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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
61/262

第50話『俺、ミッチーランドを満喫した』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.



――パレード地獄を終えた俺に、休息は訪れなかった。


 


「潤様〜っ! あの観覧車、カップル専用みたいですっ! 潤様と二人で乗れたら私は……」


ノアが指差すその先には、煌びやかなイルミネーションに包まれた巨大観覧車。


 


するとミリーが駆け寄り、俺の腕にぎゅっと抱きつく。


「じゅんくんっ! こっちこっちー! ミリーね、あのメリーゴーランド! じゅんくんと乗りたーい!」


 


続いてカエデが擦り寄り、


「潤くん、うちはジェットコースターや! 叫んだらストレス発散やで〜!」


その声の先には、異様なオーラを放つアトラクションの看板。


【心臓の弱い方、高齢の方、幼児──その他大勢、自己責任でご乗車ください】


 


えっ……自己責任って、もはやエンタメ名乗っちゃいけないレベルじゃねぇの?


 


「潤さん、お化け屋敷もあるようですよ。……ふふ、怖がる潤さん……楽しみですね」


エンリが涼しい顔でパンフレットをめくりながら、不穏な微笑みを向けてくる。


あの、俺、まだ何もしてないよね?


 


するとユズハが俺の腕に飛びつき、耳元で甘ったるい囁き。


「せんぱ〜い! ユズハはぁ〜、先輩とぉ〜、二人きりでぇ〜、お化け屋敷入りたいですぅ〜」


「きゃーこわーい!って抱きついちゃったりしてぇ〜?」


 


おい、待て。

何、その可愛さに全振りした爆弾。


 


「もしかしてぇ〜、想像しちゃいましたぁ? 顔、真っ赤ですよぉ〜?」


 


ユズハがにっこり。


やめろ、ほんとやめろ。

視線が、視線が刺さる!


 


そんな俺に、ノアがピシッと指差す。


「潤様から離れてください! 潤様は、私とペアになるべきです。他は──補欠!」


 


「えーずるいですー! ねぇせんぱ〜い? ユズハとペア、嬉しいですよねぇ〜?」


「ミリーもじゅんくんと一緒がいいのー!」


「潤君、うちといこな? スリル満点で絆深まるでぇ?」


 


五人五様の押し寄せる欲望。


全員ガチ。


俺、サンドバッグ。


 


そこでエンリが、天使の微笑みで仲裁に入った。


「潤さんは……みんなのもの、ですから」


 


……は?


みんなの、もの?


 


俺、人間だよね!?

所有物じゃないよね!?


ツッコミを入れる間もなく、俺は左右から引っ張られ、背中を押され、首根っこを掴まれ、強制連行されていた。


まぁ──


こんなのも、悪くないかなって思ったのも束の間だった。


 


* * *

 

【ジェットコースター:ミッチードリームライド】


 


「ほら行くでー潤君!」


 


連れられてきたのは、

ミッチーランド名物──ドリームライド。


 


いや、名前めっちゃ可愛いけど、

注意書きに「自己責任」って普通書くか!?


てか、「搭乗には誓約書提出を求めます」ってどういうことだよ!?


 


ユズハが俺の腕に絡みつき、顔を覗き込んでくる。


「せんぱ〜い、もしかしてー? 怖いとかぁ? 今ならユズハちゃんが助けてあげてもいいですよぉ?」


 


「言うか!!」


俺は胸を張った。


この幾多の修羅場を潜り抜けた俺が、こんな子供向け遊園地の乗り物にビビるわけ──


 


──そう思ってた時期が、俺にもありました。


 


『きゃああああああああああ!!!』


 


甘かった。


嵌められた。


完全に罠だった。


 


気づいた時には、

俺は一人用の「特等席」──ジェットコースター先頭に座らされていた。


 


後ろからは、カエデとユズハの爆笑と、ミリーの黄色い悲鳴が重なる。


 


「きゃー潤くーん!」


「先輩、顔死んでるぅ〜!」


「じゅんくん、がんばれぇ〜!」


 


(うるせえぇぇぇ!!!)


 


ジェットコースターはギチギチと音を立てながら坂を上る。


視界には、地平線と──やたらくっきり見える地面。


 


……高ぇ。


これ、高すぎるって。


てか、景色見えた瞬間に冷静になるやつじゃない、これ。


 


ゴゴゴゴゴゴゴ!!!


 


落ちた。


世界が。


 


「もぉぉぉぉやめでええええぇぇぇぇ!!!」


 


俺の絶叫は、ミッチーランド中に響き渡った。


 


隣で、ユズハとカエデが腹を抱えて爆笑してるのが、逆にスローに見えた。


 


魂、置いてきたわ──。


 


『せんぱーい泣いてますぅ? 慰めてあげましょかぁ?』


 


ユズハが、満面の悪戯顔で俺の右腕にぶら下がってくる。


 


『潤君、きゃーって叫びすぎや! あんなん初めて聞いたわ〜!』


 


カエデが涙流して笑ってる。


 


くそっ、絶対今度は逆に泣かせてやる……!!


 


「次はミリーの番だよー! メリーゴーランド行くのー!」




ミリーとエンリに手を引かれ、辿り着いたのは──


【ミッチー名物・メリーゴーランド(馬車ver)】


 


「じゅんくんは、あのお馬さんねーっ!」


ミリーが指差したのは、白馬型のライド。


「ミリーとエンリさんは、こっちの荷馬車〜!」


 


俺が白馬にまたがり、

ミリーとエンリが後ろの荷馬車に乗り込む。


 


ポップな音楽が流れ始め、場が無理やり盛り上がる。


 


「えーいえーいっ!」


ミリーが腕を振ってノリノリではしゃぐ。


 


「えーいえーい♪」


エンリも微笑みながら合わせてる。


 


負けてられるか!


男としてここで乗らずにどうする!!


 


「よーっし!! えーイェーイ! えーいえーい! ふぉーふぉー!!」


 


「えーいっ! ふぉーふぉー!」


ミリーもエンリも楽しそうに返してくれる。


 


段々、音楽もテンポアップ。


盛り上がる俺たち。


 


(……いや、俺たち、だよな?)


 


そのとき、後ろから──


 


「ままー、みてー! あのおじさん、すっごく楽しそうー!」


「ほんとね〜。ああなっちゃダメよ?」


「うん、ぼく、やらないー! 恥ずかしいもん!」


 


え?


 


振り向くと──


 


ミリーとエンリは既に、女子トークモードに戻ってた。


俺一人だけ、白馬の上で、全力ハイテンション。


 


……恥ずかしいっ!!!


 


顔から火が出そうなまま、俺は白馬を駆け抜けるしかなかった。


 



ミッチーランド名物──【ミッチー恐怖の館】。


俺も名前だけは聞いたことがある。

なんでも、日本の「本当に怖いお化け屋敷ランキング」に載ってるらしい。


 


──が、俺は内心、ちょっとだけワクワクしてた。


普段は凛としたノア。

あの完璧超人が「きゃー!」とか「こわい〜!」とか、そんな姿を見られるかも――


 


「潤様、こちらへ!」


 


ノアが差し出す手。


 


「潤様、離れないでくださいね?」


 


……いやいや、エスコート完璧すぎだろ。


 


暗がりの中、ピシッと背筋を伸ばして、頼もしさ全開。

むしろ、俺がヒロインみたいな扱いされてるんだが?


 


「潤様……私だけを見ていてください」


 


(いや、怖いのお化けじゃなくて君じゃない?)


 


「ありがとう、ノア……。うん、怖くないや……お化け屋敷なのに」


 


ここ、恐怖を楽しむ施設だよな?

今、ただただノアの堅牢な守備力に安心してるだけなんだが。


 


「潤様……一生私と……」


「潤様、結婚式はいつにしましょう?」


 


……え?


 


「潤様……私以外、見ないでくださいね?」


 


おい待て、さっきからサラッとすごい単語混ぜてきてるよな?


 


「ちょっとノア? 今なんか、物騒なこと囁いてなかった?」


 


「いえ? ほら、潤様。もっと、近くに」


 


そう言って、ふわりと俺に寄り添ってくる。


 


「ノアって、こういうの平気なんだな……」


「はい。潤様……私がすべて、お守りしますから」


 


(いや違う、そうじゃない)


 


本来なら、もっと「ぎゃー!」「怖いよー!」ってなるところだろ!?

なのに俺の手をぎゅっと握りながら、涼しい顔で刷り込み作業してるんだけど!!


 


しかも、時々――


 


「潤様……一生離れません……」


 


ボソッと呟くのが、地味に怖ぇんだわ!!!


 


結局、俺は一度も「恐怖の館」でビビることなく、

ただただノアに密着され続けた結果。


 


(ランキング入りって何……?)


 


ミッチー恐怖の館、潤の心には一切恐怖を刻めず、ただノアの存在だけが焼き付いたのであった。


 


* * *



 


ジェットコースターとメリーゴーランドという魂削りイベントを終えた俺たちは、

ようやく、ようやく「休憩」という言葉に辿り着いた。


 


「潤さん、こちらへどうぞ」


 


エンリが、ミッチーランド内のラウンジに案内してくれる。

そこは──まるで別世界だった。


落ち着いたジャズが流れ、ふかふかのソファ、完璧な空調、そして──人がいない。


 


(ここ……天国かな……?)


 


俺は崩れるようにソファへ沈み込んだ。

天井を見上げる。何もない。

つまり、何も起きない。誰も叫ばない。誰も絡んでこない。


 


これが……これが文明ってやつか……!!


 


「じゅんくんっ!」


 


はい、終了ーーー!!!


 


ミリーがトコトコ駆け寄り、俺の膝に頭を乗せてきた。


 


「おつかれさま〜。ひざまくらサービスだよっ!」


──って、ミリーがされる側なのね?


「いや、サービスとかじゃ──」


 


言いかけた瞬間、右肩に何かが乗っかる。


 


「せんぱ〜い、マッサージさせてあげまーす♡」


 


ユズハだった。

──てか、俺がする側かよ……。


 


さらに左手に、冷たいジュースが押し付けられる。


 


「潤くん、これ、うちのスペシャルブレンドや! 一気飲みやで!」


 


カエデの無邪気な笑顔。


 


(いや、どんなブレンドかくらい説明しろよ!!

絶対ろくなもん入ってないだろ!)


 


追い討ちをかけるように、ノアがスッと隣に座る。


 


「潤様、これ……申し込み書です。どうぞ」


 


──なんの!?


 


(休憩とは!?)


 


 


「みんな──少し、落ち着きましょうか?」


 


エンリの柔らかな声。

穏やかに、天使のように微笑む。

──しかし。


 


そこには、圧倒的な威圧感があった。


 


空気が、ビシッと引き締まる。


 


彼女が一歩前に出るだけで、ミリー、ユズハ、カエデ、ノア。

全員の動きがピタッと止まった。


 


(なにこの支配力……エンリさん、前世、絶対王だっただろ……)


 


「潤さんは、たくさん頑張ったんですから。ゆっくり休ませてあげましょうね」


 


そう言って、エンリは俺の横にそっと座った。


 


──なにも押しつけない。

──なにも強制しない。

ただ、微笑んで寄り添うだけ。


 


(……あぁ、やっぱ、女神だわ)


 


俺は目を閉じた。

心地よい温度と、安堵の香りに包まれて──

しばし、本当に、眠りに落ちそうになった。


 


 


──そして、聞こえた。


 


「エンリさん、怒らせたら、あかんな……」


「せんぱい、エンリさんって、実は一番こわ……」


「潤様も……きっと、もうお気づきですよね?」


 


ヒソヒソと、耳打ちするヒロインたちの声。


 


(いや、全部聞こえてるからな!?)


 




ラウンジ休憩という名の天国(と地獄)を終えた俺たちが辿り着いたのは──


夜空に浮かぶ、ミッチーランド最大のランドマーク。


 


観覧車。


 


「潤様っ! あれ……カップル専用みたいですっ!」


ノアが指差す先には、夜空に浮かぶ煌びやかなゴンドラ。


 


「じゅんくーんっ! 一緒に乗ろーっ!」


ミリーが駆け寄り、


 


「せんぱーい! ユズハは〜っ、先輩のお膝がいいですぅ〜!」


甘えた声でユズハが腕に絡み、


 


「潤君、うちはぎゅーっとしながら乗るわ!」


カエデが笑顔で抱きつき、


 


「潤さん……寒かったら、私が温めますね」


エンリが優しく微笑む。


 


(……え?)


(このゴンドラ、密室だよな? 逃げ場ないよな??)


 


気づいたときには、俺はすでにゴンドラに押し込まれていた。


もちろん──全員セットで。


 


ゴンドラがふわりと浮かび上がる。


夜景がゆっくりと広がっていく。


 


「今日は楽しかったねー!」


ミリーが足をパタパタさせながら、無邪気に笑った。


 


「先輩の〜悲鳴をあげながらのジェットコースター、顔が酷かったんで〜写真買っときましたぁ(笑)」


ユズハがにやにやしながら写真を見せてくる。


 


(……うっ、確かに酷い)


 


写っていたのは、白目を剥いて、口をあんぐり開けた俺の姿だった。


 


「潤君、ありがとうな♪ またみんなで来ような〜!」


カエデがニコッと笑い、


 


「ええ、ぜひ。また皆で来ましょう」


エンリが穏やかに頷いた。


 


「そうだな……また来ような」


俺も、自然に笑顔になっていた。


 


会社も持ち直し、こうやってみんなと笑える日常が戻ってきた。


こんな、普通の幸せが、何よりも温かい。


 


しかし──


 


その空気を、たった一言が打ち砕いた。


 


「潤様……」


 


ノアが、静かに俺を見つめる。


 


「どうした、ノア?」


 


「この観覧車には──ある噂がありまして」


ノアはそっと視線を落とし、顔を赤らめた。


 


「その……てっぺんでキスをしたカップルは……永遠に結ばれると──」


 


 


時が、止まった。


 


今日一日、笑い合っていたヒロインたちの顔が。


 


にこやかだったその笑顔が。


 


一斉に──


獲物を狙う猛獣のそれに、変わった。


 


 


(え、ちょ、待っ──)


 


「潤様、こちらに」


「じゅんくん、こっちー!」


「せんぱーい! こっちですよぉ!」


「潤君、うちが先や!」


「潤さん……私と──」


 


俺を巡って、全員が一斉に迫ってくる。


 


「いーやーーーーーーーーーーーー!!!!」


 


俺の悲鳴が、ゴンドラの中に木霊した。




【あとがき小話】


作者『なぁ潤……覚えてるか?』


潤『何がだよ』


作者『前に言ったじゃん?ヒロインにてー出したら、カリブ海背泳ぎ横断回書いてやるって』


潤『あー……あの、俺の自由意志ガン無視の脅迫文句な。忘れてねぇよ』


作者『実はさ……GW、各ヒロインとのデート回、書くんだよね』


潤『………………あ?』


作者『つまり、ノア、カエデ、ミリー、エンリ、ユズハ……もれなく、てー出すイベントあります』


潤『おい待て、じゃあ俺カリブ海5往復か?背泳ぎで?魚雷撃たれながら?』


作者『当然だよ? 俺の作品だから、ルールも俺が決めるの。あと全距離GPSで管理するからズル禁止な』


潤『どこが作品のあとがきでGPS管理の話してんだよ!?完全にブラックな裏社会じゃねぇか!!』


作者『ちなみにね……すごく悩んだの。

13話に登場した“浦間サチコ”――あの悪徳占い師のババアとのデート回も挟もうかって。ちょっとだけ気ぃ遣ってさ』


潤『気ぃ遣った結果それ!? サチコって名前だけで不安しかねぇのに!?』


作者『でもね、やめた。優しさってこういうことだから』


潤『……お前の優しさ、地獄から生えてるの?』


作者『じゃ、“潤、地獄のGWデート連発編”、よろしくな!!』


潤『もはや本編より俺の寿命が気になる構成なんだが!?』


 


作者:pyoco(あとがき=潤制裁予告所)

※その前に違うエピソード挟みます

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