表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
59/262

第48話『俺、株主総会に立つ』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.


臨時株主総会。


 


ホテル最上階の大会議室は、重たい空気に満たされていた。

スーツの男たちがずらりと並ぶ異様な光景。取引先、株主、関係者、どいつもこいつも堅物のフルコース。

おまけに全員が、まるで“死刑執行ボタンのテスト中です”みたいな顔で、こっちをジロリと睨んでくる。


 


(いや、ちょっと待て……これ、絶対俺、処される側じゃん)


 


なんなら、俺が首輪つけられて壇上に上がるんじゃないかってレベル。

そんなんだったら犬の着ぐるみの方がよっぽどマシだったわ!


 


……笑いごとじゃねぇけど。


 


隣を見ると、みりーが俺の腕にぎゅっとしがみついている。

目が真っ赤だ。泣いたまま、まだ拭いてない。そんな顔で見られると、心が折れそうになる。


 


カエデは――珍しく静かだった。

腕を組んだまま、目を伏せている。いつもの「潤くん潤くん」な甘えた空気は一切なし。

あれ? これカエデの“怒る前”のやつでは……?


 


エンリは俺の背にそっと手を添えていた。

何も言わない。ただ、その手が「大丈夫」と語っていた。


 


そして、ノアの姿は――ない。


 


(ノア……なんで来てくれないんだよ)


 


その問いは、飲み込むしかなかった。


 


「さぁー皆様、お集まりのようですし。そろそろ始めましょうか」


 


壇上でマイクを握るのは、当然――三ツ森シン。


こいつが誰よりも堂々と“主役面”してるのが、マジで腹立つ。

いや、俺のイベントでなんでお前がセンター立ってんだよ。


 


「まずは今回の臨時株主総会の目的と、当社の現状についてご説明します」


 


資料の読み上げが始まる。


業績の悪化、不透明な資金流れ、人材流出、社内統制の弱さ――


次々に出てくるネガティブワード。

株主の顔が歪むたびに、俺の胃も捩じれていく。


 


(あああああ……これは……終わったやつじゃん……)


 


みりーが袖をぎゅっと掴む。


カエデが下唇を噛む。


エンリの手が、わずかに震えた。


 


そして――壇上の三ツ森が、俺を見た。


 


(……おう、分かってるよ。どうせ俺が締める番なんだろ?)


 


これは、俺が、

惨めに敗北宣言をする――その舞台だった。


 


ゆっくりと、一歩前へ出ようとしたそのとき――


 


「潤様! お待ちくださいっ!」


 


バンッ!!


 


会場のドアが激しく開かれる。


ギョッとした全員の目が、そちらを向いた。


 


現れたのは――ユズハ。


どこか誇らしげな笑顔で、手には紙袋。

何あのマックの袋…

 


「あ、間違えました! こっちじゃなくて……はいっ、証拠ですっ!」


 


――紙袋から出てきたのは、USBと書類ファイル。


 


その後ろから、リア。そして、ノアが続いて入ってくる。


 


「――その男、三ツ森シンのインサイダー行為の証拠を、持って参りました」


 


ユズハの言葉に、会場がざわめいた。


ついさっきまで俺を処刑しそうな顔だった株主たちが、一斉に書類を見始める。


 


「はぁ? インサイダー? 私からそんなものが出てくるとでも?」


 


三ツ森が、相変わらずの嫌味ったらしい笑みで返す。


 


「いえ、しっかりと――ここにあります」


 


リアがモニターを操作し、証言とデータを映し出す。


画面には、引き抜きの契約書、特定メールのやり取り、元社員の音声ログなどが表示される。


 


……え、地味に証拠力強すぎない?なんでうちに検察いんの?


 


「ちょ、ちょっと待て! こんなの俺じゃない! 引き抜きの契約書だって、誰が書いたかなんて分からな――」


 


「ええ、確かに“あなた”とは断定できません」


 


ノアの声は、いつも通り丁寧で穏やかだった。


でも、その言葉の奥には氷の刃みたいな冷静さがあった。


 


「ですが、少なくとも“誰かが意図的に仕掛けた”のは間違いありません。

そしてその結果、ここにいる株主の皆様の資産が脅かされていることも――事実です」


 


ノアが真っ直ぐに言い切ったその瞬間――


株主たちの目の色が、変わった。


三ツ森が、一歩引いた。


 


「そ、そんな……俺は……」


 


「そうだ! だからこそ社長は――責任を取るべきだろう!?」


 


三ツ森、反撃のつもりか知らんが、

今のお前、完全に“怪しいやつが焦って声荒げてるだけの人”になってるぞ?


 


そして、俺は思い出した。


 


昨日、三ツ森から奪ったスキル――


 


【証拠隠滅】


 


こいつがあったから、三ツ森はこれまで何度も逃げられてた。

でも今、それは俺のストックスキルに入ってる。


今の三ツ森は――スキルを失って、ただの悪事バレ待ちのおっさんだ。


 


(よし、俺もやるしかないな)


 


ゆっくりと、前に出る。


息を吸って、スキルを一斉に発動する。


【スキル発動】

・演者(リンク : ノア)

・魅力(Lv4)

・威圧(Lv4)

・悪意誘導(Lv8)

・笑顔共有(リンク:ミリー)


(もうやけくそだ……!)


 


『俺は! まだ社長として、頑張りたい!』


 


一言だけ。短い。でも――本音だった。


 


「はぁ〜? そんなワガママで会社のトップに居座る気ですかぁ〜? クックック……」


 


三ツ森が相変わらず煽ってくる。

お前ほんと、キャラブレないな。今すぐ煽り系Youtuber転職したほうが成功すると思うぞ。


 


『でも……まだ、みんなとこの会社を――諦めたくないんだ』


 


俺は真っ直ぐ言った。


すると――


 


「で? その覚悟とやらで経営できるんですかぁ〜? あっはっはっ……ははっ……っふ、ふふ……」


 


ん? おかしいぞ? なんか笑いが……変だ。


 


「……ぷっ、く、クック……あっははは! 社長がぁ~……はっはっはっはっ!」


 


(え、笑いすぎじゃね?)


 


肩が震えてる。顔が赤い。息が、上がってる。


なんかこう、“笑ってるんじゃなくて壊れてる”感じ。


 


(……ミリー? お前、まさか)


 


スキル欄を確認。




【笑顔共有】

・動揺している対象を“自分と同時に”強制的に笑わせる。

・※精神干渉耐性を持つ者には効果なし



(一見平和そうなのに……なんだこの物騒な才能は……)


 


俺が本気で叫んでるその横で、三ツ森が発狂みたいな笑い方してるの、

もはやコントだろこれ!?


そして、会場中が――俺と、狂笑している三ツ森を見比べていた。



会場の空気がピリつく。


いや、むしろ――笑い声が混じってきた?


 


「ひ、ひゃっ……ひゃひゃっ……あれ……? これ……本物じゃない?」


「本物の狂人だよ……社長やってる場合じゃないよ……」


「いや……あれと潤社長が並んでると……逆に潤さんの方がまともに見えてきたぞ……?」


 


(……よしッ!)


 


明らかに“比較対象が酷すぎる”効果で、俺の印象が“まとも寄り”に寄ってきている!


ありがとう、ミリー!


いや本当にありがとうミリー!


だけどやっぱりあとで説教はするからなミリー!


 


そして、俺の横で狂気をぶちまけていた三ツ森が――ついにバランスを崩して、尻もちをついた。


足をバタバタさせて、笑いながら「ち、違う! お前らが騙されてるんだ!」と叫ぶ姿は――


……完全に、アウトだった。


 


その瞬間、ユズハがこっそり俺に耳打ちしてくる。


 


「今の潤先輩、ちょっとカッコよかったですよ~? ……1.5割増しぐらいで」


 


「半端だな!? 2割乗せろよ!」


 


「2割はノアさんの“無言威圧”で上限取られてるんで~」


 


「そんな社内バフ上限あるのかよ……!」


 


そして、リアが真顔のまま、冷静にひとこと。


 


「三ツ森、意識混濁しています。救急車を呼ぶべきでしょうか?」


 


「ちょ、まだ呼ぶな!今もう少しで“敵”から“笑い者”になりきるとこなんだから!!」


 


「ふふっ……潤さんらしいですね」


 


エンリが柔らかく笑った。


それが合図のように、彼女はゆっくりと壇上へと歩き出した。


 


「では、私たちからも一言」


 


会場に再び静寂が訪れる。


さっきまで笑っていた株主たちも、その一声で姿勢を正した。


 


「私たちの会社は未熟で、たくさん間違えます。でも――絶対に、止まりません」


 


その瞬間、ドンッと大スクリーンが切り替わる。


映し出されたのは――芸能プロダクションの新設プロジェクト。


そこに並ぶのは、見たことのないロゴ。そして、モデルカット。


 


……あれ? どこかで見たような顔だな――


って、え?


 


「ノアじゃねぇか!!!!」


 


ドレス姿のノアが、完璧な笑顔でこちらを見つめていた。


ポーズ、目線、背景――プロそのもの。


 


「おいおいおいおい!? 聞いてねぇぞ!? 俺、このプロジェクトの中身すら知らなかったんだが!?」


 


横から、ユズハがニヤニヤしながら囁く。


 


「ふふ、サプライズってやつですよー? エンリさんがね、全部準備してたんです」


 


「いや、サプライズにしてはデカすぎるだろ!?

てかうちの看板女優、勝手にノアで決まってるのおかしくない!?俺、社長!!」


 


「潤様の知らないところでも、私は“仕事”していますから……当然です」


 


ノアが至極まっとうな正論で、俺を封じにきた。


誰か助けてくれ。俺、今この会社の“名ばかりトップ”になってる。


 


……でも、思う。


 


誰か一人でも諦めてたら――今日、この場に立てなかった。


誰もが、動いてくれていた。


俺が知らないところで。


俺が潰れそうな時に。


誰一人として――置いて行かなかった。


 


その事実が、体の奥から温かくこみ上げてくる。


 


その間にも、エンリは堂々とプレゼンを進めていた。


的確な数字と、計算された成長戦略。

それは理屈だけじゃなく、“感情”のこもった言葉で語られていた。


 


「……このプロジェクトは、潤さんと、私たちだからこそできる挑戦です」


 


俺はもう、何も言えなかった。


 


ただ――背中を預けていた仲間たちが、いつの間にか俺の前を歩いてくれていた。


 


「……まだ……っひゃひゃっ、まだ終わっ、ひっひゃひゃっ……て……ひゃはははは!」


 


あ、いたわ。

まだ一人だけ壊れてた。


 


三ツ森は完全に笑い転げたまま、椅子の下で転がっていた。


警備員が申し訳なさそうに近づいてきて、静かに彼の腕を取る。


 


「こちらでお預かりいたします」


 


「預かるって……書類かよ……」


 


「潤さん、静かに……笑ってますよ、あの人……」


 


「えっ、なに? “笑顔で退場した敵”って扱い? 最後に全部持っていくパターン!?」


 


警備員に引きずられていく三ツ森。


その背中に――誰も声をかける者はいなかった。


 


そして――


 


株主総会は、

社長続行と、新プロジェクトへの追加融資にて、静かに幕を閉じた。


 


勝ち取ったんじゃない。


“誰も諦めなかった”。


それだけだった。


 


いつもふざけてて、

やること全部がギャグで、

会社なんてどうせ潰れるって、どこかで思ってた――


俺が、最後に言えるのは――


 


『マジで、お前ら……最高だな。』


 


……ってことくらいだ。




【あとがき小話】


ミリー『じゅんく~ん! 夜更かし楽しいねぇ~! ねぇ、今からベランダで叫んでみよっか!』


潤『おう!「才能奪取!才能奪取ーッ!!」って叫んだら誰かスカウト来るかもしれん!!』


ミリー『うひゃー!それ最高ー!ミリーも叫ぶぅぅぅ!!』


潤『オイオイオイ、GWって自由の象徴だな!?法律よりテンションが勝つ時代だな!?』


ミリー『テンションが法律ぅ~!よし、次は“おでこ叩き合い選手権”しよ!』


潤『やってやんよ!俺のおでこは鋼だぞ!?』


カエデ『ちょ、ちょちょちょい待ち!!おでこ!?叩く!?お前らなに言うてんねん!!!』


潤『ん? カエデもやる? “三つ巴おでこ合戦”開催やで?』


ミリー『カエデちゃん、遅れたら“罰ゲーム”でおでこにキスマーク描くからね~?』


カエデ『なんで夜更かししただけでIQ下がるん!?

GW=脳の連休ちゃうぞ!?ツッコミが追いつかんわ!!』


潤『GWは自由だから!俺たちは夜の荒波をサーフィンするもやしライダーだ!!』


カエデ『もう黙れ潤ぅぅぅぅ!!』


 


作者:pyoco(ちなみに作者もテンションおかしい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ