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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
249/263

第223話『俺、地獄の帰還』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)




──帰還した俺を迎えたのは、拍手でも労いでもなかった。


 


『で?潤様はアイドルとのデートで鼻の下を伸ばされていたと?』


 


ノアの声は柔らかかった。

ただしその“柔らかさ”は、牛刀の切れ味と同じ系統だった。


 


「違うんです……これはユズハのせいで……な!?ユズハ!」


 


俺は視線を向けた。

助けを求めた──その先にあったのは。


 


『とれたて……新鮮……肩メロン……大胸筋が……ある……いて…………る』


 


「ダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 


完全に壊れてる!

ユズハ、マッスルブートキャンプで壊されたぁー!!


 


そのユズハの上に足を乗せていたのは、達成感満載のカエデである。


腕を組み、仁王立ちで──

“潰したったで”みたいな顔してるのマジで怖い。


 


「ならば───!」


俺は最後の希望に縋る。


 


「リア!?ミリー!!お前らは知ってるよな!?」


 


──が。


その二人は書類の山に埋もれていた。


 


「うぇぇぇ……やだぁぁぁぁ潤くんのせいでミリーたちも地獄の事務作業なのぉぉぉ!!」


「お前が引き延ばしたせいでしょうが……!」


リアが冷静に突っ込みつつも、目の下にはクマができている。


 


──俺が不在の中、彼女たちは書類と戦い、そして散っていた。

主に、ミリーがリアの足を引っ張ったせいだが。


 


そんな地雷原をかき分けて、ノアが再接近してくる。


 


『潤様?例え脅されたとしても別の女とデートだなんて?』


 


「ひぃぃぃごめんなさいどうかどうかご容赦をおおお!!」


俺は反射的に土下座していた。


 


──そう、俺は今、“社内ヒロイン全員からのリンチ”という地獄に突入していた。


 


「まあまあノアさん……仕方ない事情だったんですから大目に見ましょう」


天使の声が響いた──エンリだ!


助かった!エンリだけは俺の味方……!


 


──と、思ったその時。


彼女の笑顔が、少しだけズレて見えた。


 


俺はゆっくりとエンリを振り返る。


 


……笑っている。

だが、心は絶対に笑っていなかった。


 


『な……なんでぇぇぇ』


 


「警護として行った割には満喫しましたという表情だったので……ほんの少しだけ……ね?」


 


──圧が……圧がすごい……


あのふわふわエンリから、怨念フィルター越しの光が漏れている……!


 


『潤様?もちろん私たちにもデートありますよね?』


ノアが微笑みながら、俺の腕に手を重ねてくる。


 


「は……はぃぃぃぃ」


 


──拒否権?そんなものは存在しない。


会社のルールブックには「ノア様のご機嫌を損ねてはならぬ」と書かれている(嘘ではない)。




──その時、カエデが口を開いた。


 


『それでそのアイドルグループの警護やけど、うちらの担当は施設周辺だったわ』


『……駐車場とか裏口や……うちの社員なら20人ぐらい襲ってきても余裕やのにな』


 


「いやおかしいだろ!?何前提で話してんだよそれ!?」


 


──ランボーみたいな奴が警備にいたら客逃げるだろ。

この会社、見た目がすでにアウトなやつ多すぎなんだよ!


 


カエデは軽く肩をすくめる。


 


『余程信用されとらん感じやな〜。メインは他の警備会社やし』


『うちが表で張るとプライドが傷つくんやろな。……まあ、しゃあないけどなぁ』


 


リアが静かに頷く。


『そうですね……我が社が持ち場以上を動くと、「信用できない」と思われかねませんから』


『実績と結果があっても、“空気を読め”が最優先……厄介ですね』


 


「じゃあ俺が、いつもみたいに入り口に張り付いて──」


 


『潤くんはその日、電柱社長と会食やで?』


カエデがぴしゃり。


『しかも相手、出張先の“広島”やろ?どう考えても無理や』


 


「うっ……そ、そうだった……」


 


──あの時は「東京で会いましょう」って言ったら「広島でもええですか?」って流れになって、

“広島名物コース”って言われた瞬間に流されちまったんだ……。


バカな俺……勢いでスケジュール切ったツケが、今ここに……!


 


「でもカエデ、潤様抜きでも大丈夫でしょ?」


 


『なんとも言えんわ〜。うちの社員の質は間違いないけど、メインじゃないから勝手に動いたら他のとこが機嫌悪くすんねん』


『現場ってのは戦場やなくて政治やからな〜。でしゃばったら逆に悪印象なる』


 


エンリが補足するように口を開く。


『そうですか……なんかあれば“連帯責任”って言われそうですし……』


 


──いやな響きだ、“連帯責任”。


 


「会食、ずらせないかな……?」


 


リアがスッと立ち上がり、髪を整えながら言った。


 


『それもやめておいた方がいいですね』


 


『警備業務で社長自ら会食をキャンセルして現場に出るのは──“社員が信用できない”と受け取られかねません』


 


「……はぁ……」


まさか同じ日にバッティングするとは……。


そもそも、何でこの規模のイベントと重なったんだよ……。


 


──社長なのに現場に出たら“不信”で、出なきゃ“無責任”ってなんなんだよこの業界。


 


「とりあえず、作戦考えてみるか……」


俺は重い腰を上げた。とりあえず、考えるしかない。


が──


 


「潤様?」


背中に、冷たい空気が走る。


ビクッと肩が跳ねた。


振り返ると、そこにはノアが立っていた。


 


『お逃げになろうとしてませんか?』


 


──ぎくうっっっっ!!!


 


『まだ遊園地の件、許してはいませんよ?』


 


──許してなかったぁぁぁぁぁ!!


 


俺は再び、正座へと戻された。


背中には、リアの冷たい視線。

隣ではエンリが静かに紅茶を注ぎ、ミリーは謎の反省ダンスを踊っていた。


 


──まさに四面楚歌。


甘かった遊園地の余韻など、跡形もなく消え去ったのであった。




あとがき小話


作者『毎度毎度ごめんなさい、深海潜ってました』


潤『お盆休みという事で……』


ミリー『バーンってなるからー!』


リア『……意味がわかりませんね』


カエデ『要するにサボってたって事やろ?』


作者『やめて!? 翻訳すんな!!』


ユズハ『でもぉ~、せんぱ~い♡ そういう時は“充電期間”って言うんですよぉ?』


ノア『……私は、どれだけお休みでも構いません。

ですが、他の方と遊びに行くのは……許しません』


潤『休みでも地獄かよ』

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