第226話『俺は、譲らない』
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「で?具体的にどうするつもりなんだ?」
俺の問いに、ライラはにぃっと口元を釣り上げた。
「あるじゃない? 目の前に──情報源が」
「……まさか、ライラに聞けって意味じゃないよな?」
「違うわよ」
ライラが無造作に指を差す。その先にあるのは──
Sweet Shineの事務所。
「さ、行くわよ!」
俺の制止も聞かず、ライラはスタスタとエントランスへ突入。俺はツッコミを飲み込みながら、慌ててその背を追う。
二階へと上がり、扉を開けた先の事務所──そこにいたのは、電話中の男だった。
Sweet Shineのマネージャー。スーツ姿、神経質そうな顔。第一印象から“しゃべらせたらボロが出るタイプ”だとわかる。
「ねぇ? ちょっと話があるんですけど〜」
ライラが真っ正面から話しかける。まるで常連のラーメン屋にでも来たかのような態度で。
「……すまない、後でもいいかな? いま取り込んでて」
男は電話を握ったまま苦い顔をしたが──
「ふぅん……その様子だと、“エマが誘拐された”って話、本当なのね?」
ピキンと空気が凍った。
マネージャーの顔がサッと青ざめ、電話を慌てて切る。
「……場所を移そう。ここじゃまずい」
そう言って、事務所の奥にある商談室へ俺たちを案内する。
ドアが閉まるなり、男はライラに詰め寄った。
「……ライラ、どうしてそんな情報を知っている?」
「そこ気にするとこ? 今優先すべきは、失踪した子たちの話でしょ」
「というか、なんで“悪徳リクルートエージェント社”の人間がここにいるんだ……!」
「俺たちの仲間も、エマさんと一緒に行方不明になったんです。何か知っているなら、教えてください」
男は一瞬言葉を失い、それから低く息を吐いた。
「……二人とも、この話は忘れて帰ってもらえないか?」
耳を疑った。
「いま、Sweet Shineは大事な時期なんだ。ここでトラブルが起きれば、グループだけじゃない。事務所全体に波及する可能性がある……だから、穏便に済ませたい」
穏便に。
──いやいや、3人、消えてんだけど?
ライラが不快感を隠そうともせず睨みつける。
「……やっぱり、結城絡みじゃないの。あんた、“脅迫状”の件も黙ってたわね?」
「脅迫状って、ライブ前に届いたっていう……?」
「そう。私たちは“脅迫状が届いた”としか聞かされてなかった。でも、どうせあんた、差出人が結城だって知ってたんでしょ?」
男は口を閉ざした。否定の言葉すら出てこない。
「……結城って、そんな危ない奴なのか?」
「危ない? 嫉妬と自己愛が凝縮された呪詛玉って感じね」
ライラは淡々と語り出す。
「Sweet Shineは元々4人グループだった。私たち3人が加入して6人になったんだけど──その直後に1人抜けたの。それが“結城”」
「じゃあ……その子は人気を奪われたことに……」
「そう。彼女は自分が“センター”じゃないと気が済まない。元々のメンバーの頃から、目立つ子がいると嫌がらせや脅し、内部で潰しにかかる。そういうタイプ」
男が小さく呻いた。
「……仕方なかったんだ。あの頃は、彼女がいないとグループが成立しなかった」
ライラは呆れを隠そうともせず、鼻で笑った。
「そうね。だからあんたたちは見て見ぬふりした。で、私たちが入って、結城の立場がなくなったら……途端に辞めた」
──状況証拠は十分。
むしろ確信に近づいてる。
俺は一歩、マネージャーに詰め寄る。
「……なら、教えてくれ。結城って子の居場所、知ってる限りでいい」
だが男は──静かに首を振った。
「ライラの言っていることは、全部憶測だ」
「……っ」
「俺たちは事務所を守らなきゃいけない。だから、この件は外には出せない。どうか、今日のことは忘れてくれ」
忘れろ?
──それ、3人の行方を“黙って見過ごせ”ってことか?
俺の胸の奥で、なにかが音を立てて弾けた。
あいつらの笑顔。声。泣き顔。
……そして、叫び。
もう、迷わない。
俺はスキルを強く意識した。
──《咎人の玉座》。
【パッシブユニークスキル発動】
◤正しさを否定した者にこそ、王座は似合う◢
……何も言っていない。何もしていない。
だというのに──空気が、変わった。
背筋がぞわりと粟立つ音すら、聞こえてきそうな沈黙。
ライラが何かを察したように小さく息を呑み、思わず一歩後ずさった。
マネージャーの男は……その場で固まった。
目を見開き、まるで“別の何か”でも見たかのように、視線が泳ぐ。
そして次の瞬間──
ガタッ!!
男は脚をもつれるように引き、商談室の椅子に崩れるように座り込んだ。
呼吸が荒い。額には、明らかな脂汗。
俺がわずかに前に出るだけで──男の肩がビクリと跳ねた。
見られている。支配されている。命を握られている──
──錯覚に過ぎない。だが、それがスキルの本質。
“王座に座る者”と認識される。ただそこに立っているだけで、逆らえば命取りだと本能が警告を鳴らす。
男の唇が震え、喉が音を立てて上下する。
「……い、命令、だと……?」
それは否定ではない。確認だ。
「そうだ。俺は──守ると決めた」
ひとつ、言葉を吐くたびに、空気が重く沈んでいく。
「仲間が攫われて、知らんふりなんてできるか。
“穏便”だ? “見なかったことにしろ”?」
俺の声が、低く冷えていく。
「そんなもんで誰かが救えるなら──とっくに、世界は救われてる」
一歩。
「お前の保身なんかに──俺の“守りたいもの”を踏みにじらせてたまるか」
もう一歩。
その距離、三歩。
マネージャーの男は完全に震え上がっていた。
歯の根が合わず、小さくガチガチと音を立てている。
「──知ってることを、全部吐け」
そこで、ゆっくりと目を細めて言い切る。
「これは命令だ」
──瞬間。
男は椅子ごとズルリと床に崩れ落ちた。
「……わ、わかった、わかった……っ!」
もはや最初の威圧感など微塵もない。情けなく地を這う声で、搾り出すように。
「話す……全部話すよ……! 結城のことも、脅迫のことも……っ!」
【あとがき小話】
ユズハ「せんぱ〜い♡」
潤(……また来たよ……ていうか今度はどの騒ぎの報告だ?)
ユズハ「ちょっと聞いてくださいよぉ〜?
あの〜……作者がですねぇ〜……カーテンからは出てきたんですけど〜……」
潤(ほう、あの引きこもりが……ようやく社会復帰を……?)
ユズハ「今度は、浴室に籠もりましたぁ♡」
潤「風呂かよ!!!」
ユズハ「なーんかこう、“水の音って癒される〜”とか言いながらですね?
“湯気の中で物語が降りてくる気がする……”とか、すっごいそれっぽいこと言ってたんですよ?」
潤「……で、実際は?」
ユズハ「スマホ持ち込んでゲームやってました♡」
潤「脱走ォォォォォォ!!!」
ユズハ「ね〜♡ なんで毎回、復活のあとに謎の消失タイム入るんでしょうねぇ?」
潤「なんでだよ!?復活詐欺だよ!?
こちとら“復活更新!”って書いた次の話でまた止まる恐怖に怯えてるんだぞ!?」
ユズハ「でもぉ〜? 今回はちょ〜っとだけ、執筆進んでるみたいですよぉ?」
潤「……ほんとかよ……」
ユズハ「本人いわく、**“浴槽で1行書いた”**そうです♡」
潤「“1行書いたら風呂1時間”ってどんな創作メソッドだよ!?
身体ふやける前に更新しろォォ!!」
ユズハ「でもでも〜?
“今日は下書き3行進んだし、明日は2行ペースで進めよう”って言ってましたよ♡」
潤「計算合わねぇだろバカァァァ!!!」
ユズハ「ふふっ♡ そんな“逃げたり戻ったり”してる作者さまですが〜
またちょっとずつ、書いてるみたいですぅ♪」
潤「ほんとに“ちょっとずつ”すぎて目視できないレベルだけどな……」
ユズハ「だから〜?
せんぱいも〜? ミリーちゃんも〜?
ちょっぴりだけ、信じてあげてくださいね♡」
潤「その“ちょっぴり”がもう何十回目かわからねぇけどな……
でも──ま、来てくれる読者がいるなら、書く理由にはなるか……」
ユズハ「えへへっ、やさし〜♡
じゃあ次はぁ、トイレに籠もった時の話でもしましょうか〜?」
潤「ねぇよ!!二度と出てこなくなるわ!!」