状況わかってんのか?」
そうだった。
いま俺、敵地の真ん中で、拘束されてる。
となりのリアは、背後から腕を押さえられている。
敵の数は……最低でも8。全員屈強。
そして──
「おー彼が潤くん? いやー初めまして。俺、ノアの恋人やってます、リョウヤです」
出やがった。
ふざけた笑顔。芝居がかった声。
それでいて、瞳の奥は冷たく濁ってる──クズの典型。
「いや~、ほんっと探したんだよ?
ノアちゃん、あんまり潤様潤様うるさいからさ。
顔も名前も出してきたし? おまけに報道までぶち壊してくれてさ──さすがにムカついたわけ」
軽く肩をすくめて笑うリョウヤ。
その軽薄さが、逆に本物の怖さを際立たせていた。
「でもさ、ノアちゃんが悪いんだよ。
潤様がカッコよくて、潤様が助けてくれて、潤様が世界で一番……──とか。
お前、俺の前で元カレ語りすんなよって話じゃん?」
手をひと振りする。
その合図とともに、奥の扉が開いた。
──ノアが、縛られたまま引きずられてくる。
口には布。手足はしっかり縛られ、立つことすら困難な状態。
でもその瞳だけが、俺を見て──震えていた。
声が出せないまま、目だけで何かを伝えようとしている。
助けを? 謝罪を? それとも──ただ、俺の名前を?
リョウヤは、ノアの様子には一切目もくれず、俺の方へと歩み寄る。
「ねぇ潤くん。キミ、さ……どんな気分?
自分の女が、知らない男に抱かれそうになってんの、目の前で見るのって。
──あ、まだヤってないよ? ちゃんと取っといてあるから。
潤様って呟かなくなるまで、待ってんだよ。俺、健気でしょ?」
笑ってる。
軽く、楽しげに──まるでこれが、恋愛ごっこでもしてるかのように。
「でもね? その気持ちもそろそろ限界。
正直言うとさ、イラついてんだよ。
潤様が潤様がって、脳内全部お前じゃん?
マジでムカつくの。ムカつくのに、俺には逆らえない顔してるの、マジで興奮するんだよね」
一歩、俺に近づいてくる。
「だからさ、決めた。
目の前で潤様ボッコボコにしてやって、
その後、ノアちゃんに選ばせるわけ。
どっちが上か、体で教えてやるから」
──その瞬間、喉の奥で何かが爆ぜた。
口の中に、鉄の味が広がる。
自分でも気づかないうちに、歯を食いしばっていたらしい。
舌の端を噛み切っていた。
(ああ……これが怒りか)
熱じゃない。衝動でもない。
もっと底の深い場所から──静かに、冷たく煮えたぎってる感情。
「──力が、欲しい」
俺の手が、勝手に動いていた。
ウインドウが、目の前に現れる。
【才能奪取】
対象選択モードに入ります。
周囲の男たちをスキャン。
ひときわ異質な強さを持つ男──群れの奥、黙ってこちらを睨んでいた。
【奪取対象:立川ジョー】
・悪事:強盗/殺人/暴行/恐喝
・スキル一覧:威圧(Lv7)/捜査遮断(Lv4)/格闘(Lv8)/支配(Lv5)/筋力成長(Lv7)
【あなたの中に強い悪意(他者に対する明確な殺意)を検知しました】
この対象から、1つスキルを奪取しますか?
〔YES〕/〔NO〕
迷わず、俺は──
〔YES〕
選んだのは、《格闘(Lv8)》。
【あとがき小話:キュピキュピ☆魔法少女ヒロインズ!】
──ある日、突然のあとがき──
ミリー『はーいっ!
魔法少女イエローミリー!笑顔で世界をぴょこぴょこ平和にしちゃうよーっ!!』
潤『……え、なに始まってんの?』
ミリー『へへっ、今日は“魔法少女あとがき”なのっ♪
だからみんな、順番にキュピキュピ自己紹介いっくよーっ!』
──強制変身の光がほかヒロインズを包む──
ユズハ『魔法少女ピンクユズハっ☆
いたずらビームで先輩のハート、撃ち抜いちゃいますぅ~♪』
カエデ『魔法少女レッドカエデやで~!
ご主人様の愛を守るため、ウチがぎゅぅぅ~って敵を倒すでぇ~♪』
ノア『……魔法少女ホワイトノア。
潤様を独り占めにするため、世界の常識すら捻じ曲げます。よろしくお願いします』
エンリ『魔法少女パープルエンリです。
ふふっ、穏やかに、包み込んで……でも怒ったら、お・し・お・きです♪』
──そして──
潤『……あれ?リアは?』
リア『…………』
潤『あれ、どうした──』
リア『……ま、魔法少女……ブルー……リア。
冷静と知性のプリズムビームで……この世界を分析します……キュピ……キュピ……』
潤『リアが!リアが顔真っ赤!!キュピキュピ言った瞬間口元震えてたぞ!!』
ユズハ『リア先輩、耐久力の高いAIみたいな顔してフリーズしてましたよぉ~』
カエデ『うわ~レアやわ~。顔から湯気出とるでぇ』
ミリー『うぴょーっ!リアちゃん照れてるのっ!ミリー大勝利っ!』
リア『記録しないでください……このデータは破棄を……』
作者:pyoco(魔法少女リア、次回から拒否権申請予定)