第61話『俺、ショッピングモールで転がされる』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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ゴールデンウィーク四人目の相手は――ユズハだった。
『せんぱ〜い♪ 待たせちゃいましたぁ?』
ショッピングモールの入り口で、ユズハがくいっと腰をくねらせながら駆け寄ってくる。
その仕草一つで、通行人の視線をかっさらってるあたり、こいつほんと無自覚な小悪魔だな。
『いや、そんなに待ってないけど……』
『もぉ〜っ、せっかくデートなんですからぁ、ちゃんとドキドキして待ってなきゃダメですよぉ?』
『誰がデートだ。普通に遊びだろ』
『えー? じゃあ私、帰っちゃおっかなぁ〜?』
と、くるりと踵を返す。
『……はいはい、遊びでもデートでも好きにしろよ』
『えへへ♪ 素直でよろしいっ』
くるっと戻ってきたユズハは、俺の腕にぴったりくっついてくる。
(……なんで距離感ゼロなんだよ)
でもまあ、振り払うほど嫌でもない自分がいるのが、さらにムカつく。
* * *
ショッピングモールの中は、大型連休らしく人でごった返していた。
『せんぱ〜い、どこ行きたいですかぁ?』
『いや、そっちが行きたいとこでいいよ』
『えへへ、じゃあ〜……雑貨屋さんとか見たいかも〜♪』
ぴょんぴょん跳ねるみたいに手を引っ張られ、雑貨屋へ連行される。
店内に入ると、すぐにユズハは小物コーナーに突撃。
『せんぱいっ、これどーですかぁ?』
ユズハが手に持っていたのは――
ネコ耳カチューシャ。
『…………』
『ねぇねぇ? 似合うかなぁ? 先輩の前だけ、ネコさんになっちゃおっかなぁ?』
にこにこ笑いながら、俺にカチューシャをあてて見せる。
いや、そんな顔で聞かれたら「似合う」以外の選択肢ないだろ。
『……似合う。』
『やったぁ〜♪ じゃあ、これ買ってくださぁい♡』
『俺が買うのかよ!!』
『だってぇ〜、せんぱいが似合うって言ったから〜』
完全に転がされてる。
しかもノリノリでレジへ走っていきやがった。
……仕方ない。
後で倍返しする。
* * *
『せんぱ〜い♡ 見て見て〜っ♡』
ユズハが、試着室のカーテンをシャッと開ける。
そこには――
白いワンピースに、ふわっとした薄いカーディガン。
普段よりちょっとだけ大人びた感じで、思わず俺は目を見張った。
(……普通に、可愛い……)
『ど、どう……? 似合ってますぅ?』
両手を後ろで組んで、ちょっと上目遣い。
(……ズルいだろそれ)
言葉に詰まる俺を見て、ユズハはにやっと笑った。
『あれあれぇ〜? せんぱい、もしかしてぇ……見惚れちゃいましたぁ?』
『いや……まぁ……』
『うわぁっ! せんぱい、今! 否定しなかったぁ♡』
満面の笑顔でぴょんっと飛び跳ねる。
『あっ、じゃあ〜……次、もーっと攻めたやつ着てもいいですかぁ?』
そう言って、小悪魔な笑みを浮かべながら、今度は別の服を手に試着室に消えていった。
(……なんか、変なスイッチ入ったなこれ)
数分後――
『せんぱ〜い♡ 第二弾いっきまーす♡』
カーテンがまたシャッと開く。
そこにいたのは、さっきより明らかに露出高めの、肩出しニットとミニスカ姿のユズハだった。
『どぉ? せんぱい? 目ぇ、どこ見てるんですかぁ?』
にやにや笑いながら、クルッと一回転してみせる。
『……いや、だからその……』
視線に困る俺を、さらに煽るように近づいてきて――
『もしかしてぇ……どきどきしてます?』
耳元で囁かれた。
(……この小悪魔がぁぁぁぁ)
顔が熱くなるのを感じながら、俺は適当にTシャツの棚をいじってごまかす。
『ふふっ♡ せんぱい、わかりやすいですね〜っ』
後ろからクスクス笑い声が聞こえた。
……完全に、遊ばれてる。
* * *
買い物を終えて、モールの屋上ガーデンに出る。
風が心地よく吹き抜ける中、ユズハは芝生に寝転がった。
『ふぁ〜……やっぱり、せんぱいと一緒だと、楽しいですねぇ〜』
『俺は疲れたぞ……』
『えへへ〜っ、それってつまり、楽しんでたってことですよね?』
横目で俺を見上げながら、いたずらっぽく笑う。
……まあ、否定はしない。
『……なぁユズハ』
『ん〜?』
『お前、こうやって毎日人を転がして生きてんのか?』
『えへへ〜♡ せんぱいだけですよ〜? こーんなにいじっちゃうのはぁ♡』
『……そうかよ』
顔をそむけた俺に、ユズハがふわりと寄り添う。
『だって、せんぱい、いじりがいありすぎですもんっ』
小悪魔全開の笑顔。
でも、その笑顔の奥に、ふっとほんの少しだけ見えた素の表情に――
俺はなんとなく、言葉を失った。
ほんの一瞬。
それはすぐに、いつもの小悪魔スマイルに上書きされたけど。
(……ま、いいか)
今は、こうして隣で笑ってくれてる。
それだけで、十分だ。
──こんな時間が、もう少しだけ続けばいいな。
ふと、そんなことを思った。
【あとがき小話】
作者『なぁ潤……俺、決めた。
次の本編デート回、俺も出る』
潤『は?何言ってんの?お前作者だろ』
作者『だからこそ!出たい!!だって毎回ヒロインとイチャついててさ!
俺だって混ざりたいんだよおおお!!!』
潤『無理だろ……お前が本編に出たら“世界観”壊れるだろ』
作者『じゃあこうしよう。
俺が“カリブ海、背泳ぎで横断”できたら、本編デート1回だけ出演させて』
潤『なんでその条件!?てかなんで背泳ぎ!?誰得!?』
作者『見たいじゃん!?俺がゴーグルつけて、
夜の海を泣きながら泳ぐ姿!“命がけの本編出演”だよ!?』
潤『見たくねぇよ!!!読者も困惑するわ!!!』
──そこへヒロイン陣登場──
ユズハ『あ、それ見てみたいですぅ~。“もがきながら泳ぐ作者さん”って、なかなかレアですし~♪』
ノア『……条件付きなら、出演を許しても……良いかもしれません』
カエデ『ウチは応援するで~♪ほら、作者くーん、フロート持ってったるわ~♪』
エンリ『ふふ……私はタオルと温かい飲み物を用意しておきますね。無理だけはしないでくださいね?』
ミリー『作者さーん!がんばれーっ!あ、でもカニには気をつけてね~!』
リア『……衛星画像で軌跡を確認してから判断します。ルートの誤魔化しは無効ですので』
潤『お前ら何その団結!?なんでそこだけ真剣に審査始めてんだよ!?』
作者『よし、じゃあ本気で準備するか……!デートのために、俺は海を越える!!』
潤『お願いだから、読者はこれを“比喩”だって信じてくれ……!!』
作者:pyoco(クロールに切り替えても許されません)