第58話『俺、ペットかなんか』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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ゴールデンウィーク初日。
最初の相手は――
『さぁ行くで〜潤君!』
カエデだった。
今日の舞台は、なにやら“ここでしか味わえない味”を追求したグルメフェスらしい。
もやし料理研究家(自称)の俺としては、新たなもやしの可能性に出会えるチャンスでもある。
少しだけ期待していたんだが――
『着いたでー! これやっ!』
ズラリと並ぶ屋台。
ごった返す人、人、人。
上に掲げられた巨大な垂れ幕には――
『人類への挑戦!味覚探求フェス』
……ぶっ飛んだワードチョイスだな、おい。
でもまあ、本当の味覚とは、意外とこういう場所に眠ってるのかもしれない。
そんなことを考えていたら、
『ほらほら! 美味しそうなもん、いっぱいやでー!』
カエデが俺の腕にギュッと絡みつき、グイグイ引っ張っていく。
……別に、恥ずかしくないわけじゃない。
でも、放っておいたら絶対にロクなことにならない自信はある。
『ところでさ、カエデ。』
『なんや?』
『この行列、なんの屋台に並んでんの?』
前方、見えない。
完全に人の壁だ。
『ふふーん、それはお楽しみや!』
ニヤリと笑うカエデ。
『それよりなー、潤君。
ウチら、こうやって二人きりって……めっちゃ珍しいやろ?』
『……確かに。』
言われてみれば、カエデとサシってあんま記憶にない。
だいたい誰か他にくっついてた。
『そやろ? なぁなぁ、潤君はウチのこと、どう思っとるん?』
急に距離を詰めてくるカエデ。
(どう思うって……)
可愛くて、元気で、めちゃくちゃ引っ張っていくタイプ?
でもそんなこと素直に言ったら、絶対弄られる。
『……元気をくれる人、かな。』
『……ふふっ』
カエデが俺の腕に、そっと頭を預ける。
『潤君、今日はもっと元気あげるでー!』
いや絶対なんか企んでるだろこれ。
でも――
『……うちじゃ、ダメなん?』
小さな声で、そんなことを言うな。
胸が、きゅっと鳴る。
『……今日は、とことん付き合ってやるよ。』
『ほんまか! 潤君、やっぱウチの見込んだ男やわー!』
──そんなやりとりをしているうちに、ついに屋台が見えてきた。
『おっちゃーん! 悶絶味覚の宇宙体験ファンタスティックたこ焼き、ひとつー!』
『はいよーっ!』
……うん、名前からして危険しか感じない。
* * *
ベンチに座り、カエデが嬉しそうにたこ焼きを差し出してくる。
『はい、潤君、あーん♪』
……やめろ。
その、“食べてくれないと泣いちゃう”みたいな顔。
仕方なく口を開ける。
『どうや、潤君?』
もぐもぐ。
……うん?
どろっ……ねちゃっ……。
美味しくもないし、不味くもない。
なんだこれ。
『……まあ、普通のたこ焼きの方がいいな。』
『そっかぁー! ほな次いこかー!』
次……?
カエデの手には、すでに新しいたこ焼きが装填されていた。
『ふごぉ!?』
ほぼノールックで口にぶち込まれる俺。
次のたこ焼きの中身は──
草原だった。
いや、マジで草の味しかしねぇ。
『なにふぁいってんのー?』
カエデが無邪気に笑う。
『これは食べられそうなのを選りすぐった雑草やでー! 公園の!』
さらっと言うな!!
『ちなみに、その前のはなんかの幼虫らしいわ!』
てめぇ……ッ!
カエデの手には、なおも次のたこ焼きがセットされている。
(こいつ……初めからハメる気だったな……)
そう、俺は最初から――
カエデの手のひらの上だったのだ……。
* * *
『今日は楽しかったでー、潤君!』
『ゲフッ! お、おう、それは……ゲフッ!』
胃から謎のゲップが止まらない。
味覚の挑戦どころか、俺の人間性まで試された気がする。
『ところでなー、潤君。』
カエデが、ふっと小声で言う。
『潤君って……周りに美人さんいっぱいおるやん?』
『……まあ、方向性は違えど、確かに。』
『誰か気になる子、おらんの?』
潤君、ウチとか結構、おすすめやで?』
お買い得みたいな言い方すんな。
でも。
『俺は……みんなのこと、大切だよ。』
それは、心から本当のことだった。
誰か一人を選ぶとか、そんなのじゃない。
みんな、かけがえのない仲間だ。
『……そっか。』
カエデは、ちょっとだけ寂しそうに、でもすぐに笑った。
『まあ、今はそれでもええか!』
ニコッと笑ったその顔は、
いつもの元気印だけじゃない、少しだけ大人びた笑顔だった。
『ほなこの後なー、潤君! 家来て朝まで呑むで!!』
『えっ、いや、俺、もう腹いっぱい……』
『はよはよーっ!』
満面の笑みで、また俺の腕を引っ張るカエデ。
その笑顔が、なんだかいつもより、ずっと眩しく見えた。
──こんな日々が、
ずっと続けばいいな。
そんなことを、ふと思った。
【あとがき小話】
作者『なぁ潤……俺、ユズハにタイマン挑んだんだけどさ……ボコられたわ』
潤『またApexかよ』
作者『だってさ、ギャフンと言わせたかったんだよ……
この間なんて“128ダメージとかぁ~、そろそろ顎じゃなくってぇ~、手で操作してくれませんかぁ~?”って言われたんだぞ……!』
潤『……わかる……俺も言われた……
「あれぇ~?先輩にとってエーペックスって、お散歩ゲームなんですねぇ~?」って……』
作者『あいつ、煽りスナイパーかよ……』
潤『当たると一撃で心折れるんだよな……あの声のトーン……』
作者『……潤、俺らでユズハ、倒さない?』
潤『おう。珍しく気が合うな』
──訓練所──
ユズハ『え~?痛いけな女の子にぃ~、二人がかりぃ~?
これ、もしかしてぇ~“恨み”ですかぁ~?』
潤『うるせぇ!今日は“わからせ回”だ!』
作者『見てろよこの戦闘小悪魔!いや、大魔王!』
──(1時間後)──
ユズハ『二人ともぉ~、型抜き上手ぅ~。キレイに球だけ外してくるぅ~♪』
潤『ぐっ……こいつ、攻撃避けながら口撃してくる……!!』
作者『ダメだ、集中力持ってかれる……あの声……脳にくる……!』
ユズハ『あれあれぇ~?もう終わりですかぁ~?
でもbotと同じくらいの手応えはありましたよぉ~?ね、潤先輩?“風景スキャン”の旅はどうでしたぁ~?』
潤『それ言うなぁぁぁぁ!!!』
作者『くそっ……!次は……次こそ……!』
潤&作者『いつか泣かす!!!』
作者:pyoco(現状、泣いてるのはこっち)




