第60話『俺、猫カフェで敗北する』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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ゴールデンウィーク三人目の相手は――エンリだった。
『今日は、ちょっと変わった場所にご案内しますね』
いつもの柔らかな笑顔で、エンリが俺を連れていったのは……猫カフェだった。
『へぇ、こういうとこ来るの初めてかも』
『ふふ、そうでしたか? では今日は、たっぷり癒されてくださいね』
店内には、ふわふわの猫たちがゆったり歩き回っている。
……が。
『……あれ? 誰も寄ってこないんだけど』
周囲の客にはスリスリしてるのに、俺の足元だけ完全スルー。
むしろ耳伏せて、警戒モード。
『にゃあ……(低音)』
『あ、あれ? 俺、猫に嫌われてる?』
『ふふ……動物って、相手の“本質”に敏感ですからね?』
『ちょっと待て、今なんか嫌な言い方しなかったか?』
『さあ、なんのことでしょう……ふふ』
仕方なくくつろぎスペースに座るけど、猫は誰一人として近寄らない。
むしろ空気すら避けられてる気がする。
一方、エンリは――
『ほらほら、こっちですよ? あら、もうお腹見せて……ふふ、可愛いですね』
猫まみれ。
肩に1匹、膝に2匹、足元に3匹。
まるで猫界の女王。
対して俺は――
手を伸ばした瞬間、
『シャアアア!!』
前脚アッパー炸裂。
『ぎゃあああっ!?』
エンリはにっこり微笑んで、撫でながら、
『……少しだけ、手荒に可愛がられましたね?』
『違う、あれは敵意だった!!』
そして――
『ほら、もっと優しくしてあげましょうね』
エンリが一言囁くと、不思議なことに猫たちが俺の周囲に集まりはじめ――
(おっ、やっと……)
『シャアアアアアア!!!』
乗ったままパンチされる未来しかなかった。
心身ともにボロボロになった俺は、猫カフェを後にした――。
* * *
その後、エンリと一緒に立ち寄ったのは、近くの静かな公園だった。
木陰のベンチに並んで座る。
『……ふぅ。こういう場所が一番落ち着きますね』
『猫にボコられた後だけどな……』
『ふふっ。でも、ちゃんと可愛がられてましたよ? “手荒に”』
『手荒すぎんだよ!』
ツッコミにも疲れた俺は、ベンチにもたれかかる。
そよ風と、ほんのり暖かい春の日差しが、心地よい。
『……ふふ、潤さんって、本当に放っておけないですね』
エンリがクスッと笑う。
『え、俺ってそんな子どもっぽい?』
『うーん……子どもというよりは、心配になる感じ? ミリーちゃんよりも』
『ミリーより!? ……まじかよ』
『冗談ですよ、ほら』
エンリは膝をぽんぽんと叩いて、にっこり。
『少し、横になってもいいですよ?』
『……いや、流石にここで膝枕は』
『だいじょうぶです。ほら、どうぞ?』
にこにこしながら、さらにぽんぽん。
圧がすごい。
天使みたいな笑顔なのに、断れる空気じゃねぇ。
『……しゃーねぇな』
観念して頭を預ける。
ふわっと香るシャンプーの匂い。
優しく撫でるエンリの手。
なんだこれ、天国か?
エンリが、そっと俺の肩に額を預けながら呟く。
『潤さんは、頑張りすぎなんです……』
『いや、みんなに助けられてばっかで……』
『そんなことありませんよ』
撫でる手は止まらない。
『潤さんだから……私たちは助けたいって思えるんです』
心地よすぎて、頭がぼんやりしてくる。
『たまには……こうして、甘えてくださいね?』
ぼそりと、耳元で囁かれた。
もう抵抗できなかった。
* * *
気づけば、すっかり寝てしまっていた。
『潤さん、起きてください。もう夕方ですよ?』
エンリが優しく肩を揺すってくれる。
『……悪い、なんかめっちゃ寝てた』
『いいんですよ? 少しでも休めたなら』
微笑むエンリ。
その顔を見ていると、不意に耳元で囁かれた。
『私が潤さんの面倒を……ずっと見てあげてもいいんですよ?』
一瞬、未来がよぎる。
『潤さーん、ご飯の時間ですよ〜』
『潤さーん、お風呂入りましょうね〜』
『潤さーん、そろそろねんねですよ〜』
(――ダメだ!!)
これ、人として完全にダメになる未来しか見えない。
『や、やめとこう!絶対ダメになる!!』
『うふふっ、大丈夫ですよ? 全部私が支えますから♪』
『それが一番ヤバいんだよ!!』
全力で拒否したけど――
まぁ、弱ったときは。
こうして、甘えてもいいのかもしれないな。
『……頼りにしてるよ、エンリ』
『はい、いつでもどうぞ』
春風がそっと、ふたりを包み込んだ。
【あとがき小話】
作者『なぁ潤……この作品で一番“こわい”のって、誰だと思う?』
潤『また唐突に不穏な話題ぶっこんできたな……でも、まぁ……答えはいっぱいある』
作者『俺的にまずヤバいの、リア。
あの人、静か~に「それ、論理破綻してますね」って言ってくる。マジで心えぐれる』
潤『あれ、喰らうと夜寝る前にフラッシュバックするやつ。
で、ノア。あの子の「私だけを見てくださいね?」は“お願い”じゃなくて“契約”』
作者『破ると魂持ってかれるやつな』
潤『ユズハもさ、「え~先輩今のプレイって、わざとですかぁ~?」って……』
作者『撃っただけでネタ扱いされるの、精神にくるよな……
しかも悪意ゼロのテンションだから余計に怖ぇ!』
潤『カエデもだぞ。「なぁなぁ、ウチだけ見てたらええねん」って笑いながら腕絡めてくる。
逃げ場ないんよ』
作者『あれ、背中で“ロックかかった音”したもんな俺……』
潤『で、地味に強烈なのがエンリ。
優しいの。優しすぎて、こっちが悪者になっていくタイプの優しさ』
作者『あの包容力、逆に罪悪感で潰される……!』
潤『そして最後に──ミリー。』
作者『あの子、実は一番“制御不能”。
なんの脈絡もなく飛びついてきて、「えへへ~潤くんの匂い~♪」とか言うじゃん?』
潤『そう!あれで全員の機嫌が崩れる!そして俺の責任になる!地雷処理ゲー始まるの!!』
作者『笑顔で全ヒロインの嫉妬を誘発する“無意識の爆撃機”だよな……』
潤『じゃあ結論──一番怖いのって……』
???『──誰が“怖い”って、言ったのかなぁ?』
(背後、全ヒロイン勢ぞろい)
ユズハ『もしかしてぇ~?私たちが“圧”あるって思ってるぅ~?』
ノア『潤様、そんなふうに見ていたのですね……とても、悲しいです』
リア『状況把握完了。対象:要観察』
カエデ『うちは、ただ……潤くんの全部、知りたいだけやのになぁ~?』
エンリ『私は、信じていますよ?……ええ、いつまでも……ふふ』
ミリー『えっ!?ミリーってば“爆撃機”なの!?えへへ~じゃあもっと突撃しちゃおっかな~♪』
潤『もうだめだぁああああああああ!!!』
作者『あとがきで命が削れる日が来るとは思わなかった……!』
作者:pyoco(生きて次回も書けたら奇跡)