第52話『私、ミチコ』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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『えー、ミチコ、この間の合コンまたダメだったのー? これで何回目ー?』
『だってー、ビビッとくる人いなかったんだもん!』
『うわ、出たよー、また運命の人的なやつ〜。そんなこと言ってるから、いつまで経っても彼氏できないんだよー。』
『いいもん! 絶対そのうち現れるもん! この人すっごい魅力的だなーって人!』
『あーはいはい、魅力的な人ねー。でもあんた、合コンは私がセットしてあげるから、出会い系はやめなー? 変な人もいるから慎重にねー。』
私は昔から憧れてた。
運命の人──
そう、こう、ビビッと魅力的だって感じる出会いって、絶対あると思う。
みんな周りは彼氏いたりするけど、私はちゃんと探すんだから。
この間の合コンだって、みんな収入は良かったけど、イマイチ惹かれなかったし。
この人なら──って、妥協したくない。
だから、出会い系でもなるべくバンバン会ってみて決めてる。
……まぁ、全然ダメだけど。
そのせいで──
ここ最近、ずっとつけられてる気がする。
ゴミ袋開けられたり、ポスト荒らされたり。
帰り道も、視線を感じる。
気持ち悪い……。
でも警察に行っても、
「気のせいでは?」「何か実害が?」
とか言われて、全然動いてくれない。
運命の人に出会いたくて出会い系に飛び込んだけど、
少しだけ、ほんの少しだけ後悔してる。
* * *
『でさー、ってちょっと聞いてるの? ミチコ!』
『あっ、うん、なんだっけ?』
『もぅ! 最近なんだか変だよ? どうしたの?』
『最近、誰かに見られてる気がするんだよね……』
『ほらー、だから言ったじゃん! 知らない人と会うのは危ないよって! 警察には相談したの?』
『したけど……』
『はぁ……で? ダメだったと……心当たりとかないの?』
『わからないよ! 今月だけで7人と会ったし!』
『げっ! 7人!? あんたねー、いい加減にしなさいよ! いつまでも運命の人とか言ってないで!』
『はいはい、わかりましたー』
『ミチコ? 私は心配だから親友として言ってるの! 本当に危ないからやめなって!』
そんなこと言ったって、この地球には男の人は何億人っていて、
一人ぐらいはビビッとくる人がいるはずなんだ。
私は、諦めたくない。
運命の出会いなんて──。
親友と別れ、帰り道。
話が盛り上がって、少し遅くなってしまった。
最近のこともあるので、早歩きで帰る。
『ミチコさん!』
えっ?
振り返ると──
この間、出会い系で知り合った男だった。
画像では超イケメンだったけど、会ってみたら……別人。
カフェで30分だけ話して、テキトーに流したやつ。
『あなただったの!? 最近私をつけてたの!
いい加減にして! 気持ち悪い!
私は運命の人と出会いたいのであって、あんたみたいなブサメン興味ないの!』
『ぶ、ぶさめん……? 僕が? ミチコちゃんにビビッと来たんだ!
彼氏いないっぽいし、僕と付き合って!』
『やめて! 警察呼ぶわよ!』
『ミチコちゃん! ぼ……ぼくは本気だあぁぁぁ!』
逃げようとした、そのとき。
ツルッ──
掴まれた拍子に転倒してしまった。
『ミチコちゃん……』
いや、やめて──!!
その時──
『あのー、やめてもらえませんか?』
えっ?
前には、黒いTシャツの男の人が立っていた。
『なっ、なんだチミは!? ミチコちゃんは僕の彼女だぞ!』
その男の人は、俺を一瞬チラッと見て、ため息をつきながら言った。
『ミチコさんは、僕の彼女です。』
『はぁ? チミなんか、ミチコに釣り合わないだろ!?』
『これでもですか?』
──その瞬間。
その男の後ろ姿は、まるで白馬の王子様のように見えた。
今まで感じたことのない、ビビッとくる感じ!
ずっと探してた、魅力的な人──!
『ぐっ!?』
『そうよ! 彼は私の彼氏なの! もう相手はいるから近づかないで!』
そう叫んだ私を見て、
ブサメン男は悔しそうに去っていった。
『あの、大丈夫ですか?』
その男の人は、とても優しい声で語りかけてくれた。
そう──これこそが、
運命の出会いだわ──!!
ずっと探してた、魅力的な人!
『はいっ、大丈夫です……あの、よければ……』
『へっ?』
その声と共に振り返った。
──目に飛び込んできたのは。
真っ黒なTシャツに……
ピンクの文字のプリント……
【I LOVE もやし】
だっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
100年の恋も瞬間冷凍。
見た目は冴えないし、雰囲気もボロボロの男。
さっきまでの魅力的な後ろ姿はどこへやら。
『大丈夫ですか?』
『あっ、ええ、ありがとう……』
『それならよかった! 気をつけてくださいねー!』
うん──。
ビビッとくる運命の出会いなんて、ないのかもしれない。
たしかに、助けられたあの瞬間。
彼は後ろ姿だけは、ものすごくカッコよかった。
でも──
振り返った瞬間。
あまりのダサさに、すべて吹き飛んだ。
* * *
『ねぇ聞いてるの、ミチコ?』
『えっ?』
『ほら、今週合コンセットしてあげるってー!』
『あぁ……もういいや。』
『えっ、どうしたのあんた!? あんなに運命の人とか言ってたのに?』
『運命の出会いなんて、ないのよ……』
『えっ、あんたがそれ言うの!?』
──そう、運命の出会いなんて、きっとない。
ビビッときたとしても、
それは、たぶん──
雰囲気とか、瞬間の錯覚。
そんなものなんだと思う。
【あとがき小話】
潤『……はぁ……』
カエデ『どしたん潤くん? なんか魂抜けとるで~?』
潤『朝からノアにスケジュール管理されて、昼にミリーに飛び蹴りされて、
夕方ユズハに“先輩って疲れてる顔も可愛いですね~”って煽られて……』
ミリー『えへへ~!潤くんの顔、すごーくおもしろかったよっ!』
ユズハ『期待してないですけど~? ブックマーク、してくれたら元気になるかもですよぉ?』
ノア『潤様が倒れても……私が抱きかかえて動かしますから』
エンリ『……安心してください。今日は、マッサージ用のオイルを用意していますから』
潤『もはや俺の自由意志どこいった!? あとがきってこんな戦場だったっけ!?』
作者『ふふ……これが“潤のいる日常”なんだよな……(遠い目)』
潤『いや、作者までポエムモード入ってんじゃねぇよ!!!』
作者『この物語は……もやしのように、細く強く、しなやかに──』
潤『もういい加減黙れ!!!あとがきで人生観語るな!!!』
作者:pyoco(潤の寿命が3年縮みました)