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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
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第53話『俺、ヤスシ』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.




 


はぁ……。


今日もまた、上司に怒鳴られて、営業先では冷たくあしらわれ、コンビニに寄ればレジに忘れられる。


今日だって、老人の道案内をしてたら、冗談みたいに遅れ、取引先にめちゃくちゃ怒られた。


(……なんなんだ、もう……)


 


夜の帰り道。


人気のない裏路地で、俺はとぼとぼ歩きながら、愚痴をこぼしていた。


 


「ついてねぇなぁ……ほんと、ついてねぇ……!」


「真面目にやってるだけなのに……ほんと報われねぇ。

世の中クソだ!……はぁ……」


 


気分が沈みすぎて、思わずそこに転がっていた空き缶を、ヤケクソで蹴り飛ばした。


 


カコーン!


 


小気味よい音を立てて、空き缶が宙を舞う──が。


 


カコーン!!


 


蹴った缶が勢いよく何かにぶつかる音。


缶は見事に、道端に停まっていた黒塗りの高級車に直撃していた。


 


(……やった……完全にやった……!!)


 


ピカピカのボディに、ビリビリっと走る白い傷跡。


 


震える手を見下ろしながら、俺は絶望した。


やばい……ここは──


 


そう。


地元でも有名なヤクザの事務所前。


 


当然──


 


バンッ!


 


「オラァァァ!!」


 


ドアが開き、黒スーツにサングラス、見るからにアウトな雰囲気の男が飛び出してきた。


 


「てめぇ、どこのもんじゃコラァ!!」


 


コワモテヤクザが凹みを確認すると、鬼の形相で迫ってくる。


 


(ああ……詰んだ……)


 


胸ぐらを掴まれ、


「ワレェ! 舐めたことしやがって!」


 


(ああ……ついてない……ホントについてない……)


 


ガクガク震えながら、必死に謝る俺。


だが、完全に逃げ場なし。


 


その時だった。


 


「……ん?」


 


ふと、視界の端に違和感。


 


路地の隅、電柱の影から、妙に場違いな男が歩いてきた。


 


――黒Tシャツ。

――デカデカと「I LOVE もやし」のピンクプリント。


 


(……な、なんだ、あのセンス……!?)


 


冴えないどころか、異次元にダサい。


だがその男は、誰にも気づかれないようにするりと車に近づくと──


 


俺が缶をぶつけたところを、念入りに何かしている。


 


(は?……何してんだあいつ……?)


 


「ワレェ! 聞いとんのか! おお?」


 


「は、はいー聞いてます!」


 


その間にも、もやしTシャツの男は首を傾げたりしながら車に何かしている……。


 


(あいつ……面白がりやがって……さてはイタズラを……?)


 


「ワレェ、いい加減にせぇ!」


 


「……あっ! あれ……!」


 


俺はもやしの男を指差すが──


ヤクザは目もくれず、さらに激昂する。


 


「おぉテメェーが傷つけたんだろがァ!?」


 


(いや……イタズラされてるって……)


 


そんなやり取りをしている間に、もやしTシャツは満足そうな顔をして、そのままフラリと去っていった。


 


何事もなかったかのように、フラフラと。


 


(……え、え、あいつ行っちゃう!?)


 


思考が追いつかない俺を無視して、ヤクザは俺の肩をガシッと掴み直した。


 


「来いやテメェ!! 傷、確認させたるわ!!」


 


引きずられるようにして車のボディへ連れていかれる。


 


ゴクッ。


生唾を飲み込む。


 


「ほら、ここ見てみやコラァ──」


 


ヤクザの指が指し示したボディを、俺はおそるおそる見た。


 


──そこには。


 


ツルッツルに輝く、完璧な鏡面仕上げ。


 


傷、ゼロ。


 


(…………は?)


 


「……あ、あれ……?」


 


ヤクザも固まる。


 


「いや、確かに、さっき……いや……」


 


しどろもどろになりながら、額に脂汗を滲ませるヤクザ。


 


(……え、なにこれ怖い)


 


「……ま、まぁ……」


 


ゴホンと咳払いし、ヤクザは目をそらしながら言った。


 


「今回だけは……見逃してやるわ」


 


めっちゃ気まずそうに、俺の肩をポンと叩くと、そそくさと車に戻っていった。


 


バタン!


ドアを閉める音だけがやたらと大きく響いた。


 


……俺、助かった?


 


いや、ほんとに?


 


何もしてないのに?


 


思わず、さっきの黒Tシャツの男を探すが、もうどこにもいなかった。


 


ただ──


 


ビルの陰に消えていく背中だけが、ぼんやり見えた気がした。


 


* * *


 


コンビニの袋を下げながら、またとぼとぼ歩く。


 


夜風は冷たいけど、不思議と心はあったかかった。


 


(……世の中、悪いことばかりじゃないんだな)


 


缶ビール片手に空を見上げる。


星は見えないけど、それでも今日は、少しだけ世界が優しかった。


 


(もうちょっとだけ、頑張ってみるか)


 


そう思って、俺は歩き出した。


 


「よし、ついてない日も……たまには悪くない!」


 


笑った顔を、夜の風がそっと撫でた。






【あとがき小話】


ユズハ『……昼マックって、なんかこう……背徳感すごいですよねぇ~』


カエデ『せやせや。あの匂いに負けて食べてもうた時な、

体重計乗る瞬間に「あ、終わったわ……」って悟るんよな』


ユズハ『わかりますぅ~。あの“昼間からこれはアウトじゃない?”って罪悪感……

なのにポテトはやめられないんですよねぇ~』


ミリー『えー? ミリー、昼マックだーいすきっ!

ポテトもシェイクもバーガーも、いっぱい食べちゃうもんっ!』


ユズハ&カエデ『こいつ!!!!!』


カエデ『なんであんたは罪悪感のカケラもないん!?』


ユズハ『共感する気持ちとか、申し訳なさとか、ちょっとは持ってくださーい!』


ミリー『えへへ~!罪悪感もミリーのお腹に消えちゃった~っ♪』


ユズハ『消化すな!!!』


カエデ『ほんま、もぉ~~ミリーは“胃袋の背徳系ヒロイン”やで……』


ミリー『じゃあ今度、みんなでお昼マックしよ~っ♪』


ユズハ&カエデ『行くけどな!?』


 


作者:pyoco(結局全員行くの、好き)


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