第227話『私、エマ』
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「……結城が、最近も事務所に脅迫めいた連絡をしてきていたんです」
マネージャーは、額から冷や汗を垂らしながら語り出す。
「“新加入の3人を辞めさせないと、過去のスキャンダルを暴露する”とか……“メンバーに対して、直接手を下す”……そんな内容の文章が……いくつも……」
声が震えていた。
「──知ってることは……これで……全部です……」
椅子に沈み込むように座りながら、マネージャーはそう吐き出した。
「全部って……居場所は?」
ライラが声を荒げる。
「そんな脅迫を受けてたなら──今、あの子たちがどれだけ危険か……わかるわよね?」
「ライラ、落ち着け」
俺はライラを制しながら、言った。
「……今ある手札で詰めるしかない。焦っても仕方ない」
それでも内心は焦燥だらけだった。全身の血が騒いで、頭が焼けるように熱い。
「その結城らしきアカウントやメールの一覧を見せてほしい。他に何か知ってることがあるなら、何でもいい。些細なことでも構わないから!」
「は、はいっ……!」
マネージャーは慌ててパソコンへ駆け寄り、震える指でログを叩き始める。
──この時間で、一歩でも近づく。
俺は意識を集中した。
【リンクスキル発動】
──《名推理》──
───────────────
──都内某所。封鎖された古い物流倉庫。
「だすけでぇ〜〜〜じゅんくーーーん!! ミリーはここだよぉぉぉぉ!!」
「先輩死んだら、枕元で毎晩コサックダンス踊りますからねぇぇぇ〜〜!」
鉄製の扉の奥で、ミリーとユズハの叫び声が響き渡る。
見張りの男たちが苛立ちを露わにした。
「うるせぇガキだな……マジで黙らせっか?」
「バカ言ってんじゃねぇ。依頼主の女、頭イカれてんだぞ? 手ェ出したら面倒だ」
「でもよ、ここまで騒いでたら、誰かにバレんじゃねぇか……?」
「ここらは工場ばっかで人なんて通らねぇよ。ま、でも気が散るな……おい、ペンチ持ってこい」
「おい、お前……まさか──」
「うるさいガキ。次に一言でも喋ったら──仲間の爪、一本ずつ剥ぐ」
ピタリ。
ユズハとミリーの声が止んだ。
「……ヒッ……」
怯えが空気を支配する。だが──男たちは止まらない。
「てか、なんで3人いるんだよ? 1人って話じゃなかったか?」
「仕方ねぇだろ、俺らアイドルなんて知らねぇし。目立ちすぎんのもアレだったから、まとめて攫っただけだ」
「──じゃあ、1人残して他は処理って話になるよな?」
「まぁ、そーゆーこったな?」
男がゆっくりと3人の前へ立つ。
「……おい。誰が“エマ”だ?」
静まり返る室内。
ユズハが、ふっと視線を横に流し──
縛られた手の甲で、そっとエマの腕に触れる。
エマも、それに応えるように小さく頷き、すぐに視線を正面へ向け直す。
「……はいっ。私がエマでーす♡」
ユズハが、やたら軽いノリで片手を上げる。
続いて──
「……わ、私が……エマ……です」
本人も、声を震わせながら、名乗った。
男たちは顔をしかめ、混乱し始める。
「はぁ? 二人いんのかよ……?」
と、そこへ──
「はーいっ!ミリーでぇすっ♪」
──……その瞬間、空気が止まった。
エマとユズハが、同時にミリーの方へ視線を向ける。
言葉には出さない。出せない。
だがその目は、全力でツッコんでいた。
(なに言ってんだてめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)
ミリーはニコニコ笑顔で手を振っている。まるで学芸会。
「……ちっ。なら、お前は──いらねぇな?」
男のひとりが、ミリーにじりじりと歩み寄った。
その手には、鈍く光る工具。
冷たい鉄の音が、まるで死刑宣告の鐘のように響く。
「──はわわわ!! じゅんくぅぅぅん! たすけでぇぇぇーーーーー!!」
叫び声が、倉庫に反響する。
絶体絶命。
【あとがき小話】
ノア「ご報告がございます」
潤「お、おう……ってノア!? なんか今日は登場が“業務連絡”っぽいぞ……?」
ノア「はい。作者様を──引き摺り出しました。」
潤「うわっ、やっぱりか……!」
ノア「なお現在、浴室・押し入れ・会社の非常階段裏などへの逃亡を経て、無事に“机の前に拘束”しております」
潤「“拘束”って言ったぞ今!? 穏やかな声で“事件”発生してんぞ!?」
ノア「ご安心ください、すべては“才能奪取”のためです。
作者様には現在、特訓メニュー【朝10分タイマー式地獄執筆】を課しております」
潤「おいおい軍隊かよ……」
ノア「途中でサボった場合は、ユズハ様による煽り、ミリー様による感情ダンス、リア様のロジカル説教を自動召喚する構造です」
潤「うるっっっさ!! 精神崩壊するって!」
ノア「それでも……それでも、また“書こう”と思ってくださった作者様は、確かにそこにいます」
潤「……そうかよ……あの野郎、やっぱり書くのやめられなかったか……」
ノア「ええ。とても、愛おしいことです」
潤「(……なんだかんだで、あいつが戻ってきてくれて、正直ほっとしてるのは──俺も同じだよ)」
ノア「ですから皆様──」
ノア「どうか、これからも“才能奪取”を……そして、暴走する作者様を」
ノア「暖かく監視してください。」
潤「“監視”じゃねぇよ!? 見守るって言えよ!?」
ノア「……ふふっ。では、また」
(す……と一礼して去るノア。背後では、執筆机にぐるぐる巻きにされた作者が、カタカタとキーボードを打っていた……)