第66話『俺、信じてるって言えなかった』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。
書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!
ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!
感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!
.
画面に映る、でかでかとした見出し――
『ノア、若手人気俳優と極秘愛! ホテル密会スクープ!』
思考が、一瞬止まった。
目の前の文字が冗談のように浮かんで見える。
けれど、写真は加工じゃなかった。
そこに写っていたのは、確かにノアだった。
笑って、猪瀬リョウヤに寄り添っている。
……嘘、だろ。
『潤くん……』
顔を上げると、カエデが真剣な表情でこちらを見ていた。
隣にはエンリもいる。
『潤さん……まずは、落ち着いてください』
『……落ち着けるかよ』
俺は無意識に、手にしていた雑誌を握り潰していた。
心が、ぐちゃぐちゃだった。
(なんで……ノアが……)
あのまっすぐで、努力家で、ずっと俺の隣にいてくれたノアが……
俺に黙って、こんな男と……?
『なぁ、これ……本当なのかよ』
呟いた声は、自分に向けたものだった。
“信じたい気持ち”と“現実”がぶつかって、苦しくて、形になっただけ。
『潤君』
カエデが、真っ直ぐに俺を見つめて言う。
『信じたいなら、ちゃんとぶつかってこいや』
『……え?』
『あんたがほんまにノアを信じとるんやったら、本人にぶつけなあかんやろ?
そんくらいの覚悟もなしに、“信じてたのに”なんて言うな』
言葉を失った。
けど、それは確かに正論だった。
『潤さん。ノアさんの気持ちを、一番知ってるのは潤さんじゃありませんか?』
エンリも、穏やかな声で背中を押してくれる。
俺はスマホを取り出した。
画面に表示された名前――“ノア”。
指先が、その文字に触れたまま、止まって動かない。
(かけるか……? でも……)
怖かった。
このまま冷たく突き放されたら、何も信じられなくなるかもしれない。
でも――
『……信じたいなら、ちゃんとぶつかってこい』
カエデの言葉が、脳裏をかすめる。
俺は、小さく深呼吸して、通話ボタンを押した。
……コール音が鳴る。
1回、2回、3回――
(……やっぱり出ないか)
切ろうとした、その瞬間。
『……なに?』
出た。
ノアの声だった。
けれど、まるで別人みたいに冷たかった。
『ノア……その、記事のこと、本当なのか?』
『もう見たんでしょ? だったら、何を話すの?』
『でも……俺は、信じたいって――』
『潤様には、関係ないでしょう?』
ドクン、と心臓が跳ねた。
『私は……潤様がいなくても、ちゃんとやっていけますから』
『……ノア?』
『もう、連絡してこないでください』
――プツン。
通話が切れた。
スマホの画面が滲んで、よく見えなかった。
信じたいのに。
信じたいって、伝えたかったのに。
でも――
(この声、本当にノアだったのか?)
俺の知ってるノアは、あんな冷たい声で“関係ない”なんて言わない。
だから、まだ終わらせられない。
『……怖ぇな』
自然と、声が漏れていた。
『なにが?』
ユズハが、いつの間にか隣のソファに座って、俺を見上げていた。
『……信じるってことだよ』
ユズハはふっと笑う。
『じゃあ、信じなきゃいいじゃないですか?』
『……え?』
『信じるのが怖いなら、最初から誰も信じなきゃいい。
ノアさんがどんな人でも関係ないって思えば、楽ですよ?』
『おいユズハ、それは――』
カエデが反射的に口を開きかけたが、ユズハは真っすぐに俺を見ていた。
『でも潤先輩、そう思えなかったから……今、苦しんでるんですよね?』
何も、言い返せなかった。
胸の奥で、ずっと何かが引っかかったまま、動けなかった。
俺は――ノアとの思い出を思い出す。
あの日の挙式体験。
『本当の挙式も、いつかしてくださいますか?』
あの言葉も、あの笑顔も、全部、嘘だったのか?
……だけど。
『信じてくれないなら、仕方ありません』
そんな風に笑うノアは、想像できなかった。
『……俺、信じたいって思ったけど……言えなかった』
拳を握る。
もう一度、ちゃんと向き合わなきゃいけない。
俺は、そう決めた。
【あとがき小話:GWを越えて──】
潤『……おい、作者』
作者『…………(床に倒れてピクリとも動かない)』
潤『干物かよ。
もしくは“魂だけ先に脱稿していった人”の完成形だな、これ』
作者『……ぼくは……やりきったよ……GW毎日5話投稿……がんばった……』
潤『うん、それはマジで偉い。でも……顔が……完全に魚の開きなんよ』
作者『……もう……人間に戻れる気がしない……』
潤『せめて乾燥する前に水分とってくれ』
──というわけで──
ゴールデンウィークの超投稿ラッシュ、無事完走しました!!
次の更新は、5月17日・18日を予定しています!
それまでは、作者に“しばしの人間復帰猶予”をください──!
作者:pyoco(干物系男子、ただいま低温熟成中)