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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
251/263

第225話『俺、手詰まり』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)




──翌朝。悪徳リクルートエージェント社 本部会議室。


空気は重い。

会議室に集まったメンバー全員、誰も口を開けず、ただモニターと書類をにらんでいた。


 


「……やっぱり、見つからねぇ」


潤が深く息を吐きながら呟いた。

監視カメラの映像。近辺のタクシー記録。交通網。

全て当たったが、ミリー・ユズハ・エマ、3人の明確な足取りは、途切れていた。


 


「最後の目撃は、イベントスタッフ風の人間に“護衛任せます”って言われて、タクシー乗るところ、だっけ?」


リアが情報の整理をしながら確認する。


「はい。会場スタッフも“その人に頼んだ”という認識しかなく……特に不審な様子もなかったようです」


エンリが手元のメモを見ながら答える。


 


「その警備員の身元確認は?」


「……記録にないそうです」


「ない……?」


 


リアが一瞬、目を細める。


「関係者リストにいないという意味です。“いなかった”のではなく、“名簿に登録がない”」


「ってことは──偽装って可能性ある?」


「極めて高いです」


 


潤は、ソファに沈み込むように座り込んだ。


「……俺が、現場にいたら……」


 


「潤くん、それは違うで。あの時は、東京から広島への会食優先やって決めたんはウチや」


カエデがフォローを入れるが、潤の顔は曇ったままだ。


 


「ミリーとユズハ、エマまで……どうして一緒に……」


「たぶん、見分けがつかなかったんやと思うで?」


カエデが手を組んで天井を見上げる。


「Sweet Shinyのライブに関係ある“女の子3人組”やろ? もう、誰が誰って判断せんと、まとめて……な」


 


「そんな雑な……!」


「逆に、慎重やったんやと思うで」


リアが補足する。


「関係者と見られる人物を確実に“保護するふりをして連れ去る”。表面上は完璧な立ち回りです。痕跡も残っていない」


 


「警備記録も、他社との引き継ぎログもありません。まるで、最初から“その人たち”は存在しなかったみたいに」


 


「……」


潤は拳を握った。


冷たい汗が、背中を伝っていた。


 


(誰だ……誰が、どこで……どうやって……)


考えれば考えるほど、何も見えてこない。


だが確実に──これは偶然ではない。

“誰かが狙って仕掛けた”ことだけは、はっきりしている。


 


(でも、その“誰か”が全くわからない──)


 


沈黙の中で、机の上のモニターに映る映像が切り替わる。

エマが笑顔でタクシーに乗る、そのわずか数秒の記録。


──それが、3人の“最後の目撃”だった。



──同日午後、会議室。


再び集められたメンバーたちの間に、朝より深い沈黙が流れていた。


情報は増えていない。

むしろ「無い」という事実が、確定してしまったことで、より絶望が濃くなっている。


 


「全部……“完璧に消されてる”ってことやな」


カエデが腕を組んだまま、ぼそりと呟く。


「タクシー会社の記録、現場の警備引き継ぎ表、付近の監視カメラ……

どれも“不自然なほどに綺麗”すぎる」


 


「潤様、申し訳ありません」


ノアが膝をつき、頭を下げている。


「私が……あの日、2人を監視しておかなかったのは判断ミスでした。たとえ私一人でも同行していれば……」


 


「いや、ノアのせいじゃない。……誰も悪くねぇ」


潤は俯いたまま、力なく答える。


「ただ……誰も、間に合わなかっただけだ……」


 


「でも潤くん、こんな手際……ど素人の犯行やないで?」


カエデが口調を戻す。


「やってることは完全に“プロ”の仕事や。“誰にも気づかれずに、関係者を一瞬で”って……ウチらでもそう簡単にはできへん」


 


「プロの仕事……でも、なんのために?」


リアが思案するように指を組んだまま答える。


「目的は明確にしていないが、狙いは限定されていない可能性が高い」


 


「“Sweet Shinyの関係者で、誰か特定できないからまとめて”──」


「……ユズハとミリーも巻き込まれた、ってわけか」


潤が歯を食いしばる。


 


「じゃあ、エマだけを狙ったわけじゃないんだな……」


「でも逆に言えば、“一人だけが本命”だったなら──」


リアが目を細める。


「その人物の正体がわかれば、相手の狙いにも手が届くかもしれません」


 


「じゃあ、何か知らないか聞いてみる?」


エンリが控えめに口を開く。


「Sweet Shinyの他の子に、何か心当たりがないか──」


 


「……いや」


潤がかぶりを振った。


「今動かせるメンバーは限られてる。それに、社内でももうパニック寸前だ。

余計な憶測を流せば、あっという間に情報が崩れる」


 


「とはいえ……このままじゃ、何一つ進まない」


リアが低く呟いた。


「足りません。“突破口”が──」


 


潤は黙ったまま、机の上を見つめていた。

そこに、何もないはずの空間に、ぼんやりとある“顔”が浮かぶ。


 


──ライラ。


あの日、事件の直前にエマと一緒にいた。

あのグループの中で、エマと対等に付き合い、過去を共有している唯一の人物。


潤はゆっくりと立ち上がる。


 


「……俺、ちょっと出る」


「潤様?」


ノアが顔を上げるが、潤は静かに手を上げて止める。


 


「連絡はすぐ取れるようにしとく。……でも、ちょっとだけ“賭け”に行ってくる」




──夜。Sweet Shiny事務所前。


街灯の光が地面に長く影を落とす。

潤は建物の前、ポケットに手を突っ込んだまま、静かに佇んでいた。


(……賭けだ。けど、他にもう道はない)


──手がかりも希望もない。

けれど“あの子だけは何か知ってるかもしれない”という、ただの勘。

それでも今の潤にとって、それは唯一の“前に進める選択肢”だった。


 


「……なにしてんの? 潤」


不意にドアが開いて、軽い声が投げかけられる。


潤が振り返ると、ライラがコンビニ袋をぶら下げて出てきていた。

どうやらコンビニ帰りらしい。


 


「……話したいことがある。ちょっとだけ、時間くれないか?」


ライラは少しだけ目を見開いて、それからふっと笑った。


「なに? デートの誘い? 夜の事務所前でとか、潤くんわりと攻めるタイプだったんだね」


「……冗談言ってる場合じゃないんだ。……エマが、いなくなった」


 


ライラの笑みが、静かに消える。


 


「ユズハとミリーも一緒に……昨日、ライブの後に。

誰かに連れて行かれた。いま、行方がわからない」


「……それ、本当なの?」


「ああ。目撃者はゼロ。監視カメラも映ってない。タクシーに乗る直前に“誰かに任せた”って話だけは残ってる。

……でも、そいつが誰なのかは、誰にもわかってない」


 


ライラはレジ袋を握り直し、少し黙ってから小さく息をついた。


 


「……ねぇ潤。私に何ができると思ってここ来たの?」


「お前は……エマのこと、よく知ってるだろ? 他のメンバーには話してないこととか──過去のこととか」


「……」


「何か、ほんの些細なことでいい。思い出すことがあれば──教えてほしい」


 


ライラは一歩、潤に近づく。


「じゃあ質問、逆に聞くけど──」


「ん?」


「潤、あんた1人でこの先、誰を相手にするつもり?」


 


その問いは、妙に静かで、けれど強く刺さった。


 


「……わからない。でも、それでもやるしかない」


「……ふぅーん」


ライラはレジ袋を持ち上げて、それを潤の胸に押しつけた。


 


「じゃあ、その覚悟、本気だって信じていいんだね?」


「……え?」


「いいよ。ついてく。私にも、思い当たることがある」


「本当か!?」


「結城って名前──初期にいた子で、今はもう完全に業界から消えたと思ってたけど……

実は、数ヶ月前にSNSで“それっぽいアカウント”見つけたことがある」


 


潤の目が見開かれる。


 


「でも、あれは偽名で出てたから……本人かどうかは、確証がなかった」


「今、それがわかるかもしれない?」


「うん。ちゃんと調べれば、辿れるはず。

──ただし、私も一緒に行く。いい?」


 


「当たり前だ。むしろ……助かる」


 


ライラはふっと笑って、歩き出す。


「じゃ、決まりね。ほら潤くん、ちゃんとリードして? パートナーでしょ?」


「……まったく、どっちがだよ」


そうぼやきながらも、潤もその背中を追いかけた。


──ようやく、止まっていた歯車が、音を立てて回り出した。





あとがき小話


〜作者の復活と、ミリーの伝達任務〜



ミリー「う、うぅぅ……どうしよ……! うまく言えるかな……!? えいっ、登場ーっ!!」


潤(おい、登場から不安しかないが……)


ミリー「あっ、こ、こんにちはなのっ! ミリーだよっ! 今回はね、ミリーがだいじな、お知らせを持ってきたのっ……!!」


潤(珍しく真面目だな……)


ミリー「えっとえっと、あのね、作者が……ちょっとだけ、ちょーっとだけ……ね?」


潤(何その“ね?” すごく怪しいんだけど)


ミリー「…………脱走してましたっ!!」


潤「やっぱりかよ!!」


ミリー「ご、ごめんなさいなのぉぉぉ!! ミリーが止めたんだけど、止めきれなくてぇぇぇ!!」


潤(え、マジで逃げてたのかよ!? あとがきどころか連絡すら来てなかったぞ!?)


ミリー「でもっ、でもねっ!? 作者、またちょっとずつ書き始めたのっ! 今回の更新も、それなのっ!」


潤(ほう……つまりあれだな。

“行方不明だった飼い猫が、急に餌を食いに戻ってきた”みたいなもんだな)


ミリー「ち、違うのっ! ちゃんと戻ってきたのっ! ちゃんと……反省して……!」


潤「……で? 本人は?」


ミリー「カーテンの裏で震えてますっ!!」


潤「出てこいやぁぁぁぁ!!」


ミリー「だって……また失踪するかもって言ってたし……」


潤「自信なさすぎだろ!!」


ミリー「でもねっ! ミリーは信じてるのっ! 作者のやる気、ちゃんと少しずつ戻ってきてるのっ!」


潤(いやまぁ、それなら……とりあえず、よかったのか?)


ミリー「だからっ! また応援してくれると嬉しいのっ! ゆっくり、のんびり、でも! ミリーたちの物語は、ちゃんと進んでるのっ!」


潤「……俺はいつだって進まされてる側だけどな……」


ミリー「ふふっ、潤くんが頑張ってくれるから、みんな応援してくれるのっ♪」


潤「俺、理不尽に巻き込まれてるだけだからな?」


ミリー「というわけで──!」


ミリー&潤「「これからも、『才能奪取』をよろしくお願いしますっ!!」」


潤「……作者に代わって、深く深く、お詫び申し上げます」


ミリー「おわび……なのっ!!(土下座)」


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