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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
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第62話『俺、挙式する』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.




 


ゴールデンウィーク最後の相手は――ノアだった。


 


思えば、すべては彼女との出会いから始まった。


もし、あの公園で、偶然ノアが後ろの席に座っていなければ。


もし、あの日、見ず知らずの俺にあの悩みを打ち明けなければ――


 


もしかしたら、俺は“才能奪取”を、別の使い方をしていたかもしれない。


それこそ、誰かを蹴落とす側に。


 


だからこそ今日は――ただの休日じゃない。


きちんと伝えようと、決めていた。


 


「ありがとう」って。


 


 


『潤様〜っ!』


 


俺の思考を断ち切るように、ノアが駆け寄ってきた。


相変わらずの変装。大きなサングラスに帽子、ゆるめの服。


彼女は、売れっ子の人気女優だ。


普通なら、こうして街中を歩ける立場じゃない。


それなのに――俺といる時だけは、こんなふうに自然体で笑ってくれる。


 


……うん、やっぱり今日はちゃんと感謝を伝えなきゃな。


 


『お待たせしてしまいましたか?』


 


『いや、待ってないよ。で、今日はどこに行くんだ?』


 


『それは……着いてからのお楽しみ、です』


 


 


──到着したのは、都内屈指の高級挙式場だった。


 


『え? ここ?』


 


『はい。挙式体験イベントがあったので、少し前から準備して……なんとか予約が取れました』


 


ノアは嬉しそうに胸を張っていた。


いやいや待て、ここ、たしか参加費が高いことで有名なところじゃなかったか?


 


『俺……こんなところに払えるほど貯金ないぞ?』


 


『安心してください♪ 潤様のお給料と、私のお給料から、ちゃんと共同貯金をしてありますので』


 


『えっ……?』


 


え? 共同?


サラッと爆弾投下してきたけど、今それ流すの? 流されたの?


 


『さあ、入りましょう』


 


いや、誤魔化すの早すぎだろ!?


……でも今日はツッコむ気が失せるくらい、ノアの表情が嬉しそうだったから。


全部、飲み込むことにした。


 


 


* * *


 


中に入ると、さすが高級式場というだけあって雰囲気が桁違いだった。


一流のスタッフたちが、無駄のない動きで俺たちを案内していく。


 


『それでは、新婦様のノア様はこちらへ。新郎様は別室でお支度を』


 


『はい、潤様。また後ほど』


 


ノアが優雅にスタッフへついていくのを見送り、俺はスーツ選びの部屋に通された。


 


案内されたのは、ズラリと並ぶタキシードの展示。


スタイリストが何着かおすすめを持ってきて、俺に似合う一着を探していく。


普段なら、服なんてどうでもいいタイプの俺だけど――


 


この空間、この空気、この場の意味。


さすがに背筋が伸びる。


 


ようやくスーツが決まり、あとは着替えて式場へ――と思った矢先、慌てた様子のスタッフが別室から駆け込んできた。


 


何やら小声で会話。


 


『申し訳ございません、新郎様。こちらの手違いで、先ほどのスーツは別の方のものでした。急ぎ、正しい衣装をお持ちいたします』


 


『あ、うん……わかった』


 


そして数分後。


 


持ち込まれたのは、最初に入った時、ガラスケースの中に飾られていた――あれだ。


 


明らかに“展示用”だった、超高級タキシード。


 


『いやいや、ちょっと待て!? これ、飾ってあったやつだよな? 冗談だろ?』


 


『いえ、あれこそがこの会場で最も格式のある一点もの。潤様のために、ご用意させていただきました』


 


『え、いや、ちょ、待って、値段とかヤバくないか?』


 


『ははっ、価格で言えば……この会場そのものと同等でしょうか』


 


さらっと言うなよ!?


いやいやいや、待ってくれ!? 何桁だ!?


 


しかし、周囲のスタッフが全員「当然」という顔で頷いているのを見ると、逆に引けなくなる。


 


もう、ここまで来たら腹を括るしかない。


 


――着てみると。


鏡の中に映った自分を、思わず見つめてしまった。


 


……めっちゃカッコいい。


 


たかがスーツ。されどスーツ。


これは、まるで役者か騎士みたいだった。


 


『準備が整いましたら、式場へお進みくださいませ』


 


心なしか、スタッフの口調も敬語の重みが増していた。


 


足が勝手にぎこちなく動く。


緊張で、出した方の足と手が同時になるという、典型的なやつ。


 


『深呼吸……深呼吸……』


 


式場の扉が開き――


 


流れ出す、生演奏のセレモニーミュージック。


荘厳で、美しくて――


そしてその扉の向こうに、ノアが現れた。


 


 


『……綺麗だ』


 


本当に、無意識だった。


言葉が、息と一緒に漏れ出ていた。


 


ノアは普段から整った顔立ちで、非の打ち所もない美人だ。


けれど今は、それを超えていた。


 


純白のドレスに身を包み、花を抱き、静かに微笑むその姿は、まるで――


天使。


 


いや、俺の語彙では足りない。


 


どんな言葉を使っても、この瞬間の彼女を正確に表現できる自信がなかった。


 


歩いてきたノアが、そっと俺の腕を取る。


 


その動きさえ、完璧だった。


 


『潤様、緊張なさらずとも大丈夫ですよ。これはあくまで“体験”なのですから』


 


『き、緊張なんか……してないしぃ』


 


舌、噛みそうになった。噛まなかったけど。


 


『ふふっ、そうですね。こういうのに慣れていたら困ります』


 


『……だな』


 


普段の会話と変わらないはずなのに、不思議と胸が締めつけられる。


 


俺たちはゆっくりとバージンロードを歩き、神父の前へ。


 


 


『おふたりは、どんな困難も乗り越え、互いを唯一無二の伴侶として愛し、支え合うことを誓いますか?』


 


 


『……はい。潤様と共に歩みます』


 


ノアの答えは、凛として、真っ直ぐだった。


 


 


『新郎は、誓いますか?』


 


 


『……ノアを、この先も大切にします』


 


 


そうして、場の空気が一瞬だけ、止まった気がした。


 


 


『それでは――誓いのキスを』


 


 


(え?)


 


いや、あるよな。そりゃあるよな。体験といっても“挙式”だし。


 


けど……ノアと……キ、キスって……


 


(いやいやいや待て!? 本気で!?)


 


正直、ノアは綺麗だ。むしろ理想だ。キスできるなら嬉しい。


 


でも、これは“体験”だ。


体験で本気になるなよ俺……!


 


俺がグルグル悩んでる間に、ノアは目を閉じて、顔を寄せてきた。


 


(おい……その顔すんな……! そしたらもう……)


 


――もうちょっとで唇が触れる、というその瞬間。


 


『今回は体験ですので、キスの代わりに進行いたします』


 


スタッフの声が、式場に響き渡った。


 


(……セーフ! いや、アウト!?)


 


 


『潤様……もしかして、ほんとうに……キス、してくれようと……?』


 


『は、はぁ!? いや、体験だからな!? 決してその、深い意味は――』


 


 


言い訳をしてる時点でもうダメな気がした。


 


 


* * *


 


式の最後は、誓約書へのサイン。


もちろん、体験用のサンプルだ。


 


ノアが名前を書き込み、俺の番になる。


 


と、内容を確認してみると――


 


・LINEは10分以内に返すこと

・他の女性を視界に入れないこと

・外出時はGPS端末を所持すること

・就寝時は必ず手を繋ぐこと

・キスは朝・昼・晩の三回

・電話は2コール以内で出ること

・浮気未遂でも罰金制度あり

・目を合わせなかった日は説教タイム発動


 


 


『重すぎるわ!!!』


 


俺は叫んでた。心の中じゃなく、声に出して。


 


 


『え? これって、誓約っていうか……奴隷契約?』


 


ノアは穏やかに笑う。


 


『うふふっ。潤様と私が一緒に生きるなら、これくらいがちょうどいいかと』


 


 


どこがだ。


 


 


『自由とは……? 憲法とは……?』


 


 


『安心してください。潤様が他の女性に浮つかない限りは、すべて楽しい日常ですから♪』


 


 


……浮つかない限りね。


この時点で、未来の俺は確信した。


 


たぶん、一歩でも踏み外したら、


――本気で、制裁される。


 


式が終わり、控え室へ戻る。


肩の力が抜けたというより、魂が抜けかけていた。


 


 


『潤様?』


 


ノアが、そっと隣に座る。


挙式用のドレスを着たままで、さっきまでの幻想のような時間が、まだ続いているかのようだった。


 


『今日は……本当に、ありがとうございました』


 


ノアは、深く頭を下げた。


 


『いや、お礼言うのは俺の方だよ。あの時、ノアが声をかけてくれなかったら――俺、きっと違う道に進んでた』


 


 


それは心からの言葉だった。


俺の“奪う力”は危ういものだ。


自分が正義だと勘違いすれば、人を壊す側になっていたかもしれない。


 


けど――ノアがいてくれた。


ずっと、側にいてくれた。


 


 


『ノア』


 


『はい』


 


『ありがとう』


 


 


その言葉を聞いた瞬間。


 


ノアの頬が、ふっと赤くなった。


目元が少しだけ揺れて、ゆっくりと、微笑みに戻る。


 


『ふふ……潤様にそう言っていただけるなら、どんな労力も、どんな犠牲も、全て報われます』


 


 


なんかまたとんでもないこと言ってるけど――


その笑顔が、全部包んでしまう。


 


 


『あの、潤様……』


 


『ん?』


 


『本当の挙式も……いつか、してくださいますか?』


 


 


目を逸らすようにして言ったその言葉は、


さっきの小悪魔たちの仕掛けとは違う。


本当に、本当に真剣な――“本音”だった。


 


 


『……どうかな』


 


『えっ……』


 


ノアの表情が、一瞬だけ曇った。


 


 


『でもまあ、もし本当に“その時”が来たら――』


 


俺は軽く笑いながら、指を一本立てる。


 


 


『誓約書の内容だけは、交渉させてくれ。頼む』


 


 


ノアは、ぽかんとした後、ふふっと笑って頷いた。


 


 


『……その時は、ちゃんと話し合いましょうね。潤様』


 


 


──挙式体験。


それは“もしも”の未来の、ほんの断片だったのかもしれない。


けど――


 


たぶん俺の中では、もうその断片が、しっかりとした輪郭を持って浮かび始めていた。


 


 


この先、何があっても。


誰よりも俺のことを見て、誰よりもそばで支えてくれる、この人と――


 


一緒に、歩いていける気がした。





【あとがき小話】


作者『いや~特別回ありがとね!えー最後に一言だけ……

“誰か薄い本とか描いてくれてもいいんですよ?”(小声)』


潤『お前、また言ったな……!?』


──その夜──


ユズハ『作者さん?』


作者『うぇ!?な、なんですかユズハさん!?笑顔が刺さってるんですけど!?』


リア『記録確認済み。“薄い本、誰か描いてくれても”──と。証拠は十分です』


ノア『……“私のどの部分を、描いていただきたかったのですか?”』


カエデ『ちなみに“どこまで”の内容想定やったん?』


エンリ『ふふ……まさか“服装の詳細や状況設定”まで脳内で……?』


ミリー『もしかして……ミリーのこと、すっごくえっちな目で見てた~?』


作者『いや違う!違うの!!そこまで言ってないの!!!

ただ“薄い本”って言っただけで!!“何が”とか“どこまで”とか一言も──』


ユズハ『ふ~ん、“そこまで”は言ってないけど、

“想像には任せるスタイル”だったんですねぇ~?』


リア『“他人に想像を委ねる発言”は、ある意味最も計画的です』


潤『おい!俺は関係ないよな!?なぁ!?俺ガチで無関係だぞ!?』


ノア『潤様、“そういうのもアリだと思う”と以前……』


潤『それは作者が勝手に創作したセリフだぁぁぁぁぁ!!!』


作者『ほんとに!ほんとに違うんです!

“同人活動を支援したいだけ”というやつです!!“表現の自由”を!!』


リア『つまり“供給が欲しい側”だったと……』


カエデ『“描かれるの待ち”なだけやったんやなぁ~?』


エンリ『ふふっ……では、私たちからの“反撃”も、“想像に任せて”構いませんね?』


潤『想像じゃなくて“行動”に出そうな顔してるのやめてくれえええ!!!』


 


作者:pyoco(もう“ふんわりワード”も使いません……)

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