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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第1章『ズバリ!才能奪取成り上がりでしょう!』
25/262

第21話『俺、癒しの三重苦に包まれる』

「才能を奪って、成り上がる!」


無職で底辺だった俺が、美少女ヒロイン達とともに現代社会を攻略していく物語、ぜひ覗いてみてください。


ちょっと空き時間に、俺の成り上がりハーレム物語をどうぞ!


感想・評価・ブクマ、ぜんぶめちゃくちゃ励みになります。

書く気力が120%になるので、応援よろしくお願いします!


ブックマーク&評価をいただけると、次の展開の原動力になります!

感想も全部読んでますので、お気軽に一言でも残してくれると喜びます!





.


「今日も……酷くお疲れのようですね。

ほら、膝枕……してあげますから」


 


エンリさんの膝枕――天から差し伸べられた救済。


優しさの極み。


吸い込まれるように頭を傾けかけた、その瞬間――


 


「潤様……?」


 


背後から刺さる、鋭利な視線。


振り返ると、ノアがぴたりと正座していた。


 


「膝枕は……わたくしがいたします」


「い、いやあのこれは別にその……」


 


「じゃあ、うちがしてあげるわ! ほら潤君、こっちおいで〜♪」


 


カエデがニコニコしながら、膝をポンポンと叩いて誘ってくる。


 


「ちょっとカエデ!? 潤様に何してるんですか!」


「んふふ〜、潤君がええならええやろ? せやろ?」


 


「……あらあら♪」


 


エンリさん、微笑まないで! 助けて!!


俺の頭がどの膝に落ちるかで世界が割れそうなんですけど!?


 


「それより潤様、その……新しい職場のことですが」


 


(あ、話題変わった!助かった!)


 


「どうなんですか? うまくやれていますか?」


 


「それがさぁ……」


 


俺はため息まじりに、ここ数日の地獄を語り出した。


 


「最初は超優しくて、褒めてくれるし、“助け合いの職場”って聞いて安心してたのに……」


 


「ちょっと確認しようとしたら“手間をかける存在”扱いされて……

昼休みに席立とうとしたら、“仕事残ってるでしょ?”って笑顔で止められて……」


 


「結局、昼飯も抜きで仕事詰め。

“アットホーム”って何?って毎日問いかけてる……」


 


「それは……潤様が“仕事に対して誠実”だからです」


 


ノアが、静かに断言する。


 


「どんな理不尽な状況でも、真面目に取り組む。そんなあなたの姿勢が、逆に利用されているのです」


 


「潤君……えらいわぁ。ちゃんと頑張ってるやん」


カエデがふわりと寄り添って、俺の背中をとんとんと優しく叩く。


 


「えへへ……今度、甘〜いお菓子でも持ってってあげよっか?」


 


「私は……あまり無理なさらないでほしいです。

潤さんが壊れてしまったら、意味がありませんから」


 


エンリの手が、そっと俺の頭を撫でてくる。


ああもう……癒される。


でも。


 


「いや、癒し過多! 過剰供給! お前ら全員、心が優しすぎんだよ!」


 


「じゃあ誰の膝に甘えんねん?」


カエデが、無邪気に聞いてくる。


 


「わたくしですよね、潤様?」


ノアがすでに膝の上にハンドタオルを敷いて待機している。


 


「えっと……その、みなさん交代制とかで……」


 


「潤様が一番最初に私の方を見てくださったので、わたくしが先です!」


「え〜ウチが先や思うけどな〜?」


「まぁまぁ……順番なんて、私が一晩中付き添えば関係ないですよ♪」


 


(あっこれ……逃げられないやつ……)


 


――今の俺に必要なのは、癒しじゃない。


癒しを制御する、“権利と制度”だ。


俺の心は完全に、疲弊しきっていた。


 


「仕事より疲れるハーレムって、何なんだ……」



 


――そして翌日。


 


目覚めた瞬間、俺の身体は全身が重かった。


いや、物理的にもメンタル的にも。


 


(なんか……ぐっすり寝たはずなのに、ぜんっぜん回復してねぇ……)


 


昨日の“癒しの三重苦”は、ある意味でブラック企業より消耗が激しかった気がする。


 


でも――それでも、俺は行く。


この現実を変えるために。もやしのために。未来の潤のために!


 


「行ってきます……」


 


誰もいない部屋で、そっと呟いて玄関を出た。


 


* * *


 


出社した瞬間、地味な空気が胃にのしかかる。


 


(なんか……今日、空気が重くね?)


 


職場の雰囲気は昨日と変わらず“ニコニコ笑顔”が飛び交っている。

けど、その裏にある“ピリッとした空気”が異常に濃い。


 


あの“アットホーム”の皮を被った圧力社会――


俺だけが敏感に、それを察知しているような気がした。


 


「おはようございま〜す……」


 


「……あら、葉山くん。今日はちょっと遅かったんじゃない?」


 


時計を見た。8時58分。


始業は9時。


 


(いやいやいや! 早いし普通やろ!?)


 


「ご、ごめんなさい。電車が少し……」


 


「ふぅん。そう……まぁ新人さんだもんね。仕方ないかぁ」


 


その“笑顔”、まるで“もう次は許さないわよ”って書いてあるんですけど!?


 


「これ、今朝の分ね。急ぎだから、午前中までによろしく」


 


(山盛り)


 


俺のデスクに、書類という名の地獄が降臨する。


 


「……はい、頑張ります……!」


 


 


カタカタカタカタ――


 


(……この会社、やっぱおかしいよ)


(あの亀山エツコさんの“笑顔”も、“仕事の山”も、“空気”も)


(なにか、異常だ。……才能的な何かを、感じる)


 


俺は、直感的に思った。


 


ここには、スキルがある――

人を“気づかせないまま”支配する、“才能”が――。


 


(ウインドウを開けば、見えるのか?)


(でも……スキルを使うには“悪事”の確認が必要だ。まだ断定はできない)


 


だからこそ――もう少しだけ様子を見るしかない。


 


(……ま、でも今日の昼は絶対もやしラーメン食ってやる)


(それだけは譲れねぇ!!)




* * *


 


そしてその頃――


 


「ふふっ……潤さん、ちゃんと今日も頑張ってますね♪」


エンリが笑顔でスマホの位置情報を確認していた。


 


「って何で監視してるねんエンリ!」


カエデがソファの上からツッコミを入れる。


 


「だって……心配なんですもん。潤さん、放っておけないから……」


 


ノアは黙って、湯気の立つ紅茶を見つめていた。


 


「潤様……もし泣いて帰ってきたら、すぐに慰めます。

膝枕も、ハグも、独占的に、すべて……!」






【あとがき小話】


作者『……癒しが……足りない……』


潤『また始まったよこの人。あとがきで何回叫ぶんだよ』


作者『潤はいいよな、ヒロインたちに囲まれて癒されて。俺なんか毎日…毎日…』


カエデ『んふふ~? 作者さん、ウチの膝で寝てええよ? でも潤くんの方が柔らかいで?』


ノア『癒しを求めるのは構いませんが……潤様に対して“癒されている側”でいてください』


作者『え、なにその意味深で怖い圧』


エンリ『ふふっ、よければ、私が紅茶でも……でも、癒しというのは、時に“距離”が必要ですよ?』


作者『なんで全員微妙に突き放してくるの!? 甘やかしてくれる流れじゃないの!?』


潤『お前、癒されるよりまず働けよ』


作者『圧がすごいよこのあとがきッッ!!』


 


作者:pyoco(癒されたい欲、未解消)


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