第67話『俺、ノアを信じたい』
……すみません。
お願いです。ブクマ、評価、感想ください。
70話書いても、まだ毎日不安です。
面白いって思ってもらえてるのか、刺さってるのか、
数字がなかったら正直わかんないんです。
でも、ひとつ星がつくたび、ブクマが増えるたび、
「……よかった、読んでくれてる」って思えるんです。
だから……
今読んでるあなたの一押しが、本当に本当に励みになります。
星ひとつでいいんです。
ブクマ一件だけで、次、また全力で書けます。
よろしくお願いします。
pyocoより(土下座)
.
──風が冷たかった。
駅前の公園。すぐ近くを人が通り過ぎていくのに、俺とノアの周りだけが、静かに沈んでいる。
ベンチに座る俺の前に立つノアは、ゆっくりと、まるで触れれば崩れてしまうような繊細な仕草で視線を落としていた。
ずっと会いたかった。
ずっと話したかった。
だけど、いざ会えたのに、俺たちの間には越えられない壁ができてしまったようだった。
「……潤様、お久しぶりです」
震えるような細い声。いつものノアとは違う、遠くて儚い響きが、胸を苦しく締め付けた。
「そうだな……久しぶり」
どれだけぶりだろう。
一週間、いや、それ以上。
当たり前の様に側にいた日々が遠く感じる……
彼女がリョウヤとの熱愛報道の中心にいた間、俺はずっと遠くから見ているだけだった。
報道では、幸せそうに笑うノアが映っていた。
だが今、目の前にいる彼女は、どこか脆く、今にも崩れそうだった。
「私、今日……潤様にお話があって来ました」
ノアはそう言って、小さく息を吐いた。
その表情は美しくも、どこか悲痛だった。
「……何だよ、改まって」
心臓が警鐘を鳴らしている。
聞きたくない何かが来ると、本能が告げていた。
だけど真実を知りたい……
俺は解析眼を発動させる
ノアはしばらく沈黙した後、小さく、だがはっきりと言った。
「もう、私のことは忘れてください」
頭の中で、電子音が鋭く響いた。
【ブブー】
──嘘、か。
俺が言葉を失っている間も、ノアは淡々と続けた。
「私はリョウヤ様と一緒にいることを選びました」
【ブブー】
「だから、潤様も……どうか私のことは」
【ブブー】
俺の頭を殴りつけるように響く否定音が、心を容赦なく削り取っていく。
「……ノア」
声が震える。
胸が張り裂けそうだった。
でも、まだ聞かなきゃいけないことがある。
「本気で、俺を忘れろって言ってんのか?」
ノアの指先が震えた。
視線を必死に逸らす彼女が、無理に笑顔を作る。
「はい。本気です」
【ブブー】
「リョウヤとのことも、本気か?」
ノアの唇が強く結ばれ、声はかすれていた。
「はい……とても、大切な人です」
【ブブー】
「……もう一度だけ訊く。俺を忘れろって言うのは、お前の本心なのか?」
ノアがゆっくりと顔を上げる。
その瞳には、今にも溢れそうな涙が震えていた。
「はい。私はもう、潤様には……」
【ブブー】
最後まで聞くことができなかった。
それ以上ノアの口から言葉を聞けば、自分がどうにかなってしまいそうだったから。
「……わかった」
俺の言葉に、ノアの表情が一瞬崩れた。
「もういいよ、ノア」
俺はゆっくり立ち上がり、彼女から視線を逸らした。
「潤様……」
その声は、ひどくかすれていた。
「俺が何を信じて、何を疑ってるかなんて、もうどうでもいい」
「……っ」
彼女が小さく息を飲んだのがわかった。
「俺、お前が幸せならそれでいいって思ってた。でも、違うよな……」
振り返れなかった。
振り返れば、きっと俺のすべてが壊れてしまう気がしたから。
「でも俺は、お前の嘘を信じるほど、馬鹿にはなれない」
背後で、ノアが静かに嗚咽をこらえる気配がした。
俺は振り向かずに、そっと続けた。
「俺は、お前が嘘をついてる理由を知りたいんだ。だから、このまま終わらせることはできない」
ノアの気配が、微かに動いた。
「潤様……お願いですから、私のことはもう……」
その言葉に、胸が抉られるように痛む。
だが、俺は決して戻らない。
「ごめんな。信じられなくて」
──本当は、信じたい。
信じて、抱きしめて、もう一度あの笑顔を取り戻したい。
でもそれは、今じゃない。
ノアの嘘の裏にある真実を見つけるまで、俺は自分の気持ちを封印する。
「……じゃあな、ノア」
背中に突き刺さる視線を感じながら、俺は静かにその場を去った。
彼女が泣いているのを知っていた。
その涙を止める資格が今の俺にはないことも。
歩きながら、心がバラバラに砕けていく感覚があった。
俺はもう泣かない。
絶対に泣くわけにはいかなかった。
ノアの流した涙を、無駄にはできないから。
リョウヤに、必ず代償を払わせてやる。
ノアを傷つけた奴らを、このまま許しはしない。
胸に誓いを刻みながら、俺は一人、駅前の雑踏に歩き出した。
* * *
「……その顔で、行くつもり?」
足を止める。振り返ると、そこにいたのは――リアだった。
黒髪を揺らし、冷たい視線を真っ直ぐに俺へ向けている。
「今のあなたは、感情に流されているだけよ」
「感情で動いちゃ、悪いかよ」
「悪いわ」
リアは、一歩こちらに近づく。
その眼差しは、いつものように冷静だった。
でも……そこには、確かに“怒り”が宿っていた。
「今、あなたが動けば……ノアを救うどころか、全部終わる」
「黙ってられるかよ! あいつが――あんな顔で嘘を吐いて、それでも……っ」
俺の声が震えた。
拳が震えた。
でも、リアはそんな俺を見ても、眉一つ動かさなかった。
「潤」
「……なんだよ」
「あなたが潰れたら、ノアは……もう戻ってこないわよ」
その一言に、心臓を貫かれたような感覚が走った。
リアは静かに、俺のそばまで歩み寄る。
そして、右手を伸ばして俺の胸に触れた。
「だから、一緒にやりましょう。計画的に。確実に。仕留めるために」
俺は――ようやく、立ち止まった。
ノアのために。信じたかった気持ちのために。
そして、信じてくれた“誰か”のために。
俺は、もう一度だけ、強くなろうと思った。
──信じるって、こんなに苦しい。
でも、信じ抜けたら――きっと、強くなれる。
【あとがき小話:ヒロイン俳句大会 ~お題:潤の洗濯物~】
潤『……なぁマジで、なんで俺の洗濯物が俳句の題材なんだよ』
作者『日常の中に狂気は潜むってやつだ。詠め』
──
ユズハ
「はらり落ち 拾ってスーハー ばれません♪」
潤『スーハーはアウトだろぉォォォォ!!!』
⸻
ノア
「潤様の 香りは私が 管理します」
潤『管理!?何その運営権みたいな言い方!!てか香りに主権発生してんの!?』
⸻
カエデ
「たたんだら お胸のとこが 膨らんだ」
潤『こっそり着てんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!』
⸻
リア
「繊維から DNA採取 解析済」
潤『科学の暴力やめろって!!何に活かす気だよそのデータ!!』
⸻
エンリ
「裏ポケット ハンカチと共に 私の髪」
潤『ゾッとしたんだけど!?なに混入させてんの!?』
⸻
ミリー
「パンツかな? やっぱちがうか でもパンツ!」
潤『戻ってくんな!?一回否定したならそのまま否定して!!』
⸻
潤『なに!?なんで洗濯物でここまで恐怖と執念出るの!?
お前ら全員、洗濯物に執着しすぎ!!』
作者『というわけで、次回テーマは“潤の枕です!』
潤『お前が干される日も近いかもしれん……』
作者:pyoco(命短し洗濯せよ乙女)