第37話『俺、情報戦の蚊帳の外』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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エンリにはミリーの世話を頼んだ。
記者対応や買い出し、日常のケア――
あの人の“優しさ”は、俺には真似できない。
で、今の俺は。
リア、ノア、カエデ、ユズハ――
いつもながら濃すぎるメンツに囲まれ、作戦会議という名の“フルオート自動処理”会議に臨んでいた。
とはいえ、俺が口を挟む間もなく、リアがほとんどの事情を説明してくれた。
「法的対処は、私が進めておきます」
「ネットとログはウチらで洗うな、ユズハ」
「はいっ、拡散ルートと過去動画の分析も回しときます」
「私は……釣り餌になる準備をしておきますね」
いや、段取り完璧すぎん?
こっち何もしないうちに、全員が自分の担当決めて、すでに動き始めてるんですけど。
……え、俺いらなくない?
一人ずつ、みんなが部屋を出ていく。
「潤様、安心してお任せください。あなたの戦いを、支えるのが私の役目ですから」
ノアはそう言って、そっと微笑んでいった。
「社長、あとは頼んだで。ウチらが暴いてくるから、ええタイミングで一発決めてな」
カエデはウインクしながら、スマホ片手にさっそうと出ていく。
「準備整ったら、出番ですから。逃げないでくださいね、社長さん」
リアは冷静な口調のまま、だけど少しだけ口元が柔らかかった。
「先輩〜? 変に悩まないでくださいよ〜? ユズハたち、信じて任せたんだからっ!」
軽く手を振って、ユズハも続く。
……いや、みんなそんな風に言ってくれるけどさ。
俺、ほんとに何すればいいんだよ。
マジで“信じて待ってるだけ”でいいなら、寝るぞ?
社員たちも、今はそれぞれ動いてくれてるらしい。
元・半グレ、元・詐欺師、元・色々ヤバかった連中が、「SABAKIチャンネルの情報を潰す」って使命感で全力出してる。
地味にこの会社、マジで優秀なんじゃないか?
そんな中、俺は――というと。
SABAKIチャンネルの動画を漁っていた。
……再生数の足しになるのは死ぬほど癪だけど、なにかしら証拠が掴めれば、っていう淡い期待を込めて。
タイトルを眺めるだけでも、なかなかの香ばしさだ。
『有名議員!売春現場に突撃!』
『俺ら吸い殻片付けてたらヤンキーに殴られました』
『あの芸人の黒い噂、突撃して聞いてみた!』
……内容はまあ、想像通り。
誰々の“知人”から聞いた話、編集でバッサリ切られた現場映像。
肝心な部分は映ってないし、証言も第三者経由。
冷静に見れば、全部グレー。
けど、ネットはそれを“黒”と信じてしまう。
白か黒かじゃない。
「騒がれた時点で負け」が今のSNSルール。
「……ほんと、世の中ってめんどくせぇ」
俺は、そんな独り言をぼそっと漏らしながら。
また次の動画を、淡々と再生した。
どこかで、きっと――
あいつらの“ほころび”が見つかるはずだから。
……だが。
見れば見るほど――“不自然”だった。
炎上動画の数は多い。
派手なタイトル。
編集された怒号と暴力の切り抜き。
だが……決定的な証拠が、ほとんど存在しない。
例えば、被害者が出てくる系の動画。
動画では泣き叫んでたり、殴られて倒れてたりしてるはずなのに――
その女性たちのSNSを遡ってみると、事件の直後に普通にランチのツイートを上げていたりする。
「#今日も生姜焼き定食!サイコー!」
いや、昨日お前泣きながら倒れてたやん……。
詐欺被害や暴行被害を訴える動画の登場人物も、検索に全く引っかからない。
名前も顔も、タグも出てこない。
誰ひとり、SNS上で自己主張をしていない。
……不自然すぎる。
調べてわかったのは一つだけ。
どの動画も、**事件そのものは“刑事事件化されていない”**ということ。
でも、その一方で――
“暴露された側”は、全員が社会的に終わっていた。
職場解雇、炎上、不買、住所特定。
叩きの連鎖は止まらず、疑われた時点でクロになる。
加害者に対するヘイトは凄まじいのに、
被害者そのものが――どこにもいない。
いや、正確には。
“どこにも、実在していると確信できる被害者がいない”と言うべきか。
ポイ捨て注意したらいきなり殴られた?
いくらなんでも、それだけで殴る奴がどれだけいるよ。
いや、ゼロとは言い切れないよ?
けど、**全部が全部そうなるか?**って話だ。
気になって見返していくと――
あった。
ミリーの回だ。
再生ボタンを押すと、
動画には“路上に倒れ込むミリー”と、逃げるように走り去る男の背中。
だが……その男は、うちの社員に似ているようで――“決定打に欠ける”。
なぜなら、うちの社員が着ているTシャツは、背中じゃなく正面に文字が入っているからだ。
『I LOVE うるおいもやし』
……いや、あれもあれでどうかと思うけど。
とはいえ、動画に映ってるのは“背中”だけ。
Tシャツが黒なのは一致してるけど、文字が見えない。
いや、でもなんでよりによって全員「ありバージョン」選ぶんだよ。
“文字なしの普通の黒シャツ”も選べたのに、ふたを開けたら全員「もやし推し」。
結果、誰も使わなかった真っ黒なTシャツが大量に余って、全部俺のタンスに突っ込まれた。
ここんとこ、俺の服装ずーーーーっと黒シャツ一択だ。
つまり――
ミリーの動画に映ってる“黒シャツの背中”が俺だったとしても、誰にも否定できない状況ってことだ。
……あのシャツ、罪深ぇな。
そうやって動画を見漁り続けて、気づけば3日が経っていた。
そして。
全員から連絡が入った。
【今からミリーの家に集合できる?】
内容は――それだけ。
でも、直感的にわかる。
この3日間の沈黙は、何かを掴んだ合図だ。
俺は椅子から立ち上がり、スマホを握った。
「……ようやく、こっちのターンか」
【あとがき小話】
作者『ならお前やってみろよ、潤』
潤『は? なにを?』
作者『真面目な顔文字。こっちは(΄◉◞౪◟◉`)と٩( ᐛ )وで勝負してんだ。
お前も“本気”を顔で語ってみろよ』
潤『顔で語るなって俺が言ったやつだろうが!!……ったく、もういいよ。やってやるよ』
潤『( ˘ω˘ )』
作者『……ん?』
潤『落ち着いた冷静な判断力。静かな闘志。そして人生への悟り。
どうだ、これが“俺の真顔”だ』
作者『いや完全に寝てるやつじゃねぇか!!』
潤『違う、これは“眠りを通して世界を見てる”顔だ』
作者『哲学ぶるな!!顔文字にスピリチュアル詰め込むな!!』
潤『じゃあお前の顔はなんなんだよ!? (΄◉◞౪◟◉`)ってもはや生物じゃねぇぞ!?』
作者『あれは本気の進化系だよ。表情を超えた“感情そのもの”』
潤『もう顔文字界から出禁にしろコイツ』
作者:pyoco(でもまだ真面目な顔探してます)