第26話『俺、後輩できる』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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いつも通り、ため息混じりに出社する。
桜が舞い、制服の肩にひらりと花びらが落ちた。
(……春か)
新たな季節。新たな出会い。
――そして俺にも、「後輩」ができるらしい。
(……いや、俺、まだ入社3ヶ月なんですけど?)
ツッコミは心の中だけにして、始業チャイムと共に朝礼が始まる。
そこで紹介されたのは――
「今日からお世話になります、朝野ユズハですっ!」
ぱあっと咲くような笑顔で、ぺこりと頭を下げた新人女子。
ポニーテールにゆる巻き、制服は正しく着てるけどスカート短め、声は元気そのもの。
(……なんか、元気というか……)
そして案の定。
「せんぱ〜い♪ 葉山先輩って、“潤”って書いて“うるおい”って意味だったりします? 癒し系っぽいな〜って思って!」
「いや、普通に“じゅん”って読むから」
「え〜でもでも、たぶん周囲の空気、和ませてると思いますよ? ほら、黙ってても優しそ〜な顔してるし。……あ、でも騙されやすそう!」
「いや余計なお世話だし、なんだそのテンポ感」
「ふふっ、警戒心ゼロの人って詐欺とか狙われがちなんですよ〜? あっ、ちなみに私、そういうの全然関係ないんで安心してくださいね? 先輩、純粋そうだからちょっと心配で〜」
この時点で、俺の“距離感センサー”がバグっていた。
肩、近い。話すとき、顔が近い。資料見るとき、さらに近い。
「え、なになに。照れてます? えっ、もしかして、こういうの慣れてない感じですか〜?」
「いや別に照れてねぇし。ってか、今なにしてんの? 距離!」
「観察です、観察。せんぱ〜いの顔、ちゃんと覚えとかなきゃですよね? ふふ、目の色とか、まつ毛の長さとか……ん〜、なんか、守ってあげたくなる感じぃ〜」
(なんだこの後輩、地雷か?)
しかしその一方で、仕事にはきっちり手を出す。
言われたことは即メモ。資料整理も完璧。
しかもタイピングがめっちゃ速い。妙に慣れてる。
(いや……この子、本当に新人か?)
「先輩って、彼女いるんですか?」
突然の爆弾。
「……は? いや、なんでそんなこと――」
「えっウソですって! 冗談冗談! せんぱ〜いマジで動揺しすぎでしょ〜。もしかして、図星……?」
ノア、カエデ、エンリ――数人の顔が脳内をよぎった。
彼女? というより“懐かれてる人たち”というか。
少なくとも告白とか、そういうイベントは記憶にない。
とはいえ、仕事中は割と真面目。
俺が教えつつも、逆に気づいたらフォローされてたりする。
「これ、先輩のやり方で正しいと思いますけど、こっちの方が処理速いかもです〜。ちょっと変えてみましょっか?」
「あ、ああ……(いや俺より仕事できんのかよ)」
新人っていうより、数社経験してる中堅感すらある。
「……っていうかさ。ユズハって、初日なのに全然緊張してなくね?」
俺がぽつりと言うと、ユズハはきょとんとした後、くすっと笑って――
「……まぁ、こういう“顔合わせ”って、何度も経験してきたんで」
その言い回しに、ふと引っかかる。
(“何度も”? 転職慣れしてる……?)
けど、彼女はまだ若く見える。
見た目は20代前半。そんなに職場を渡り歩く歳じゃないはずだ。
「……前職、何してたの?」
俺が訊くと、ユズハは首をかしげて、
「え? ん〜、ちょっとだけ特殊なとこにいました。“人材活用系”っていうか、研修とか、啓発とか……そっち系?」
(自己啓発セミナー事件再来フラグ、来ましたー)
あの黒歴史が一瞬よぎる。
でも目の前のユズハは、あの胡散臭さとは無縁で――どちらかといえば、“明るくて軽やかな魔性”。
「安心してくださいね? 私、今は真っ当に頑張ってますから。怪しい壺とか、売りませんし♪」
「そんな自己申告、逆に怪しいからな……」
「ふふっ、先輩って、ちょっとだけ顔に出ますよね。そこが可愛いんですけど」
(だからその“可愛い”とかやめろ。耐性ねぇから!)
――ただ、スキルウインドウは一度も反応しない。
つまり、悪人ではない。少なくとも今のところは。
そのとき。
「先輩、ひとつお願いがあるんですけど」
「ん?」
ユズハがすっと近づいて、俺の目をまっすぐ見上げてきた。
「先輩のこと……ちゃんと、見ていたいんです。仕事以外でも。……ダメ、ですか?」
一拍遅れて、心臓が跳ねた。
(こいつ……絶対、なにかある)
けど、俺の口は“NO”とは言えず――
「……見てどうすんだよ」
「観察ですよ〜? せんぱ〜いの、行動とか、趣味とか……寝癖の向きまで、ぜんぶ見て記録する感じで♪」
「やっぱストーカーじゃねぇか!!」
「冗談ですって〜! ……たぶん♪」
この春、新しくできた“後輩”は――
どうやら、ひと筋縄ではいかないらしい。
「うわ〜先輩のその顔、リアルに刺さってる〜。ごめんなさいねぇ? せんぱ〜いって、なんか童貞っぽ――」
「やめろ。そこまでにしとけ」
「うふふっ♪ でも嫌いじゃないです、そういうの」
……マジでこいつ、恐ろしい。
【あとがき小話】
作者『というわけで、ユズハがついに登場しました~!』
潤『……出たな、お前の悪ノリ』
作者『せんぱ~い? もしかして、わたしのこと考えてたりしましたぁ?』
潤『やめろ!!!初登場のあとがきで公式がモノマネすんな!!』
作者『ユズハがねぇ~、可愛すぎて真似せずにいられなかったんですよぉ~?』
潤『似てるけど腹立つわ!!あと声に出して読むとめっちゃムカつくんだよその語尾!!』
作者『でもほら、“じょーだんですよぉ~?”って言われたら許しちゃうでしょ?』
潤『読者の理性が吹き飛ぶやつな』
作者『というわけで、ユズハの応援、よろしくお願いします~!
ブックマークしてくれないと、私、拗ねちゃうかもですけどぉ~?』
潤『なりきるな!!もうユズハが二人いるように見えてくるからやめろ!!』
作者:pyoco(自作キャラに憑依中)