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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
250/262

第224話『俺、不在の現場』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)



──Sweet Shiny ライブ当日。


潤は、広島へ向かう新幹線の車内でうとうとしていた。


今この瞬間、彼はこの物語の中心から、物理的に外れている。


 


──残された社内、警備チームの指揮を取っていたのは3人。


エンリ。カエデ。そしてリア。


彼女たちはそれぞれ、冷静な判断力、現場勘、戦術構築の強みを持ち、

“潤がいない間の現場”を、完璧に維持していた。


 


「ノア様は?」


「いつも通りです。撮影のお仕事に」


 


──そう、ノアはこのライブと並行して行われる

ファッション誌のインタビュー&撮影スケジュールに同行しており、現場不在。


 


そして──


問題児2名は社内待機だった。


 


◆◆◆


【悪徳リクルートエージェント社/本部】


 


拘束されていたのは、ユズハ。

その見張りを担当していたのは──ミリー。


 


『みりちゃぁぁぁん、あだしも……推しの……推しの護衛にぃ……』


 


「だめなの!ミリーは任されてるの!目を離したら“おやつ抜き”って言われてるの!ふんすっ!」


 


ユズハは社の隅で、ロープこそないが“ほぼ禁錮”状態。

ミリーは彼女の監視役を真面目にこなしていた。


──最初の10分くらいは。


 


『なら……私が禁止期間中にぃ……プリン毎日2個!どうですかぁ?』


 


「……え…………だ、だめなの……でも…………ううぅ…………絶対だめ!」


 


──不安しかない。


 


◆◆◆


【ライブ会場・裏口】


 


「やっぱり裏口と駐車場じゃ、なんもわからへんわ……」


「ですね……せめて入場者だけでも判別できたら楽なのですけど……」


「お二人とも、裏口もスタッフの出入りは多いです。油断は禁物です」


 


リアが資料を睨みながら淡々と警戒を続ける。


カエデは駐車場の巡回、エンリは動線整理の指示出しを担当。


 


──とはいえ、悪徳リクルートエージェント社・警備部門は精鋭揃い。


制服の下には誰もが特殊警備ライセンスと格闘資格を備え、

“万が一”すら起こりえない、鉄壁の警備網が会場を囲っていた。


 


◆◆◆


【会場前】


ライブ開場の時間が近づくにつれ、

長蛇の列ができ始め、観客が整然と入場を始める。


一部のオタクがコール練習を始め、

遠くからは「推しに会えるぅぅぅ!!」と涙するファンの声。


 


──それは、ただの“平和なライブの日”。


何の波乱もなく、予定通りに、すべてが終わった。


 


◆◆◆


【ライブ終了/21:30】


警備時間終了と同時に、現場スタッフは規定通りに解散を開始。


ヒロインたちも、それぞれの持ち場から引き上げていく。


Sweet Shinyのメンバーも、控え室からタクシーでそれぞれの帰路へ。


 


──そして、時間は流れ──


 


【23:10/社内】


エンリ、リア、カエデの3人が戻ってくる。


「無事に終わって何よりですね」


「うん、特に混乱もなくてホッとしたで〜」


「……さて、報告書を纏めないといけませんね」


 


そう言いながらオフィスのドアを開けると──


 


「……あれ?」


 


ミリーがいない。


 


「え?ユズハも……おらん?」


 


オフィス内に、人の気配はない。


鍵は開いていた。

モニターはついていた。

だけど、誰もいない。


 


「まさか……!」


 


リアが即座に連絡を試みるが──


電源は入っているのに、応答なし。


 


「潤さんにも連絡を……!」


 


◆◆◆


【同時刻/新幹線車内】


潤「……ん?なんだ?」


潤のスマホが震え、エンリの名前が表示される。


 


──その表情が、静かに引き締まっていく。


 


「……ちょっと急ぐか」




◆◆◆


【ライブ終了 各々撤収中/21:45】


 


『……まだ、推しはきっといる……私の推しセンサーがそう告げてるっ……!』


 


自社の制服のまま、謎の仮面をつけたユズハが夜の物陰に潜んでいた。

もはや「警備」というより「怪しい人」である。


 


その隣では──


『ねーねーユズハちゃん……やっぱりこれ、怒られるよぉ〜?』


ミリーが不安げに制服の裾をぎゅっと掴んでいる。


 


『大丈夫ですって〜!だってもうライブの時間、終わりましたよね?』


『……うん、終わった〜』


 


『でっ!クリームのってるプリン2個で“目を離さない”って約束しましたよね?』


『う……ん、約束はした……』


 


『なら、OKじゃないですかぁ?♡』


ユズハがキラキラと謎の笑顔でミリーを抱きしめる。


ミリーは抵抗のポーズだけして、すぐ諦めた。


 


『……うーん……多分?』


 


──そんな時だった。


前方から、スーツ姿の知的な女性が歩いてきた。


ぱっと見、スタッフか関係者といった雰囲気。


 


『あっ、あなたたち……悪徳リクルートエージェント社の方ね?』


 


『えっ……?あ、はいっ!?』


ユズハとミリー、完全にキョトン。


 


『ちょうど良かった。今、エマさんがタクシーに乗るタイミングなの』


『本来の契約には含まれていないんだけど……可能なら、その時だけでも護衛つけてくれない?』


 


『いえっっっ!!ぜひやらせていただきます!!』


 


──即決。


ユズハの目がギラリと光った。


「推しの仲間を守る」

それは彼女の中で「推しを護る」と同義である。


ミリーも「うん、うん……だよねぇ……」と無言で同意。


こうして2人は、予定外の任務に投入された。


 


 


◆◆◆


【タクシー護衛/22:15】


 


「お疲れさまでしたー!」


エマがスタッフに見送られ、建物の裏手からひょこっと現れる。


 


「ささっさっさっさっ!!こちらへっっ!!」


ユズハが大急ぎでエマの手を握り、勝手にエスコート開始。


 


「え……あの……わたし……?」


エマは軽く戸惑いつつも、手を握られて流されていく。


 


その後ろでは──


『うん、警戒態勢モード、発動……!』


ミリーが真顔で左右を見回しながら、謎のポーズで壁に貼りつく。

まるでアクション映画ごっこである。


 


「よし、敵影なし……風向きも良し……嗅覚も良し……!」


(※たぶん何も感知できてない)


 


エマ「…………(本当にこの人たち、護衛なの……?)」


 


──だが、タクシーのドアに手をかけた瞬間だった。


 


──キィィィィィ……


白いバンが、静かに彼女たちのすぐ後ろで停まる。


 


「──……え?」


ユズハが微かに振り返った瞬間、バンのドアが勢いよく開いた。


 


「ちょっ──なに──っ!?」


 


エマが叫ぶ暇もなかった。


 


ミリー「えっ……ちょ、うそ、待って、えまちゃ──」


 


──そのまま3人は、白い影に吸い込まれるように、バンの中へ。


 


無言のままドアが閉まり、バンはそのまま、音もなく路地裏を走り去った。



あとがき小話

(冷房効きすぎの居間)



ミリー「……っくしゅんっ!」

(鼻を押さえて目をぱちぱち)

カエデ「おお〜、ミリーちゃんのくしゃみ可愛いなぁ〜」

ミリー「やだぁ〜! 聞かないでよぉ!」



リア「……はっ……くしっ」

(即座にハンカチで口を押さえる)

ユズハ「リアさん、それ上品すぎますぅ♡」

リア「……飛沫は最小限にすべきです」



エンリ「……くしゅ……くしゅんっ」

(両手で口を覆って恥ずかしそうに笑う)

ノア「……その仕草、可愛らしいですね」



ユズハ「あぁ〜っくしょんっ♡」

(わざとらしく背を反らして髪を揺らす)

カエデ「お芝居入っとるやん」

ユズハ「せっかくなら華やかにですよぉ?」



ノア「……っ……」

(ほぼ無音、肩がわずかに動く)

ミリー「えっ、今のくしゃみ!? 音なかったよ!?」

ノア「……静粛に行うのが礼儀です」



カエデ「ぶぇっくしょーーーいっ!」

(全員ビクッ)

リア「……豪快ですね」

カエデ「ほっといてぇな!」



(全員が一通りくしゃみを終えて沈黙)



潤「……へっくち!」

(全員の視線が集まる)

ミリー「潤くんが一番可愛い〜!」

潤「いややめろ! その感想やめろ!」


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