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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
71/263

第59話『俺、パパ?』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.




ゴールデンウィーク二人目の相手は、ミリーだった。


 


『じゅんくーん! はやくはやくっ!』


 


待ち合わせ場所に駆け寄ってきたミリーは、今日も元気いっぱい。


手をぶんぶん振りながら、ぴょんぴょん跳ねている。


 


この子、20歳なのにテンションだけは完全に幼児。


今日も今日とて、俺はその暴れ馬の手綱役だ。


 


『ほらミリー、走ると危ないって。』


 


『じゃあ〜っ、じゅんくんと、てーつなぎ!』


 


ニコッと笑って、俺に手を差し出す。


 


(……無敵かよ)


 


観念してミリーの手を取ると、そのまま水族館のエントランスへ向かう。


ミリーはぴょんぴょん跳ねながら、俺にくっついて離れない。


 


まるで――


 


(……いや、親子かこれ)


 


そんなツッコミを胸にしまったまま、二人は水族館へと入場した。


 


 


* * *


 


『じゅんくーん! みてみてー!』


 


ミリーがガラスに張り付いて、指差す。


 


その先には……ぷかぷかと漂う、気の抜けた顔の魚。


 


(……やる気ゼロ、漂流スタイル)


 


『じゅんくんに、にてる〜!』


 


うるせぇよ。


 


『なぁミリー? 俺ってそんなに無気力そうか?』


 


『えへへ〜、じゅんくん、いつもぽわぽわしてるもん!』


 


なんだよぽわぽわって。


 


ミリーは満足げに笑い、また違う水槽へと走っていく。


 


 


次に向かったのはクラゲコーナー。


 


『みて〜! ふよふよ〜っ! じゅんくん、ふよふよしてるよ〜!』


 


『俺はクラゲじゃねぇ!』


 


ミリーは嬉しそうに俺の腕にしがみつきながら、水槽の前を回る。


手を引っ張ったり、寄りかかったり、とにかく距離感ゼロ。


 


(これ……はたから見たらどう見えるんだ……?)


 


チラッと周りを見ると、何組かの親子連れが俺たちを見てニコニコしている。


 


(……完全に親子だと思われてるな)


 


ため息をつく暇もなく、ミリーはまた違う方向へと俺を引っ張っていった。


 


 


* * *


 


カフェスペースで小休憩。


 


『じゅんくーん、ソフトクリームいっこ買ってきたぁ! はんぶんこしよっ!』


 


『いや、二つ買えばよかったろ……』


 


『だって〜、じゅんくんと半分こしたかったんだもん!』


 


満面の笑みで差し出されるソフトクリーム。


しゃーねぇな、俺はそれを受け取って、一緒に食べ始める。


 


ミリーは、ソフトクリームにかぶりつきながら、こっちをちらちら見てくる。


 


『じゅんくんって……パパみたいだねぇ〜』


 


『は?』


 


『うふふ〜っ。だって、ミリーのこと、ずっと手ぇ繋いでくれて、危ないとき守ってくれるし〜。』


 


(それ普通に男友達としてもやるだろ)


 


『じゅんくん、ミリーのパパ決定だねっ!』


 


『やだよ! 二十歳の娘がいる設定とか重すぎるわ!』


 


ミリーはケラケラ笑いながら、また俺にぴったりくっついてくる。


 


(……完全に親子にしか見えないな、これ)


 


 


* * *


 


タッチプール。


 


『じゅんくん〜っ! ほらほら〜! ナマコさん〜っ!』


 


ミリーは興味津々でナマコに指を伸ばしている。


 


『うにょ〜ってしてる〜! じゅんくんもさわろ〜っ!』


 


『やだよ……なんかヌメヌメしてそうで……』


 


『だめーっ! じゅんくんも一緒にふれあいっ!』


 


ぐいぐい腕を引っ張られ、ナマコタッチを強要される俺。


 


(……ミリー、テンション高すぎだろ)


 


けどまあ、楽しそうなミリーを見てると、断れなくなるんだよな。


 


結局、俺もびくびくしながらナマコを触る羽目になった。


 


 


* * *


 


出口付近のお土産コーナー。


 


『じゅんくーん! みてみて〜っ!』


 


ミリーが抱えていたのは、ふわっふわのイルカのぬいぐるみ。


 


『じゅんくんとおそろいにしたいなぁ〜! これ、買ってもいい?』


 


『自分で買えよ。』


 


『だって〜、じゅんくんにおそろいにしてほしいんだもん〜!』


 


――結局、二人で色違いの小さなイルカを買うことになった。


 


(……はたから見たら、ほんとに親子にしか見えねぇな)


 


 


* * *




一息ついたところで、ミリーがぽつりと言った。


 


『ねぇじゅんくん?今日、楽しかった?』


 


『……まぁな。普通に楽しいよ』


 


『そっかぁ〜よかったぁ〜』


 


ほっとした顔で笑うミリー。


……なんだよその顔、反則かよ。


 


『……でもね、ミリーちょっとだけ思ったの』


 


『ん?』


 


『もしかして……周りの人から見たら、じゅんくんとミリーって親子に見えてない?』


 


 


え?


 


 


言われてみれば……あれ?


いや、確かにミリーは小柄で童顔、テンション高い。


俺は……まぁ無気力系で年相応だ。


 


『あれ……ほんとに……パパ……?』


 


『いや違うわ!!』


 


って俺が全力でツッコんだタイミングで、横の席の子どもが、


 


『ねーママーあのお姉ちゃんとおじちゃん、パパと娘?』


 


って言った。


 


 


ミリー、くすくす笑ってる。


 


『ほら〜やっぱり〜!じゅんくん、パパ〜♪』


 


『二十歳の娘がいるわけないだろ!てか、こういう時は彼氏とかでいいだろ!』


 


『えっ!?』


 


 


俺の発言に、ミリーが硬直する。


 


 


しまった。


 


今の、わりとガチトーンだったか?


 


……やっべ。


 


 


『じゅ、じゅんくん……今、それって……』


 


『いや、ちがっ、まぁ、つまり……その、彼氏“候補”としてはだな……』


 


『ふふっ』


 


ミリーが、ふにゃあと微笑んで、俺の手をきゅっと握る。


 


『じゃあ、じゅんくんはミリーの“パパ”じゃなくて、“だいすきな人”ってことで決定だねっ!』


 


『……はいはい。』


そんなつもりで言ったのでは無かったけど…


なんか言わされた感じもする…




顔が熱い。絶対、顔真っ赤だこれ。


 


そのとき、近くを通ったおばちゃん集団が、


 


『娘さんとデートだなんて、仲良しねぇ〜』


 


なんて言ってるのが、しっかり耳に入った。


 


『……俺、そんな老けてる?』


 


思わずぼそっと漏らすと、


 


『じゅんくん! おじさーんっ!』


 


ミリーが無邪気に追い打ちをかけてきた。


 


『誰がおじさんじゃ!!』


 


思わず本気のツッコミを入れる。


 


でもまあ――


 


こんなふうに笑ってくれるなら。


ちょっとくらいパパ扱いでも、まあ、悪くないかもしれない。


 


そんなことを思いながら。


 


俺は、はしゃぐミリーを引き連れて、ゆっくりと歩き出した。








【あとがき小話】


作者『なぁ潤……お前ってさ、ユズハとかノアとか……

毎日ヒロインに囲まれてんじゃん……』


潤『……急にどうした?』


作者『いや、なんかさ……羨ましいなって。

俺なんてユズハに煽られて、ノアには本気で心配されて、カエデには笑われて、

エンリには「無理は禁物です」って普通に看護されてるし……』


潤『いやそれ、お前も囲まれてる側だろ』


作者『でも違うんだよ潤!お前は“物語の中で中心”にいるじゃん!

俺はあとがきでギャグ枠だぞ!?ステージが違う!』


潤『……いや、それはそれでキツいぞ?』


作者『えっ?』


潤『四六時中、好意と嫉妬と干渉が渦巻いてて、

ちょっと間違うと修羅場確定なんだぞ……?

“癒される日常”が“命を削る戦場”になるんだぞ……?』


作者『……そっちにも地獄があるのか……』


潤『あるぞ。たぶん、目に見えない地雷原の上で恋愛してる』


作者『……お互い、立ち位置は違えど業が深いな』


潤『だな……』


(ふたり、黙って虚空を見つめる)


 


作者:pyoco(あとがきにはあとがきの戦いがある)


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