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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
245/262

第219話『私、初対面』



──煌びやかなバラエティ番組のセット。

ヤシの木と浮き輪、床のLEDに海辺の波……夏全開の装飾がテンションを煽ってくる。


\\\ 今夜は特別企画! ///

\\\ “夏にキュンとする瞬間”スペシャル! ///


──出演者席には、現在人気急上昇中のアイドルグループ《Sweet Shiny》から3名。

さらに、その隣に──完璧な仕上がりの“異彩”が座っていた。


司会『というわけで、さっそく皆さんにご挨拶をお願いします!』


『では……ノアさんから!』


ノア『初めまして。ノアと申します。本日はよろしくお願いいたします』


──相変わらず表情一つ崩さず、それでいて妙に絵になる。

白のノースリーブワンピに緩やかな巻き髪、静かな微笑。

完璧すぎるフォーマットに、逆にスタッフが若干緊張してるのが面白い。


司会(例の彼)『うわ〜お上品だわ〜!これは夏の京都から来ましたって言っても信じるやつ』


ノア『……東京生まれですが』


司会『マジかよ!?』


──続いて、Sweet Shinyの3名。


シズカ『……シズカです。今日は、ちょっと緊張してます……』


──落ち着いた黒髪に、ラフなデニムワンピース。

あえて作ってない“素の空気感”が一部層に刺さってるらしい。


エマ『エマで〜す♡よろしくお願いしま〜すっ♪』


──ふわふわな雰囲気と、若干あざとい笑顔。けどあくまで自然体。



ラアラ『ラアラです!今日は精一杯、頑張りまーすっ!』


──真っ直ぐな視線と明るい笑顔。

まるで台本の通りかと思うほど、理想のアイドル的ムーブ。


司会『う〜ん、今日は華やかすぎて目がやられそうだなぁ!

じゃ、さっそく本題入りましょう!』


\\\ 夏にキュンとする瞬間! ///


司会『おひとりずつ、どんなシチュにキュンとするか教えてください!』


──まずはシズカ。


シズカ『私は……駅とかで偶然目が合うとか……そういうの、ちょっと憧れますね』


司会『おっ、王道の出会い系〜!……って古い?』


シズカ『あっ、いや、その……今どきあんまりないですけど……なんか、いいなって』


──ひそかに画面隅《共感度:★★★》の演出。

でも、自然体の語りにスタジオの空気がふんわりする。


──次、エマ。


エマ『私は〜、意外性にキュンとするかなぁ?』


司会『意外性?たとえば?』


エマ『なんか、普段と全然違う一面とか……

例えば静かそうな人が、突然強気だったり、真面目そうな人が急に抜けてたり……』


司会『あぁ、わかる!ギャップってやつだね〜!』


エマ『はいっ♡……でも、別にそういう経験あるわけじゃないんですけどねっ』


──ふわっと笑うその様子に、視聴者も癒される。


──ラアラ。


ラアラ『私は……今はアイドルとして、お仕事に集中したいので……

恋とかは、まだ、いいかなって思ってますっ』


司会『うんうん、真面目だね!』


ラアラ『でも!ファンの皆さんの応援は、毎日キュンときてますっ♡』


──真っ直ぐな言葉、トップアイドルそのものだ。


──そして最後はノア。


司会『お待ちかね!ノアさんの“夏にキュン”とは!?』


ノア『……何気ない日常の中にこそ、惹かれる瞬間があります』


司会『おお……深い!たとえば?』


ノア『……例えば、陽射しが強い日。隣を歩く人が、何も言わずに日傘を傾けてくれたり……』


司会『……ああ、もう絵になるやつじゃん!』


ノア『気づかせずに、優しさをくれる人……そういう方に、私は……』


 ──言葉を濁すが、その声の奥にだけ、柔らかい確信が混ざっていた。


司会『……もしかしてぇ〜、その“隣を歩く人”って、例の……?』


ノア『……さぁ、どうでしょう?』


司会『絶対そうだろそれ!!!』


──視聴者が名前を出さない“あの男”を思い出したとしても、それは誰にも確かめられない。


だが彼女たちの言葉に共通していたのは──

誰かを想っている空気。


カメラが回る中、いくつかの嘘と、本当が、夏の光に紛れていく──




──────





──バラエティ収録、無事終了。


『お疲れ様でーすっ!』


照明が落ち、出演者たちがぞろぞろと楽屋へ引き上げる。

スタッフの声とクールダウンの空気が、さっきまでの熱気をかき消していく。


『お疲れ様〜!ノア、今日はもう終わりやんな?』


──ぽんっと背後から肩を叩かれ、ノアが振り向く。


『あっ……カエデさん。お疲れ様です』


『エンリの代わりで来たんやけどな、連絡きてん。

潤くん、熱出したらしいで?』


『──潤様が!?』


ノアの表情が一瞬で張り詰める。


『今すぐ……すぐに向かいましょう!』


『うん、せやからまずは着替えてきぃ。

ウチも車呼んどくさかい』


──だがそのタイミングで。


通路の奥から、今日の共演者である《Sweet Shiny》の三人が、笑顔で歩いてきた。

そして──誰とも知れぬ声が、すれ違いざまにひとこと、ポツリと落ちる。


『……待っててね。すぐにもらっちゃうから♪』


え……?


一瞬、ノアの足が止まりかけた。

だが声の主は判別できない。

ラアラか、エマか、あるいは……


──冗談とも本気とも取れぬ“何か”が、通り過ぎていった。


『……今の、なんや?』

『……わかりません。何か言われた様な気が……』


だがその違和感は、ノアの脳裏にしっかりと刻まれていた。



──タクシー車内。


『でな?今ちょうどユズハから写真送られてきてな?』


カエデがスマホを差し出す。

画面には──


・涙目で書類に向かうリア

・その隣で、落書き帳と化した紙にうつ伏すミリー

・そして二人の背後で、完璧な笑顔で“見張り”をしているエンリ


『……何があったんです?』


『最初はな、ミリーが資料に可愛い顔描いたんよ。

で、リアが止めようとしたんやけど……気がついたら、誰も整理終わってなくてな』


『小学生の自由研究でももうちょっと真面目にやる気がします……』


『ちなみに今は、ユズハも巻き込まれてるみたいやで?さっき「電話きた」ってメッセきてたから、たぶんリアの指導対象』


『当然の報いですね』


『せやけど、潤くんしんどいなら……ウチらがごはんとか作ったげよか?』


『……ええ。おかゆ、スポーツドリンク、それと……保冷剤もあれば』


『よっしゃ、じゃあ目的地変更〜!』


カエデが運転手に笑顔で声をかける。


『おっちゃん!スーパー寄ってから、潤くんのとこ行くでぇ!』


──ノアは窓の外を見ながら、ふと、先ほどの“声”を思い返していた。


(……あれは……誰の言葉……?)


“待っててね。すぐにもらっちゃうから”


──その“誰か”が、潤様に向けた言葉でなければいい。

そんなあり得ない妄想を、ノアはかき消すように瞳を閉じた。


──不穏な夏の夕暮れが、ゆっくりと、街を染めていく。




【あとがき小話】


今回は告知に御座ります!


新作

『過労死したら経験値カンストしてた俺、異世界でようやく評価される』

を公開いたしました〜!!


普段から『才能奪取』を読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます。

もしよろしければ、新作の方にも目を通していただけたら嬉しいです!


それに伴い──

今週に限り、

・『才能奪取』を毎日1話更新

・『過労死したら経験値カンストしてた俺、異世界でようやく評価される』も毎日1話更新

という【ダブル連載ウィーク】を開催いたします


更新通知が多くなるかもしれませんが、

どうか温かく見守っていただければ幸いです……!


何卒、よろしくお願い申し上げます!

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