第24話『俺、才能に夢を見て、友を失った』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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俺は、チュウ助と見つめ合っていた。
机の上にちょこんと座る、例のネズミ。
(……お前、マジでまだいるのか)
このチュウ助。かの“自己啓発セミナー事件”(※18話参照)で、俺が試しに《洗脳》スキルを使ってしまった哀れなモルモットである。
それ以来、なんかずっと俺の部屋に住み着いてるんだけど……
「なあチュウ助、そろそろ洗脳って解けてもよくね?」
問いかけると、チュウ助は黙ってこちらを見つめたまま、ぴくりとも動かない。
(……これ、ガチで効いてんのか?)
心配になるレベルの忠誠度。ていうか、スキルの説明ちゃんと読んでも“解き方”とか書いてねぇんだよな……
……まあ、それはさておき。
現在の俺の才能スロットはこうなっている。
⸻
【現在のスキル構成】
・保持スキル:《洗脳(Lv5)》
・ストックスキル:
《支配(Lv1)》/《威圧(Lv4)》/《魅力(Lv4)》/《印象操作(Lv4)》
⸻
……なんというか、クセがすごい。
パッと見、裏社会のボスか、新興宗教の教祖やん。
「なんかこう……攻撃とか防御とか、そういう健全なスキルないのかよ……」
ガチで精神干渉系オンリー。
戦ったら負けるやつだこれ。
「せめて、スキル同士を組み合わせて“超進化!”とかできたらな〜……」
そう、夢見る少年のように呟いた――そのときだった。
――ピコン!
突然、視界にウインドウが浮かび上がった。
【才能合成】
複数のスキルを掛け合わせ、新たな才能へと変化させますか?
「……え? マジで!?」
俺、二度見した。
いや、三度見した。
ついに来たか……“才能クラフト”という名のロマン!
「やるしかねぇだろ、これはぁああ!」
テンションが跳ね上がる。
俺は震える指で合成対象を選んだ。
・支配(Lv1)
・洗脳(Lv5)
・印象操作(Lv4)
組み合わせるのはこの三つ!
支配! 洗脳! 印象操作!
全員悪人から奪ったスキルだけど、ここにきて三位一体の可能性を見出した!!
(これで俺も……ついに覚醒するかもしれない……!)
合成開始のウインドウと同時に、脳内にファンファーレ的な効果音が鳴り響く。
「おぉぉ……! めっちゃワクワクするやつやん……!」
なぜか俺の脳内ではドラムロールとクラップ音が盛大に響き――
チュウ助もなぜか横で前足だけで立ち、シャカシャカ踊っていた。たぶん幻覚じゃない。たぶん。
「よく見りゃお前……意外とかわいい顔してんな……」
こんなにも俺の冒険に寄り添ってくれるネズミがいるか?
これはもう、祝福の舞で間違いない。
「ありがとうな、チュウ助。お前が第一号の証人だ……!」
――ピコン!
【才能合成が完了しました】
合成結果:
《憎悪誘導(Lv8)》が生成されました。
「…………」
「……って、なんでやねん!!」
叫んだ。
割と本気で。
「支配! 洗脳! 印象操作! から生まれたのが憎悪誘導て、どんな闇落ち系能力だよ!!」
もっとこう、なんかあったろ!?「超掌握」とか「精神支配皇帝」とか!!
中二魂くすぐるやつ期待してたのに!
(しかもレベル8って、めちゃ高性能っぽいのがまた腹立つ!)
そして――
「チュウ助!」
俺の叫びと共に、チュウ助はピクリと止まり――
「……チュ?」
一瞬目をぱちくりさせたかと思えば――
次の瞬間、机からジャンプして、部屋の隅にダッシュ!
そしてそのまま――ダンボールの影に消えた。
「……え? ……お、おい? チュウ助? チュウ助ぇ……?」
俺は、机の下を覗き込む。
……そこに、彼の姿はなかった。
「ああ……」
「チューーーーすけぇええええぇぇぇ!!」
洗脳が解けたのか、真相はわからない。
ただ一つ、確かなのは。
――俺は、友を失った。
「チュウ助……お前、最初で最後の“俺の信者”だったのに……」
部屋の隅から、ネズミの足音が消える。
俺の胸の中には、《憎悪誘導 Lv8》と、チュウ助との思い出だけが残った。
(……てかこれ、マジで何に使うんだ?)
その夜、俺はスキル一覧を眺めながら、しんみりと布団に入った――。
【あとがき小話】
作者『潤、お前……チュー助との別れ、残念だったな』
潤『やめろ……その名前を出すな……ッ!』
作者『いやいや、語れよ。あとがきってそういうの語る場だろ?』
潤『……あいつはな……ただのネズミじゃなかった……。
米びつに頭突っ込んで、炊く前の米をバラ撒いて……それでも、どこか憎めない顔しててさ……』
作者『いや普通に迷惑なんだけど!?』
潤『夜中にカサカサって音が聞こえて、「またかよ~」って思いながら……
でもそれが、今となっては……もう、聞こえないんだよ……(泣)』
作者『センチメンタルいらねぇよ!それ家の被害報告だからな!?』
潤『チュー助……お前が最後に残したのは、俺の心の“もやし”だったよ……』
作者『意味わかんねぇよ!!!』
作者:pyoco(ありがとう、チュー助)