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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
248/262

第222話『俺、絶叫遊園地』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)






──朝の富士急ハイランド前。


「……で、なんで俺がここにいるんだっけ?」


自分でも言ってて情けない。

今、俺は富士急ハイランドのゲート前で立ち尽くしていた。


その隣では──


「ねぇねぇ、最初はどれ乗る!?ド・ドドンパ?それともええじゃないか!?」


ライラがぴょんぴょん跳ねながらチケットを掲げてる。


そして──


「ふふっ、なんだか遠足みたいですねぇ……」


ほんわか笑うエマが、ゆっくり俺の横に並んだ。


 


──今日の任務、それは『お忍びで来園したアイドル二人の一日護衛』。


が、何がどうしてこうなったのか──

**完全に“デートの付き添いポジション”**である。


「なぁ、これって本当に“警護”なんだよな……?」


「もちろんだよー?でもさー、せっかく来たんだから楽しまなきゃ損じゃん♪」


「ふふ、業務中とはいえ、無理に顔を強張らせる必要もないと思いますよ?」


──そう言って、二人とも全力で楽しむ気満々の服装してるのやめろ。


お前らの方がよっぽど“徘徊系不審者”に見えるって。


 


「じゃ、最初は決まりだねっ!ド・ドドンパ行こ!」


「うわ、よりによってソレかよ……」


 


──というわけで俺、

世界最大級の加速を誇る“地獄への滑走路”へ並ぶ羽目になった。



ドドンパ───

 


──発車直前。


俺の隣では、ライラがゴーグルをつけながら爆笑していた。


「うっひゃー!潤くん、顔ひきつってるよー!」


「……いや、普通ひきつるだろこの角度……何度だよこれ……ってか心の準備が……」


「3、2、1──発射しまぁ〜す!」


「はやっ!!?!」


 


ド ゴ ォ ォ ォ ッ!!!


 


 


【ライド後──】


 


「……」


「……潤さん?」


「……」


「潤くん……?生きてる……?」


 


「おい、俺の魂どっか置いてきたぞ……誰か届け出してくれ……」


俺はベンチで膝抱えて震えていた。

ライラは腹抱えて笑ってるし、エマは俺の顔を覗き込んでる。


「潤さん、目の焦点が……あ、でも顔色は意外と良好です。ふふっ、良かった」


「今“良好”って言った!?これが!?!?」


 


──まさかと思ってたが、

この任務、本気で命を削る系のやつだった。



◆◆◆


 


続いて連れてこられたのは──

悪名高き、高飛車たかびしゃ


「やっぱ絶叫系って言ったらコレでしょ!」


「いやさっきのが完全にトドメだったんだが!?」


 


だがチケットはすでにライラが機械に通している。


強制乗車。


 


──コースは急上昇からの、真下への垂直落下、そして121度の反転。


「ふふっ……高飛車って、確か“記憶なくす人が多い”って有名ですよねぇ」


「お前まで怖いこと言い出したなエマァ!!」


 


 


【ライド後──】


 


「……」


「潤さん……あの、気を確かに……」


「“さっき生きてた”ってことしか覚えてねぇ……」


俺は園内のベンチで虚空を見つめていた。


エマが俺の横で、差し入れのジュースを手渡してくれる。


「ふふっ、がんばりましたね。これ、少し冷えてますよ」


「あっ……ありが──」


「潤くんっ!次は“ええじゃないか”いくよぉ!」


「おいバカやめろそれ“上下の概念を失うやつ”だろおおおおおおお!?」




そして……





 


──“ええじゃないか”。


それは「座って乗るとは一体……?」という哲学に挑むマシン。


前後左右に回転しながら、全く別の次元に旅立てるスゴいやつ。


 


「潤くーん、あたしの隣ー♪」


ライラに引っ張られ、強制的に一番後ろの座席へ。


隣では、嬉々としてハーネスを下ろすライラ。


「んっふふ〜!これで3回転目〜!潤くん、酔い止め飲んだ?」


「さっきの高飛車で“胃”ごと全部置いてきたからな……」


「じゃあ軽いね!回ってこー!!」


「いや発想が狂ってるよぉぉぉぉ!!」


 


──ガチで“回ることが前提”の絶叫装置が、俺を天に連れていった。


 


【ライド後──】


 


俺「……んえぇじゃな……」


ライラ「んふふ〜、なんか潤くん、顔色お花みたいになってる〜!」


エマ「ふふっ……これはこれで可愛いですね」


 


──たすけて。


本気で誰か、労基に相談していいやつじゃないのこれ。


 


 


◆◆◆


 


──続いて向かったのは、脳を使うタイプの地獄。


絶望要塞


「今度は頭を使う系だよ〜!ね、潤くんならいけるでしょ?」


「……むしろここまで頭使わないで身体だけ酷使されてきたからな、ちょっと安心したわ……」


と、思ってた──最初は。


 


中に入った瞬間、受付スタッフから問われたのは──


「お一人様ずつの挑戦となります。成功確率は1%未満です」


「…………」


「行ってらっしゃい♪」


 


──俺は、何の罪でここに送られたんだっけ?


 


◆◆◆


 


中は広大な迷宮と謎解き。


パネルを押したり、光を追ったり、意味不明な数式を解いたり──


完全に、IQよりHPが削れる仕様だった。


 


最奥の難問の前で、俺は立ち尽くす。


(ダメだ……これ、絶対に無理なやつだ)


と、その瞬間──


「潤さーん、こっちで正解出ましたよ〜」


エマがひょっこりと隣のルートから登場。

※謎解き、全部ノータイムで突破してきたらしい。


「いやお前、見た目ほんわか系じゃなかったのかよ……!」


「え?ふふっ……なんとなくで♪」


「なんとなくで突破できる施設じゃねぇからここ!?」


 


──そしてスタッフの拍手の中、

俺だけ最終扉のロック解除に失敗して取り残された。


 


「エマー!?ライラー!?待って俺を置いてかないでー!?」


「ええじゃないかー!!」


「絶望したかー!?」


「ギャグで返すなーーーーー!!!」




 


──次に案内されたのは、富士急最凶の名物。


戦慄迷宮せんりつめいきゅう


それは「ホラー」ではなく「訓練」。

“叫ぶ”じゃない、“生き残る”やつ。


 


「さすがに怖くないよね〜?潤くんなら〜!」


ライラがにやにやしながら俺の背中を叩く。

その隣で、エマはなぜか不思議そうに首をかしげていた。


「潤さん、お化け屋敷って、怖いんですか?」


「いや怖くないけど……“苦手”って言葉には魂の叫びがある」


「へぇ〜……ふふっ、大丈夫ですよ。私も“あんまり”得意じゃないですから」


 


──その時は、まだ甘く見ていた。


ライラもエマも余裕そうだったから、俺も乗るしかねぇと。


だが、入場して1分──


 


「ひいっ!!近いっっ!!だめっ!来てるぅぅぅ!!」


 


叫んでたのは──エマだった。


 


予想外すぎて二度見した。

そのほんわか顔で、心臓バクバクさせながら、

俺の腕にしがみついてくるとか聞いてない。


 


(いや近い!これは近い!警備ってレベルじゃねぇ!!)


 


「ら、ライラは!?」


「ばぁっ!!」


「やめろぉぉぉお前が一番怖いわぁぁぁあああ!!」


 


ライラはゴーストにハイタッチしながら進軍しており、

すでに“ホラー側”に転職していた。


 


──そのままルート中盤。


どこかの分岐で、潤とエマがライラと分断される。


「こっち……?あれ……ライラちゃん?」


「おい、声が遠ざかって……って、うわ、真っ暗!?」


 


──静寂。


2人きり。


エマがそっと潤の服の袖をつかんだ。


「……潤さん?」


「な、なんだ……?」


「ちょっとだけ、こうしてていいですか……?」


 


──少し震える手。

でもその指先は、あたたかくて。


俺は、声を出さずに、小さくうなずいた。


 


──たぶん、このとき。


遊園地の騒音の中に、

一瞬だけ“静かな心音”が、重なっていた。





──戦慄迷宮を出ると、外はまぶしいくらいに晴れていた。


「ふはぁ〜!!出たー!出れたー!!潤くん、私ら生還したぞ〜!」


ライラが両手を広げて叫ぶ。

まるで世界救った勇者のようなテンションである。


 


「ふふ……思ったより、怖かったです……」


エマは胸に手を当てて深呼吸していたが、

顔はどこかほんのり笑っていた。


 


──まさかあのエマがあそこまでビビるとは。

怖がり方すらほんわかしてたけど……やっぱギャップってやつか。


 


「……あっ、ジュース買ってくるねー!潤くんはポカリ?それとも“ええじゃない炭酸”?」


「それ味どうなってんだよ!?……って、あーもう好きにしてくれ……」


 


そう言いながら、ライラは売店へダッシュ。

結果、俺とエマが──ベンチに、ぽつんと二人。


 


「……」


「……」


少しの沈黙。


エマが、ゆっくりと座ってから言った。


 


「潤さん、今日は……本当に、ありがとうございます」


「いや、別に。仕事だしな。むしろ命がいくつあっても足りねぇっていうか……」


「ふふっ……それでも、付き合ってくれて嬉しいです」


 


ふいに、エマが視線を落とす。

その頬に、ほんの少しだけ陰りが差すのが見えた。


 


「……私、元々アイドル目指してたわけじゃないんです」


「……え?」


「最初はただ、何かをやりたくて……色んな会場のオーディションに応募してました」


 


エマの声は静かだった。


でも、言葉の一つ一つが、まるで柔らかい針のように胸に刺さる。


 


「でも……全部ダメで。何度も落ちて……

そんなとき、ラアラちゃんと出会ったんです。レッスン会場で」


 


「あの子も……私と同じで、何度も落ちてて。

“だったら一緒に練習しようよ”って、言ってくれて……」


 


──思い浮かぶ。

天真爛漫で、図々しいまでに明るくて。

でもたまに、底の見えない目をする女の子──ラアラ。


 


「ふたりで、毎日レッスンして、踊って、歌って……。

そうして、やっと今の事務所に拾ってもらえたんです」


 


エマは、少しだけ笑った。


でも、それは“今が幸せ”という笑顔じゃなく──

“少し、遠くを思い出してる人”の笑い方だった。


 


「私、後期組なんですよ。Sweet Shinyの中でも。

だから“苦労知らず”って、言われることも多くて……」


「……」


「でも、本当は、けっこう……がんばってきたんですよ?」


 


静かに、こちらを見るエマ。


その目に揺れているものは、泣きそうでもなく、笑ってもなくて。

ただ、まっすぐだった。


 


──この子、ほんとに“ちゃんと”努力してきたんだな。


「……知ってるよ」


気づけば、そう口にしていた。


 


「お前が……簡単にここに立ってるわけないだろ。

お前が、“あのラアラ”と並んでいられるってことは──それだけで、十分だよ」


 


「……潤さん……」


 


風が、頬をなでる。


二人の沈黙が、静かな音楽みたいに心に響いた。





──日が傾く富士急ハイランド。


ライトアップが始まり、街灯の明かりが足元を優しく照らす。


さっきまでの騒ぎが嘘みたいに、静かだった。


 


「……きれいですね」


エマが、ふと空を見上げる。


イルミネーションの光が、彼女の髪に反射して、淡く揺れていた。


 


「……まあ、うん。確かに」


俺もつられて見上げる。


目に飛び込んできたのは、観覧車のシルエットと、空に滲むオレンジ。


騒がしかった一日が、やっと終わる──

そんな、静かな“しめくくり”の時間。


 


「潤さん、今日は……本当に楽しかったです」


「……お前、あんなに叫んでたのに?」


「ふふ……叫んでるのと、楽しいのは、ちょっと違うんですよ」


「……そりゃまた、妙な理屈だな」


 


エマは、座っていたベンチから立ち上がり、

そのまま俺の前に、くるっと向き直る。


 


「また、来たいですね──こういうところ」


 


「……ああ」


それだけ。


それ以上の言葉は、出さなかった。

出せなかった、かもしれない。


でも、たぶん。


それで、良かった。


 


少し離れた売店から、ジュース片手のライラが手を振っていた。


「潤くーん!まだ顔白いけどー!最後にもう一回ええじゃないか乗って帰るー!?」


「やめろ!お前がトドメ刺す気だろ!!」


 


──明日からまた、いつも通りの日々だ。


でも今日だけは、少しだけ、特別だった。


俺の中に、確かにそう残る一日だった。

あとがき小劇場


『ついにーーーーー!!』


(舞台・薄暗い執筆部屋。机に突っ伏す男が一人)


作者「ついにーーーーー!!」


(バァン!!派手な効果音とともに紙吹雪が舞う)


一同「やすみだぁぁぁぁぁぁぁ!!」


【全キャラ乱入】


ユズハ(カーテン裏からスライディング登場)

「せんぱ〜い、お疲れさまでしたぁ〜! はいこれ、ご褒美の……耳かきセットですぅ♡」

潤(内心):《癒しなのか攻撃なのかどっちなんだこのご褒美ぃぃぃ!?》


ノア(正座で膝枕待機)

「潤様、こちらにどうぞ。心の疲れも、身体の疲れも……私が癒やしますので」

潤(内心):《もうこの膝から動けなくなる未来しか見えねぇ!!》


カエデ(毛布に包まりながらごろごろ登場)

「ウチの横、あいてるで? 一緒にぐーすか寝よ〜や〜?」

潤(内心):《拠点型ヒロインの全力誘惑だとぉ!? 俺の理性HPが……》


エンリ(紅茶とクッキーのお盆を運んでくる)

「お疲れ様です。これ、疲労回復用に。糖分も、水分も、忘れずに」

潤(内心):《この優しさに、毎回泣かされてんだよ……!》


リア(背後から静かに接近)

「では、次の投稿スケジュールについて──」

潤「ストップストップストップ!!」

リア「……冗談ですよ」

潤(内心):《今の“……”の間が怖すぎるの!!》


ミリー(どこからかラジカセとディスコボールを取り出す)

「じゃあパーティーだねっ! みんなで踊ろう踊ろうっ♪」

潤(内心):《うるさい、うるさい、うるさい! でも元気出る!》


作者(机に突っ伏したまま顔だけ上げる)

「……皆様、本当にありがとうございました……とにかく今日は、休みます……!」


潤「このあとがき読んでるそこの読者さん! ここまで読んでくれてありがとな!!」

潤「マジで、君の存在が命綱だった……!!」


一同「次回もよろしくーーー!!(でも今は寝かせてーーー!!)」


(静かに幕が下りる)

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