第22話『俺、もやしすら食わせてもらえない』
「才能を奪って、成り上がる!」
無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。
ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!
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昼だ――待ちに待った昼休み。
俺は自販機の前で、そっとカップ麺のフタを開ける。
【もやしラーメン(78円)】
(ようやく……俺のもやしに、ありつける……!)
朝からエツコさんの“笑顔の圧”に晒されながら、ひたすらパワポとエクセルを往復。
「これ前任者と違うやり方だけど?」とか、
「なんか違和感あるのよね〜」とか、
……全部俺がやってるって言ったじゃん!
そんな理不尽を押し殺し、辿り着いた奇跡のランチ――
(今だけは、何も考えず……)
もやしと向き合いたかった。
その時だった。
「――あら? 葉山くん、お昼ごはんそれだけ?」
振り返ると、そこには笑顔の権化・亀山エツコ。
「えっ、あ、はい……ちょっと節約中で……」
「若いんだからもっと食べなきゃダメよ〜? あ、これ余っちゃって……よかったらどうぞ」
にこやかに差し出されるのは、半分食べかけのレンチン弁当。
(……あ、あの……それって、もしかして……蓋空いて……)
「……い、いただきます……」
スープに手を伸ばすより先に、心が折れた。
俺のもやしラーメンは――静かに冷えてゆく。
(……泡みたいに……)
* * *
数分後――
俺はトイレの個室に避難していた。
(……もやし……俺の、もやし……)
この悲しみをどこにぶつければいいのかもわからない。
そのとき、外から聞こえてきたのは――
「またエツコさんが新入りに圧かけてるってよ〜」
「マジか……あの人、辞めさせた人数ヤバいでしょ」
「前の子なんか、昼休みに泣きながら辞表出したらしいぞ?」
……え?
(なにそれこっわ……!)
「お局様って感じだよな〜。上とも繋がってるから逆らえないし」
「葉山ってやつもマジで目ぇつけられてたな」
「うわぁ……詰んでんじゃん……」
……もやしの恨み、いま晴らさずしていつ晴らす!!
* * *
職場に戻った俺は、PCを打ちながら視線をチラリと――
(……スキル発動、才能奪取――起動)
ピコン、と静かに表示されるスキルウインドウ。
【奪取対象:亀山エツコ】
・悪事:精神的支配/職場内圧力操作
・スキル:パワハラ(Lv3)/空気支配(Lv2)/印象操作(Lv4)
※才能複数所持につき、奪取はランダム
(やっぱ持ってた……この笑顔と空気、絶対スキルのせいだって思ってた……)
「葉山くん? なにボーッとしてるの? まだ、あの資料終わってないんでしょ?」
……来た!!
スキル圧! 圧っぽいセリフ来た!!
「いつまでも新人でいられると思わないでね?……なんて、冗談よぉ〜?」
ニコッと微笑むエツコ。
周囲の視線がスッ……と逸れていく。
(今だ……)
「――YES」
静かに、選択。
【スキル奪取完了】
・保持スキル:印象操作(Lv4)
・試用期間:24時間(残り 23:59:59)
・ストックスキル:支配Lv1/威圧Lv4/魅力Lv4/洗脳Lv5(スロット残数:4)
(“空気”ごと支配する笑顔の魔王――その力、確かにいただいた)
(次は……俺の番だ)
* * *
カタカタカタ……と、淡々と仕事をこなしていた俺のもとに、
「潤くーん、仕事早いわね!おかわりよ!」
“ドサッ”
追いスキル圧、入りました。
(ここだ……)
スキルコンボ:
【印象操作(Lv4)+演者+支配(Lv1)】――発動!
俺は――“TVの号泣記者会見”をフルコピーして、泣いた。叫んだ。
「仕事ノォォーー! ウェェェーー!!」
「努力をするって……ことがァァァーーッ!!」
「もう一生懸命ッ!! ウィッショウケンメェェェェーーーー!!」
「もやしも食べずにィィィィーーー!!」
「必死にィィィィーーーッ!! この職場をーー!!」
「アットホームやと思ってーー!! ウアアアアーーン!!!」
――社内、静寂。
「ッヒィ……ヒック……! エツコさん……あなたには分からないでしょうけどね……!」
「俺……! 俺は……! 社会に、認められたかっただけなんですよォォオーーー!!!」
最終的に、床に崩れ落ちた。
「…………」
職場、凍る。
エツコ含め、全員が引いていた。
俺の芝居に。
俺の涙に。
そして……スキルに。
(“空気”を、操作した。完璧だ……!)
これはただの演技じゃない。スキルを乗せた、“全力の反撃”。
もやしの恨み――これにて一旦、完ッ!!
【あとがき小話】
作者『潤!』
潤『……ん? なに?』
作者『ただ呼んだだけ。』
潤『……おい』
作者『いや、なんかこう、名前呼ぶだけで癒されるかなって思って』
潤『呼ばれた側の気持ちは? 呼ばれて出たら“用はない”って……精神的ノーダメージ詐欺かよ』
作者『でも潤、すぐ反応するあたり素直でかわいいよね』
潤『ほら始まったよ、あとがきでキャラいじりしてくるやつ』
作者『潤くんって呼んでもいい?』
潤『やめろォ!! カエデにバレたら叱られるやつだろそれ!!』
作者:pyoco(とりあえず呼びたいタイプ)