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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
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第49話『俺、ワンダフルくん』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.



 


今日は会社の再出発を祝って、みんなでミッチーランドに来ていた。


まさか、こんな日が本当に来るとは。社長業はまだまだ落ち着かないけど、たまには息抜きも必要――だと、俺は信じている。たぶん。いや、信じさせてくれ。頼む。


 


「お土産コーナー、先に見てきますねーっ!」


 


開園と同時に飛び出していくヒロインズ。そのスピードたるや、すでにアトラクション。


俺が口を開く間もなく、四方八方に散っていく背中。声なんて、届くはずもなかった。


 


……いや、もうちょっと落ち着いて行動しろよ。せっかくの記念日なんだからさ。


 


「せんぱーい♪ こんなパンツありましたよー!」


 


何かをぶんぶん振り回しながら、ユズハがこっちへ走ってくる。その手にあるのは……え、なにこれ。


 


「ユズハが選んであげましたから、今履いてみますぅ?」


 


どう見ても犬の顔がプリントされた、謎すぎるボクサーパンツだった。


 


「履かん。断じて履かん。てか、誰向けなんだよこのセレクト……!」


 


続いて現れたのは、頭にウサ耳をつけてぴょこぴょこ揺らすミリー。


 


「じゅんくん!ミリーもお耳買ったのー! 可愛いでしょー?」


 


うん、ウサ耳は分かる。テーマパークだしな。


 


「じゅんくんもこのマッチョポリスメンの大胸筋パッドつけよーよー!」


 


……なんで方向性ぶっ飛んでんだよ!


 


「待て待て、どこの層狙ってんだそれ!? 何で俺が筋肉パッド装備しなきゃならんのだよ!」


 


後ろからぬるりと伸びてくる、カエデの腕。


 


「潤くんはこのカップル手錠、うちとつけなー?」


 


見た瞬間分かる。コレ、絶対トイレ行けないやつだ。逃げ場ゼロの監禁アイテム!


 


「即却下! どこの地獄の拷問グッズだよこれ!」


 


さらにトドメのように、まっすぐ迫ってきたノアがパンフレットを手に、涼やかに宣言した。


 


「潤様!こちらには貸し切り結婚式のプランがございます! お衣装合わせも本日可能と――」


 


「飛びすぎだろ話が!! 流れが完全にプロポーズ後なんですけど!!」


 


一人ツッコミラッシュ。めまいがしてきた……。


 


「潤さんは、あちらのベンチでお休みになってください。私たちで少し見てまいりますので」


 


エンリ……君が女神か。


指定されたベンチへと、ふらふら移動していく俺。背中ではヒロインズが再び盛り上がり始め、耳元では永遠に流れるテーマソング。


ミッチーランド、おそるべし。


 


* * *


 


どれくらい歩いただろうか。ふと、視界にぽつんと置かれた一体の着ぐるみが入った。


その姿は、日差しを浴びてぐったりとしぼんでおり――どこか、哀愁を漂わせている。


 


「……ん? 着ぐるみ?」


 


近づいてみると、どう見ても犬。耳がぴょこぴょこ、鼻がつんとしてて、尻尾もくりんとカールしてる。


あーこれ、“ワンダフルくん”とかいうミッチーの仲間キャラじゃなかったっけ? たしか人気投票124位とかで、ギリギリ生存ラインだったような。


 


「ちょっとだけ、触ってみ――」


 


「お疲れ様です! 写真会の時間です!」


 


「はぁ!? ちょっ――」


 


気づけば係員に両脇をがっちり固められ、着ぐるみを強引に被せられ――


 


──俺、今、犬になってる。


 


しかも周囲には、ずらりと並ぶキッズたち。小さな瞳が一斉にこっちを見つめている。


うわっ、これマジで“ワンダフルくんの写真会”じゃん!?

やばいやばいやばい、下手に動いたら夢ぶっ壊すやつだ!


 


「えーと……ワンワン?」


 


ぎこちない声と動きで、手を振ってみた。


 


【ユニークスキル発動:演者】

対象になりきり、そのキャラらしい動作・表情・声質を再現する。

※演技の完成度は使用者の知識と想像力に依存します。


 


首を傾げ、耳をピクピクさせ、尻尾(的な何か)を振ってジャンプ。


だが――


 


「ママ! ワンダフルくん、二足で歩いてるー!」


「こわい! ワンダフルくんが人間になってる!」


 


……まさかの逆効果。


 


「な、なんで!? 普通に犬やってるだけなんだけど!?」


 


二足歩行がアウトか!? じゃあ四つん這いになればいける!?


……着ぐるみで四足歩行とか、地獄以外の何物でもないんですけど!?


 


「よいしょ……うぐっ……せいっ……!」


 


息切れしながら、必死に四足歩行スタイルに切り替える。汗が滝のように流れ、視界はゼロ。呼吸もキツい。


 


「うわあ!ワンダフルくん、変な歩き方してるー!」


「ワンダフルウォークじゃなーい!」


「なんかキモい……」


 


な、なに!? ワンダフルウォーク!? 必殺技か何か!?


俺のはむしろ、ワンダフル四肢崩壊スタイルなんだが!?


 


脳内に浮かんだのは、あの伝説のホラー映画。


――そう、エクソシスト。


 


思い出したら身体が勝手に動いた。


四つん這いの状態から、背骨をミシミシいわせてグニャグニャにくねらせ、グリングリンと地を這うように前進!


 


これぞ、俺流“ワンダフルウォーク・カオスver(仮)”!


 


「キャーーーーッ!!」


 


悲鳴。いいえ、歓声でした。


 


「すごい!ワンダフルくん、バク転しそうー!」


「ガクガクしてるのがリアルー!」


 


なぜウケた。今のどこがウケた。


お前ら、感性ぶっ飛びすぎだろ!?


 


──とはいえ、助かった。拍手喝采されるワンダフルくん。俺じゃなくて、中の“彼”が讃えられてる気がして、ちょっと複雑だが。


 


……まだ続きます。


* * *


 


写真会をなんとか乗り切り、全力でゼェゼェ言っていた俺の耳に、さらなる地獄の鐘が鳴り響いた。


 


「パレード、出番でーす!」


 


「……まだあんのかよおおおおおおお!!」


 


魂の叫びもむなしく、俺はそのままワンダフルくんのまま、パレード列の先頭に配置された。


音楽が鳴り響く。装飾がきらめく。後戻りなど許されない――完全に、詰み。


 


「ハイ、ワンダフルくん、元気よくいってくださーい!」


 


……ああもう、やってやるよ!!


 


「ワンダフルくんーーー!!」


「こっち向いてー!」


 


子どもたちの歓声。俺は手を振り、跳び、回転し、スピンまで加えて踊る。


 


完全オリジナルの、ワンダフルダンス(俺解釈)。


 


……あれ? ちょっと楽しいかもって思った自分をぶん殴りたい。


 


蒸し風呂のような着ぐるみの内部。視界ゼロ。変なところに肩当てが食い込む。たぶん、さっきのバク転もどきで腰いった。絶対湿布必要なやつ。


 


「ワンダフルくん、汗だくだー!」


「本物だー!」


 


なんで“リアリティ”で感動されてんの!? 俺、役者魂見せに来たわけじゃないんだけど!?!?


 


途中、何度か足を滑らせかけたけど、スキル《演者》の補正なのか、体勢は神業レベルでリカバリー。っていうか、これ絶対中の人変わったとか言われるパターンだよね……。


 


それでも、俺は前を向いていた。全力でジャンプし、回転し、地面を転がる。


 


子どもたちは、笑っていた。歓声をあげていた。


 


それだけが、俺の支えだった。


 


──そして、ついにパレード終了の合図が響く。


 


スタッフが拍手で出迎える中、俺はバックヤードに転がり込んだ。


 


ゴロンッ!


 


着ぐるみを脱ぎ捨てた瞬間、全身から湯気が上がるレベルの汗が吹き出す。シャツもズボンも、絞れるどころか、洗濯機を2回回した後みたいな有様だった。


 


呼吸は荒く、体は限界。腕も、足も、腰も、すべてが悲鳴をあげていた。


 


でも――


 


「……終わった……俺、ワンダフルくん、完走した……」


 


その瞬間だった。


 


「じゅんくーん!!」


 


勢いよく飛び込んできたのは、ミリー。


 


「やっと見つけたーっ! もう、どこ行ってたのーっ!」


 


抱きついてくるミリー。うっ、汗が……いや今はそれどころじゃないか。


 


「潤さん、どこに行かれてたんですか?」


 


静かに、しかし確実に詰め寄るリア組の筆頭、エンリ。


 


『先輩〜、お土産はパンツじゃイヤですかぁ?』


 


またパンツの話かよ、ユズハ……!


 


『潤くん、勝手に消えたらあかんよ〜? ウチ、心配で泣きそうやったわ〜』


 


泣いてないやろその顔!


 


『潤様……もう二度と、私の目の前から消えないでください……』


 


あっ、なんかすごい本気な顔のノアが来た。


 


「ちょ、ちょっと待て、みんな……!?」


 


俺、そんなに心配されてた……?


 


「ちょっと、ワンダフルくんをリスペクトしてたわ」


 


『え〜っ!? 先輩が!? マニアックすぎますぅ〜!』


 


ユズハの目がギラギラ光る。やばい、何かスイッチ入ったぞ。


 


『ワンダフルくんって人気投票124位の……えっと……骨付き肉が好物のやつですよね〜?』


 


なんでマイナーキャラのプロフィールそんなに詳しいんだよ。


 


「……もう、なんでもいいよ。今日から俺、ワンダフルくんのファンになるわ」


 


『じゅんくんっ!じゃあ、ミリーとお揃いの耳もつけよっか!』


 


「断るぅぅぅぅ!」


 


──こうして、俺の“ワンダフルくん”初出演は幕を閉じた。


体に染み付いた汗と羞恥と筋肉痛が、この日を忘れさせてくれそうにない。


 


でも、不思議と――ちょっと、楽しかったかもしれない。


 


それが、演者の力なのかは知らないけど。




【あとがき小話】


作者『じゃあお待ちかね!魔法少女――いや、“魔女っ子リア☆彡”の変身シーン、どうぞッ!!!』


リア『……本気で、やるのですか?』


作者『本気と書いてマジだよ!頼むよリア……!俺の魂がこれを見ないと成仏できないんだ!!』


潤『いやお前まだ死んでねぇだろ。生きてるよね?』


作者『お願いぃぃぃぃキュピィィィィィンッ!!!』


リア『……はぁ……』


(※リア、目を閉じて一瞬だけ深呼吸)


リア

『……いきます。……あ、あくまで演技ですからね……?』


\★彡━━━━━━━━━━━━━━━/

リア『漆黒の夜に知性の雷!

ページをめくるその指先に、運命が踊る――!』

リア『知の魔導書、今こそ解禁!

魔女っ子リア――キュ☆ピ☆キュ☆ピ☆変身完了です……っ!!』

\━━━━━━━━━━━━━━━★彡/


(※魔法陣エフェクト出た気がした)


潤『…………』


作者『さいこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!(バンザイ土下座)』


潤『リア、今の……本気でやってたよな?しかも星飛ばしてたよな?』


リア『……死にたい……(顔真っ赤)』


作者『尊い……これは人類の叡智の結晶……!!俺のなかの魔力が浄化される音がする!!』


リア(小声)『……作者さん』


作者『へっ?(とろけ顔)』


リア『“完全消滅魔法アポカリプス・ロジック”……詠唱、完了しました』


作者『──あっ』


(※数秒後、作者が光に包まれ転送されました)


 


作者:pyoco(魔力消失中。復旧未定)


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