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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
65/262

第54話『私、スミレ』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

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感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





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今日は最近、大学で知り合った友人の誘いでファミレスに来ていた。


なんでも紹介したい人がいるらしい。


 


ファミレスに入ると、最初に目に入ったのは──


美人な女の人たちと、その輪にまったく似つかわしくない、

黒のTシャツにデカデカとピンクのプリントで【I LOVE もやし】と書かれた、

すっごくダサい服の男。


 


(……なに、あれ……?)


 


思わず視線をそらしていると、隣の友人が笑顔で言った。


 


「ほら!あそこに座ってるのが紹介したい人!」


 


指差した先にいたのは、スーツをビシッと着こなした、清潔感のある男性だった。


 


(……あ、こっちか。びっくりした)


 


私は席に着くと尋ねた。


 


「その……今日は紹介したいって聞いてるけど……彼氏?」


 


「違うわよー彼氏って言ったらそれよりも私の恩人かなー」


 


スーツ男がにこやかに笑う。


 


「ははは!そんなあなたの様な彼女なら歓迎ですよ」


 


「もう!」


 


(あー彼氏自慢かー)


 


そんなことを考えていると、友人が嬉しそうにブランドバッグを見せてきた。


 


「最近私ね、すっごく……ほらこれ!」


 


「そういえば最近やたらと高級なもの買ってるね。彼氏さんが買ってくれてるの?」


 


「やだーだから彼氏じゃないって!彼にいい儲かる方法を教えてもらったの!」


 


(儲かる方法?)


 


正直、眉唾だった。

世の中の「おいしい話」なんて、ほとんど詐欺だ。


 


「そこで!今回いい儲け話があるんですよ!

今なら儲け方を特別にお売りするので、友人の様に儲けられては!?」


 


スーツ男がパンフレットを差し出してくる。


そこにはいかにも胡散臭い謳い文句が並んでいた。


【誰でも簡単に月収100万円】【初期投資たったの30万円】【安心・安全・確実】


 


(うわ……出たよ……)


 


『最近のAIってどれほど優れているかご存知ですか?

AIは言わば人間の脳よりも多くの出来事を保存するデータベース的なものです』


 


(確かに……最近やたらとAIのニュースを目にする)


 


『そこで私どもはいち早く市場に似た類似品が出回る前にAIの著名人と専属契約を交わし、人間では無くAIに株の取引を24時間365日自動で行うプログラムを開発しました!ですので人間によるミスが無くお金を入れておくだけで簡単に増やせるんですよ』


 


(確かに……不可能ではなさそう……)


 


『ほらこの学者、テレビで見たことあるでしょ?』


 


指をさされた写真には、どこかで見たような顔が──たしかに、映っていた。


 


『見た事は……ある様な……ないような……』


 


『でしょ?見た事ありますよね?今じゃテレビでよく見かけますから!うちは独占契約結べて運が良かった!』


 


私は前から考えていた詐欺を撃退する質問をぶつけてみた。


 


「……あのー、なんで自動で儲かるのに……その……私なんかに……?」


 


そうだ、儲かるならわざわざ広める必要なんかないはずだ。


 


『私どもも本当はそうしたいのですが……実は……開発にそれなりに資金を使ってしまっていまして……』


 


『せっかく最高のプログラムが完成したのですが……まぁ……端的に申しますと突っ込む資金不足でして』


 


『ですので!今回あなたのご友人の様に、私どもを信頼してくれる方に情報とプログラムをお売りして、あなた方は楽して儲けられ、私どもは資金を調達できる──Win-Winな取引なのですよ!』


 


「そうよ?私も話を聞かされた時は嘘だなって思ったけど、こうやって毎月お小遣いが手に入るんだもん。ねっ?一緒にやろ?」


 


確かに、最近友人はやたらと羽振りがいい……


あながち嘘じゃないのかも──


 


「わかりました……で?まず、いくらお支払いすれば?」


 


スーツ男は資料と契約書を探し始めた。


 


その時だった。


入店時に見た、もやしTシャツの男と目が合った。


 


彼は、こちらを見て──全力で首を横に振っていた。


 


(……え?)


 


「どないしたんやー?潤君!首が新品のアンパンマンみたいなっとるで!」


「じゅんくん!首取れちゃうよー!」


「うふふあらあら」


 


──うるさい。


でも、ちょっとだけ気になる。


 


(……引っかかる)


 


私はもう一度、質問を投げた。


 


「こちらが契約書です!私どもももっと資金を増やしたいのでご友人を紹介頂ければ更に報酬が」


 


「あのー、儲かるなら、借り入れてでも自己資金でやるのでは?何故一般人の私なんでしょうか?」


 


『それは……そうです!開発の段階で借り入れてしまっていて、追加の融資を受けられないんですよ!』


 


なるほど、あり得なくもない。


 


その瞬間、またもやしTシャツの男と目が合った。


今度は、バッテンを作りながら、さらに首を振っている。


 


(……えぇ……)


 


「じゅんくん?ビームだすのー?ミリーもやるー!」


「せんぱーいその動きキモすぎですって!」


 


──騒がしい。


本当に、騒がしい。


 


「さぁここに印鑑を!」


「ほら!スミレ!早く押しちゃいなよ!」


 


(……どうしよう……)


 


ハンコを取り出しかけた、その瞬間──


 


「もうだめだー!おしまいだーー!!」


 


ファミレスに響く、もやしTシャツ男の奇声。


 


「潤様!おきを確かに!」


「ミリーもやるーおしまいだぁぁぁぁ!」


 


店員が駆け寄り、怒鳴る。


 


「ちょっとお客様!他のお客様の迷惑になりますので静かにして下さい!」


 


──うるさい。


でも、その騒がしさのおかげで、私は冷静になれた。


 


(……やっぱ、これ、おかしいよね)


 


私は印鑑をしまい、席を立った。


 


「やっぱりいらないです。それと、帰ります」


 


「えぇ?私たち親友じゃん!信じてくれないの?」


 


「親友?まだ会って1か月じゃん……こういう話持ってくるなら、もう連絡しないで」


 


私は鞄を持って、席を離れる。


 


出口へ向かう途中、もやしTシャツの男と目が合った。


 


彼は、満足そうな顔で、店員に怒られていた。


 


(……やっぱり、世の中、簡単な儲け話なんてないんだな)


 


 


(友達も──もっと選ばないと)


 


私は小さく笑った。


 


「……バカだなぁ、私も」


 


そう呟きながら、家路を急いだ。






【あとがき小話】


ノア『……今日は暑いですぬ』


潤『………………』


ユズハ『……いま、“ぬ”って言いました?』


カエデ『ノアちゃん、なんか溶けとる……!?』


ミリー『えへへっ、“ですぬ”ってかわいい~! ノアちゃん、ふにゃふにゃしてる~!』


ノア『……っ!? し、失礼しました……! 暑さのせいで思考が……少し……』


潤『え? ノアでも暑さでバグることあるの?』


ノア『……はい。脳の温度が37.6度を超えると、言語が最適化されて“ぬ”がつきます……』


ユズハ『その機能、どこのAIですかぁ?』


カエデ『てか潤くん、言うといたほうがええで? ノアちゃん、冷房の温度下げたら戻るかもや』


潤『えっマジで? じゃあエアコン22度に──』


ノア『……潤様? わたくしが“暑い”と申し上げたのは、

“隣にいる潤様の熱量”のせいなのかもしれません……(微笑)』


潤『あっこれは戻ってない!!別の意味で溶けてる!!!』


 


作者:pyoco(暑くてもノアは溶けても優しい)


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