第36話『俺、疑惑の真相を探る』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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――エンリ?
被害者宅の扉を開けて出てきたのは、まさかのエンリだった。
……なんで?
疑問が頭をよぎる間もなく――
バシャバシャッ!
さっきリアが警察だと名乗った影響か、近くに潜んでいた記者たちが一斉にこちらへ殺到してきた。
うわ、マジか……。
「潤さん! 早くこちらへ!」
エンリに呼ばれるまま、俺とリアは被害者宅の中へ慌てて逃げ込む。
「……なんであんなに記者が? まだ警察も動いてないだろ?」
「……さっきの、私のせいです。警察だと名乗ってしまったことで……」
リアがわずかに表情を曇らせた。
「まさか、ここまで注目されている事件だったとは……不覚です」
リアが落ち込む姿なんて、初めて見た気がする。
「……で? エンリ、なんでお前がここに?」
俺の問いに、エンリは静かに答えた。
「私……謝罪をしに来たんです。たとえ私たちの社員であろうと、違っていようと……誰かを傷つけてしまった可能性があるなら……放っておけなくて」
エンリは、誰よりも“人を傷つけること”を嫌う人間だ。
だからこそ――迷わず動いたんだろう。
「俺も……会わせてもらえないか? ちゃんと謝りたい」
エンリは少し考え、ゆっくりと頷いた。
「……彼女に――ミリーさんに確認しますので、お待ちください」
「数日前に比べて落ち着きはしましたが……心の傷は、深いようでして」
俺は静かに頷いた。
エンリは二階へ上がり、しばらくして――
「……会ってくれるそうです」
戻ってきたエンリに案内され、俺とリアは彼女――ミリーの部屋へと向かう。
ドアが開くと、ベッドの上で布団にうずくまる、小さな塊が見えた。
空気が――静かに、重くなる。
「ミリーちゃん? この人が……私が話した潤さん。あと……」
エンリがやわらかく声をかけると、リアが前に出る。
「九条リアです。昨日は警察と名乗りましたが……今日は刑事としてではなく、潤さんの友人として来ました」
「……怖がらせてしまったのなら、ごめんなさい」
俺も深く頭を下げる。
「ごめん……俺のしてきたことで、君を傷つけてしまったなら……本当に申し訳なかった」
その瞬間。
布団の中で小さく震えていた塊が、ふるふると動いた。
ミリーがピョコっと、顔を出す。
「ち、違うんです……っ!」
彼女の声は、涙で掠れていた。
「全部、私が……ちゃんと声を上げられなかったから……」
震える声。潤んだ目。
ミリーの頬を、大粒の涙がつぅっと伝っていく。
エンリがすかさず傍に寄り、やさしく彼女を抱きしめた。
何も言わず、ただその背を撫でて、落ち着くまでそっと寄り添う。
「……もう、大丈夫ですよ。私は、何度でもここに来ますから」
「大丈夫……怖かったですね」
エンリの静かな声が、ミリーの不安を少しずつ溶かしていく。
その様子を見ながら、俺の胸が締め付けられる。
(……俺が、ちゃんと守れてたら)
(もっと早く、声を聞けていたら――)
自分の無力さが、悔しいほどに染みてくる。
ミリーは涙をこぼしながら、ようやくぽつりと呟いた。
「私……何をどうしていいか、もう全然わからなくて……」
「誰にも話せなくて……でも、怖くて……」
エンリは、彼女の手をやさしく握ったまま、にこりと微笑む。
「……だから、今話してください。大丈夫です。私たちがここにいます」
リアも隣で静かに頷いた。
そして――ミリーは、ようやくその震える唇を開き、震える声でゆっくりと言葉を紡いだ。
「あの時……私、二人組の男の人に突き飛ばされただけだったんです……」
「突き飛ばした黒い服の男の人は逃げていって…もう一人の男の人がスマホを片手に叫び出して…」
『悪党リクルートカンパニーの社員に暴行された!』
『女の子が泣いてる!』
周囲の通行人が集まってきて、スマホを構え始めた。
誰も助けてくれない。
ただ、撮って……拡散しようとするだけ。
「怖くて……家に帰って、その男のこと調べたら……」
出てきたのは――炎上系YouTuber。
《SABAKIチャンネル》
そこには、自分の顔と一緒に、事件の動画が堂々と晒されていた。
「でも……その動画の内容が、どんどんおかしくなっていったんです……」
最初は突き飛ばされただけだったのに。
次の日には、殴られたことになっていて。
その次の日には、血を流して倒れていたことになっていて。
さらに、「助けて」と泣き叫んでいた、という証言まで“誰か”が語り出した。
……そんな事実、一つもないのに。
「私……怖くなって、動画を消してほしいってDMを送ったんです」
でも、返ってきた言葉は――最悪だった。
『本当のこと? 言ってみな?』
『お前が“被害者ヅラしている悪女”として動画を出してやるよ』
『あのとき泣き叫んでたフリしてる動画でも作ってな』
「……怖くて……外に出られなくなって……」
だけど、状況は悪化していくばかりだった。
SNSは“嘘”の証言を鵜呑みにし。
動画は次々と拡散され。
噂は尾ひれをつけて勝手に肥大化した。
最初は突き飛ばされただけだったはずなのに――
殴られて。血を流して。助けを求めて泣き叫んでいた少女。
そんな“作られた私”が、勝手に独り歩きしていく。
「気づいたら……メディアまで……私の家に来るようになって……」
もう――何も言えなかった。
本当のことなんて、怖くて言えなくなって。
言えば、もっと恐ろしいことになるとわかっていて。
「……そしたら、エンリさんが……家に来てくれたんです」
ミリーは、ぽつりと続けた。
「最初は……動画を見て来た人だと思って……怖くて……ずっと、出られなかったんですけど」
けれど。
「……エンリさん、毎日……朝から夜まで、ずっと家の前で……謝ってて」
「雨の日も……寒い日も……何度も……何度も……」
涙で滲む視界の中、それでも変わらず頭を下げ続けるエンリの姿があった。
「それ見て……私も……少しだけ……勇気を出してみようって……思って」
「……エンリさんに、全部……話したんです」
ミリーの瞳から、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。
「私……怖くて……ずっと……誰にも言えなくて……」
「ずっと……一人で……」
――その姿を、俺たちは黙って見つめていた。
エンリはそっとミリーの隣に座り、その肩をやさしく抱いた。
「……もう、大丈夫ですよ」
「ここからは、私たちが一緒に戦いますから」
その言葉に、ミリーは堪えきれずに泣きじゃくった。
その光景を前に――
俺の中でも、静かに……でも確かに、怒りが満ちていくのを感じていた。
「……許せません」
普段、どこまでも優しいエンリの声が――冷たく、怒りに染まっていた。
「許せないわ」
リアは氷のような視線で、静かに呟いた。
その声には、もはや感情すら押し殺した冷徹さすらあった。
そして、俺も――珍しく。
本気で、怒っていた。
こんな理不尽――絶対に、許せるわけがない。
【あとがき小話】
作者『٩( ᐛ )و』
潤『おい、また変な顔してるな?』
作者『これが俺の“真面目顔その2”です(キリッ)』
潤『お前の真面目の基準どうなってんだよ!?
どう見ても運動会の開始ポーズだろこれ!!』
作者『いやこれは”意志”の象徴。前向きな決意。読者に伝えたい“気合”のかたち。』
潤『顔で語るな!!文字で書け!!あとがきってそういう場所だろ!!』
作者『٩( ᐛ )و < 次回もがんばるぞい!』
潤『がんばるぞいじゃねーよ!!それ言っていいのは萌えキャラだけだろ!!』
作者『わたしの中のヒロイン力が……目覚めてしまったのかもしれない……』
潤『頼むから寝かせといてくれ!!永眠させろ!!』
作者:pyoco(次はもっと真面目な顔探します)