第69話『俺、裏切りの連鎖を掘り起こす』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。
書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!
ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!
感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!
.
「なるほど……“アーク・ヴィジュアルスタジオ”が現場の実行役か」
潤がモニターを睨みながら呟いた。
その背後で、カエデが腕を組んで立っていた。
「潤くん。ウチ、ちょっとだけ広告業界にパイプあんねん。
この“アーク”、名前だけで動いてるペーパーカンパニーやないか、ちょっと調べてみるわ」
「助かる」
カエデはスマホを手に取ると、そのまま部屋を出ていった。
一方、ユズハはソファに寝転びながら、スマホをいじっている。
「せんぱい、週刊真春のライターさんに心当たりあるかもですよー。
あの人、昔はアイドル担当だったのに、急に政治モノに回されてから尖ってるって噂でー」
「政治……やっぱ上からか」
「んふふ。芸能スクープって、見えるとこより裏の“圧”が本体なんですよねー」
ミリーはノートPCを膝に乗せて、タッチパッドをトントン叩いていた。
「じゅんくん、ここのスタジオ……うちのお友達がバラエティのロケで使ってたとこなの!
聞いてみるから、現場で誰がいたか分かるかも!」
「ありがとな、ミリー」
エンリは資料ファイルを広げ、契約関係の公文書を確認していた。
「潤さん。この“アーク”は三景新聞社からの制作委託を複数受けています。
そして同時に、朝都テレビとTBTへの番組提供履歴も確認できました」
「……完全に、メディア横断の流通ラインだな」
エンリは頷いた。
「はい。しかも、その委託費が“実費”以上に高額である点も問題です。
おそらく広告代理店を経由した“名義上の送金”により、実態を隠蔽しています」
潤は唇を噛みしめた。
「つまり、リョウヤを使ってノアをハメた記事は、“三景新聞の名で出されたけど、中身は朝都テレビ主導”みたいな、そういう連携があるってことか」
「ええ。法的にはギリギリ。ですが、倫理的には完全にアウトです」
ユズハが再び割り込んでくる。
「ていうか、この『日本放送全連合会』ってワード、聞いたことありませんー?」
「何それ」
「新聞・テレビ・芸能プロ・広告代理店が年一で非公開に集まる“情報連携会議”ですー。
表向きは“報道価値の統一”とか言ってるけど、裏じゃ癒着と統制の温床って噂」
リアが部屋の隅でそれを聞き、静かに言った。
「……日本放送全連合会。確かに、警察内部の非公開通達でも、扱いは“慎重に扱え”とありました」
潤は顔をしかめた。
「警察も手ぇ出せないってことか」
リアは頷いた。
「ええ。というより、“触れるな”という空気があるのです。
情報の正当性を盾にされた時、警察は動けません。表現の自由は極めて強い権利ですから」
ミリーが顔を上げ、寂しげな目で潤を見る。
「……じゃあ、ノアちゃんのこと、誰も守れないの?」
潤は拳を握りしめた。
「守る。俺たちでやるしかない」
カエデが戻ってきて、スマホをこちらに掲げた。
「出たで。アークの代表、名義上は別人やけど、過去に“矢崎美也”って名前と同一人物疑惑あったらしいわ」
「……矢崎」
リアが目を細める。
「その名、聞いたことがあります。確かレグルスホールディングスの顧問秘書。
警察でも情報が非常に限られており、裏のパイプ役とも噂されている人物です」
潤は天井を見上げ、深く息を吐いた。
「ノアを潰して、記者を使って、世論を操って……その裏で、こんなにも連中が結託してたなんてな」
リアが静かに言う。
「潤。ここから先は、あなたたちの手に負える相手ではありません」
その場の空気が張り詰めた。
ユズハが先に言った。
「だから何? 先輩が止まって、それでノアさんが報われるんですかぁ?」
カエデが睨みをきかせる。
「ウチら、潤くんに付いて来たんや。
ここで引き下がるなんて、絶対イヤやで」
ミリーも潤の手をそっと握る。
「じゅんくんが止まらないなら……みりーも、ずっと一緒にいるよ?」
エンリはリアの隣に立ち、穏やかな笑みを浮かべる。
「リアさん。あなたがどんな想いで正義を守ってきたのか、私は少し分かる気がします。
でも、潤さんがその正義を“信じる強さ”をくれたなら……一緒に進みませんか?」
リアは、ゆっくりと目を閉じた。
そして、静かに口を開いた。
「……私が警察を選んだのは、“合理的な正義”を執行するためでした。
個人的な感情に流されず、組織的判断に従う。それが私の流儀だった」
潤が、ゆっくりとリアを見る。
「でも今は、違うってことか?」
「……ええ。あなたたちと出会って、迷い始めたのです」
リアは歩み寄り、潤の前で立ち止まった。
「潤。あなたの中には、私にはない“証明力”がある。だから……力を貸します」
その瞬間だった。
潤の胸の奥に、熱が走る感覚が広がった。
視界の端に、蒼いウインドウが浮かぶ。
【ユニークスキルを奪取しました】
《名推理》
■ 状況・証拠・証言をもとに因果関係を瞬時に構築。
■ 情報の質と網羅性により、推理の精度が向上。
■ 利用時、他者の行動パターン・論理破綻を見抜くことができる。
リアが目を見開いた。
「……スキル、今……発現したのですか?」
潤はゆっくりと頷いた。
「これが……“名推理”」
【あとがき小話:ヒロインズを犬種で例えるなら?(潤目線)】
潤『……ってなわけで、誰が言い出したのか知らないけど、
ヒロインたちを“犬の犬種で例える”ってお題が来た。』
潤『仕方ねぇ、全部答えてやるよ……。じゃあいくぞ──』
⸻
ユズハ:ポメラニアン
『ふわふわしてて人懐っこいけど、内面は超戦闘民族。
お手しながら噛んでくる系。いや噛まれた。既に。』
⸻
ノア:シベリアンハスキー
『一見クールで美しい。でもこっちが別の犬を撫でると牙を見せる。
“氷の瞳”でにっこり近寄ってくるけど、たぶんリード外すと誰かが消える。』
⸻
カエデ:ミニチュアダックスフンド
『距離感ゼロで膝に乗ってくるけど、他の犬が近づくとめっちゃ唸る。
背は小さいのに支配力は大型犬レベル。』
⸻
リア:ボーダーコリー
『知能が高くて従順に見えて、俺より常に一手先を読んでる。
たぶん俺が飼われてる。いや間違いなく主従逆転してる。』
⸻
エンリ:ゴールデンレトリバー
『包容力全振り。疲れてる時に寄ってこられると泣きそうになる。
ただし怒らせると“ゴールデン”の看板降ろしてくるタイプ。』
⸻
ミリー:マルチーズ
『純粋無垢。こっちが疲れてるときに限ってテンションMAXで突撃してくる。
でもなぜか……許せる。完全にズルい生き物。』
⸻
潤『──以上。
ちなみにこのあと、本人たちにバレて“じゃあ潤くんは?”って聞かれたけど、
俺は“野良犬です”って答えて逃げました。』
作者:pyoco(潤の野生、いまも逃走中)