第6話『俺、正義の味方らしい』
【読たんへお願い!】
作者の夢──
ヒロインの薄い本です!!(ドン!!)
え?真面目な目標じゃないって?
うるさいっ!!
作者は本気なんです!!!(大事なことなので3回目略)
この夢を叶えるためには──
もっともっと!この作品が知られなきゃダメなんです!!
⸻
評価
ブクマ
コメント(なんでも嬉しいです、雑談感覚でOK)
リアクション
あなたのアクション、全部が……
“読たんの一押し”が、作者の魂の着火剤になるんです!!
あなたが思っている以上に──
あなたのリアクションやコメントに、作者は救われています。
ブクマ、評価、コメント、リアクション。
その一つ一つが、
「ちゃんと届いてるんだ」って教えてくれるんです。
⸻
可愛いけどやべー子たち!
愛しいのに社会壊すヒロインたち!
このバカで全力で尊いヒロインたちを、
もっと世界に広めるために──
お願い!
あなたの「読んだよ」が、作者のエネルギーになるんです!
⸻
今後の目標:
「薄い本、ください」って言われるくらいのヒロインズを育てたい!
その第一歩を、あなたの一票で……!
相変わらず、モヤシをモシャモシャ食べる日々。
食感は悪くない。安いし、茹でれば3日は保つし、いっそ主食として国に認定してほしいレベルだ。
そんな俺を哀れんでか、ノアが時々差し入れを持って来てくれるようになった。
ただ、飯は豪華でも生活は相変わらず“極貧のまま”なのはご愛嬌だ。
……まぁ、餓死しなきゃいいか。
そう思いながら、今日ももやしとにらめっこしていたそのとき。
ガチャッ――
「うおっ!?」
ドアが開いた。
いや待って? ノックは? 呼び鈴は? ていうか、鍵閉めてたよな俺!?
「潤様。本日、ご相談があって参りました」
え、ちょっと待って今さらっと“参りました”って言った?
なんで訪問が平安時代みたいな形式で来てるの?
「……えっと、鍵、渡したっけ?」
「いえ。渡されておりません。でも“あると便利”なので、作らせていただきました」
……今、なんて?
いやほんとになんて?
“作らせていただきました”って、言い方は丁寧なのにやってること完全に犯罪やんけ。
合鍵って、他人が勝手に作るものじゃないよね?
ノアは当然のように靴を脱ぎ、当然のようにリビングへ上がり込み、当然のように俺の隣に座った。
この子、何一つ“当然”じゃないのに全部“当然”みたいな顔してるの怖ぇよ……。
「で、その相談って?」
「私の友人で、“かえで”という子がいるんですが――最近、マッチングアプリにハマってしまって」
「ふむ、マッチングアプリね……まぁ今どき普通じゃん?」
「ですが、そのアプリ。実は“グループぐるみ”で女性を狙って、ホテルに呼び出して動画を撮り……それをネタに脅すらしいんです」
……おっふ。
一気にアウトの香りしかしない。
てかそれ、完全に逮捕案件。
「で? かえでさんはもうその手口に……?」
「いえ、まだ被害には遭っていません。ですが、“運命の王子はん”という相手と毎晩やり取りしていて……完全に盲信状態なんです」
……運命の王子“はん”。
なんだその、“昭和の恋愛ドラマ”みたいな語尾は。
「それでお願いってのは、まさかとは思うけど――」
「はい。やはりここは、“正義の騎士様”である潤様のお力を借りるべきだと!」
……出たよ。
あのときの、勢いで口にした「正義の味方です!」発言をまるっと信じてるやつ。
「……いや、俺、まだもやし食ってるだけの人間なんだけど」
「実は、Xの裏垢でグループのメンバー募集を見つけておきました!」
仕事、早すぎん?
てか裏垢って言い方に悪意あるやろ。
「潤様の偽名“カズト”で応募してあります。明日、面接とのことです!」
はいぃぃぃぃ!? なんで!?
勝手に俺、潜入捜査員になってんだけど!?
カズトって誰よ!? どこから出てきたんだよその名前!
「場所は、ホテルAQUAの301号室。19時からです!」
いやいやいや! 面接場所がホテルって!!
明らかに健全な企業じゃねぇだろ!
求人雑誌に載ってたらクレーム来るタイプだわそれ!
ノアはスマホを見ながら、どこか誇らしげに“任務完了”のオーラを放っている。
もはや俺が断るという選択肢は、彼女の中に存在していない。
「……まさか、断れない感じ?」
「はい。断ったら潤様に“幻滅”してしまいます」
笑顔でとんでもない圧をかけてくるな、この女優。
あーーー……。
モヤシ生活のままの方が、まだ平和だったかもしれん……。
* * *
こうして、俺は――“王子はん”なる男のいる怪しげなアプリグループへ潜入することになった。
もちろん、自分の意思じゃない。
鍵を勝手に作った奴の押しに負けただけだ。
この件が終わったら……
俺、鍵交換するからな絶対。
【あとがき小話:消えた作者と一人の女】
潤『ところでノア?』
ノア『はい、なんでしょうか?』
潤『……あいつ、いないんだけど。作者。さっきから音沙汰ゼロで、なんか静かすぎない?』
ノア『あぁ、そのことでしたら。』
潤『え、なんか知ってんの?』
ノア『はい。潤様の視界から“完全に排除”しておきました。』
潤『待って待って待って!?なんでサラッと怖い単語使った!?排除って何!?』
ノア『あの方は潤様に無遠慮に話しかけたり、他のヒロインを紹介したり──それはもう、見過ごせない言動ばかりでしたので。』
潤『いやでも作者だぞ!?物語的にはめちゃくちゃ重要ポジションだぞ!?』
ノア『物語より、潤様の平穏が最優先です。……私の中では、潤様さえいれば他は必要ありませんので』
潤『価値観のコアが重すぎるって!!あと作者がいないと話終わんないからね!?進行役だからね!?』
ノア『ご安心ください。今後は私が“すべての管理と構成”を担当いたします』
潤『ダメだこの子……もう社長みたいなこと言ってる……』
ノア『もちろん、潤様の予定表や食事内容、会話の相手も私が選定します。余計な接触を避けるためにも』
潤『社会的に終わるぞ俺ぇぇぇぇ!?』
──遠くで物音がして──
作者『……やっと……セーブポイントに……たどり着いた……』
ノア『……戻りましたか。でも、もう遅いですよ?』
潤『セリフがラスボスなんよ!!』