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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
241/262

第215話『俺、アイドルのコンサートへ行く』

ここまで読んでくださったのですね……ありがとうございます。

ですが、お願いがあります。どうか──

ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー……何でも構いません。

潤様の物語に、あなたの想いを届けてください。


たった1PVでさえ、潤様を描く私たちの胸を震わせ、力になります。

……いいえ、正確には──私が、誰より喜んでしまいます。


ですから……お願いです。

この想い、この物語を、潤様の名のもとに支えてください。


(……助けてくださらないと、私、潤様を独り占めしてしまうかもしれませんよ?)

「せんぱ〜い!えへへっ♪ 今日の予定とか〜あったりします〜?」


──朝。

扉を開けた瞬間に飛びついてきたのは、我が社の広報(※自称アイドル)だった。


 


いや……ほんとに飛びついてきた。

朝イチの寝ぼけ顔に全力のタックルかますな。


 


「って暑ぃぃ!!なに抱きついてきてんだよ!!

 夏だぞ!?体温上がるぞ!?俺が溶けるぞ!?」


 


「いいじゃないですか〜♪

 先輩と私の仲ですし〜?

 それに……夜に熱く語り合った仲じゃないですか〜?」


 


──その言い方やめろ。


全部誤解される。

いや、むしろ誤解させにきてるなコイツ。


 


「……で?どこ行きたいんだよ。まさかまた服見に行くとか……?」


 


ユズハはいたずらっぽく笑いながら、俺の腕にぐいっと密着してくる。


「実は〜……今ちょっと推してるアイドルグループがいましてぇ……

 チケット狙ってたんですけど〜取れなくて〜……でもエンリさんに相談したら〜?」


 


──ジャジャーン☆


誇らしげに取り出されたのは、ピッカピカの関係者席チケット2枚。


 


「メディア関係者用、貰えちゃいました〜♪」


 


「いや職権濫用じゃねぇか!?エンリ!?エンリィィィィ!?」


 


俺の中の倫理観が悲鳴を上げたが、当の本人はまったく気にしていない。


 


「なに言ってるんですか〜?これも我が社の広報力を高めるための!れっきとしたお勉強会ですよぉ〜?」


 


お勉強会(握手会付き)


 


「……なぁ、ユズハ。お前、たまにギリ合法な顔して犯罪的だよな」


 


「えへへ〜褒められたぁ♡

 彼女たちの可愛さたるや……もう、流石の私でもちょびっとだけ霞むほどなんですから!」


 


「“ちょびっと”の解釈どうなってんだお前の中で」


 


──まぁでも。


そんなに楽しみにしてるなら、断る理由もないか。


 


「……わかったよ。そこまで言うなら、付き合ってやる」


 


「わ〜い!わ〜い!

 じゃあ今すぐゴーです☆」


 


「は?今?俺まだ寝起きなんだが?」


 


「ナウです!準備して!

 ライブは戦争ですから!!」


 


「戦争なのに俺が動員されてんの、なんか納得いかねぇんだけど!!」


 


──こうして。

俺はユズハに引きずられ、アイドルライブ&握手会へと参加することになった。


……なにこの羞恥の夏。



 


ユズハはルンルンで歩いていた。


──いや、歩いてるというか、すでにライブの空気を背負ってる。


 


「……おい。

 お前それ……どう見ても勉強会の格好じゃねぇよな?」


 


彼女はハチマキを締め、ハッピを羽織り、背中にはド派手な刺繍で──


 


《ラアラたん命》


 


うちわ×2

ラアラちゃんネイル

腰には蛍光ブレス

極めつけに喉に貼られた「声出し可」のシール


 


「準備完了ですねぇ〜♪」


 


「準備どころか、開戦5分前の兵士の顔してんぞお前……」


 


「何言ってるんですかぁ〜。これは我が社の成長のための“視察”です!

 郷に入らば郷に従えって、言うじゃないですか〜?」


 


「いやどう見ても“従わせる側”の装備だからな!?

 むしろ今からお前がセンターでデビューしそうな勢いだぞ!?」


 


そのままノリノリで列に並ぶユズハ。

周囲のガチ勢にも全く引けを取らない──というか一番目立ってる。


 


「なぁ……ちなみにこのアイドルグループって、どんな感じなんだ?」


 


俺の何気ない問いに、ユズハが動きを止め──


 


「……せ、せんぱい……?」

「……えっ、まさか……知らないとか……?」


 


──ギョッとした顔で、俺を五度見してくる。


 


「やばすぎますよそれ……。

 “Sweet Shiny”知らないとか、現代人ですか!?」


 


「いや言うて昨日のニュースもロクに見てないからな俺……」


 


「“Sweet Shiny”は5年前に結成されて、

 2年前に新メンバーが入ってから飛ぶ鳥も落とす音圧でドームデビューを果たした、

 今をときめくアイドル界のキラキラ銀河なのです!!」


 


「なんでお前のテンションが銀河規模なんだよ……」


 


「よくぞ聞いてくださいました!」

「新メンバーは3人いて──ミサキちゃん、エマちゃん、そして我らがラーラちゃん!」


 


満面のドヤ顔。

背中の“命”の刺繍が風にたなびく。


 


「ラアラちゃんは歌・ダンス・MC・表情・ポーズ・空気感・呼吸の仕方まで完璧!

 天が生んだ“人類最後のアイドル”です!!」


 


「えっ、最後なの? 人類の?」


 


「ちなみに先輩、事前予習用のDVDありますけど、見ます?」


 


「いらん。むしろ今後も一生見ん」


 


そんな会話をしているうちに、会場に到着。


 


開演前にも関わらず、観客はすでに戦場の士気をまとっていた。


サイリウムの光が一斉に波打ち、歓声が響き、遠くから既に誰かが泣いている。


 


俺たちは前のほうの席に着く。


 


……見渡す限り、ラアラちゃんうちわばっかじゃねーか。

この中で「誰それ?」って聞いた俺、処刑対象では……?


 


「……なぁ、ユズハ」

「もし俺が間違えて“ララちゃん”とか呼んだら──死ぬ?」


 


「即死ですね〜♪」


 


──俺、今日生きて帰れる自信がない。





公演が始まると、会場の熱気はさらに跳ね上がった。


光と音の洪水。サイリウムの波。跳ねる足音、咆哮に近い歓声。


 


──そのステージには、6人の少女たちが立っていた。


 


どの子もビジュアルは完璧。だが──


一際目を引くのは、その中の3人。


 


……なるほど、これがユズハが言ってた「新メンバー」ってやつか。


立ち姿、歌い出す瞬間、煽る手の角度……放ってるオーラが、明らかに違う。


 


「絞殺天使〜♪ お顔が真っ青、は〜がねちゃ〜ん♪」


 


──えっ、今の歌詞なに!?

物騒すぎない!?

絞殺天使ってなに!?顔真っ青てどういう状況!?


 


てかどっかの深夜アニメで聞いたことあるぞこのフレーズ!?

今、元ネタ考えてる場合じゃないけどさ!


 


「見て見て先輩!!今ラアラたんこっち見ましたよ!!こっちガチで見ましたってば!!」


 


「わかったわかった落ち着け!」


 


──それにしても。


曲はクセ強、歌詞は物騒、踊りはフルパワー。

それでも……


 


パフォーマンスの迫力がすごすぎて、気づいたら俺も身体でリズムを取っていた。


完全に負けてる……!

観客として!


 


 


──そしてライブ終了後。


一部のVIP席限定で、握手会が開催された。


 


「先輩は誰が一番輝いて見えました〜?」


 


ウッキウキで聞いてくるユズハ。

さっきまでの叫びで喉やられてるはずなのに、声が元気なのが逆に怖い。


 


「いや……誰が誰だかまでは分かんねーけどさ。

 3人だけ、後加入なんだろうなってのはなんか見てて分かった」


 


「それでそれで?どの子が気になったんですか!?」


 


ぐいぐい距離を詰めてくるユズハ。


 


「え……? いや、強いて言えば……あの、ショートボブの子」


 


「──あ〜っ、エマちゃんですね♪」


 


即答。


 


「いいですよね〜わかります!

 エマちゃんは清楚で、控えめで、ちょっと天然な感じが……あっ、でもダンスキレッキレなんですよ?」


 


「もう好きすぎて解説早ぇよ……」


 


「ちなみにちなみに、私の推しのラアラちゃんは、ピンクのフリフリ衣装でツインテの子です!」


 


「あー……いたな。

 なんか世界を自分中心に回してる系の……」


 


あの立ち方と目線の配り方、完全にセンターの空気だった。


 


「お前、完全に負けてるぞ?」


 


「むー!いいんですぅー!

 推しに負けるなら本望ですぅ〜!尊い……あぁ尊すぎますぅ〜……」


 


両手を合わせて拝み始めるユズハ。

このままじゃ魂抜けて昇天しかねない。


 


「わかったから!帰ってこーい現世に!!」


 


はっと我に返るユズハ。すごいなこの切り替え力。


 


「それはそうと、先輩は誰と握手しますか?やっぱエマちゃん?」


 


「いや……別にいいよ、握手とか。俺そういうの慣れてないし……」


 


「ダメですよぉ!

 応援してくれる人がいるって、あの子たちにとっても絶対うれしいんです!」


 


「そ、そうだけど……」


 


「それにせっかく握手券あるのに使わないなんて、握手できなかったファンに失礼です!」


 


──うっ、ぐうの音も出ねぇ。

なにこの論破力。間違ってねぇ。


 


「……なんか妙に筋が通ってんのが腹立つな……

 ……わかったよ、行きゃいいんだろ。別に会話とかしなくていいんだよな?絶対どもるからな?」


 


「大丈夫ですよ♪彼女たちはプロですから!」


 


──そう言って、ユズハはラアラの列へ。

俺はその隣、エマの列に並んだ。


 


距離が少しずつ近づいていくたびに、心臓がざわついていく。


それはアイドルに会うから──だけじゃない。


 


改めて、目の前に立つエマを見る。


 


……やっぱり、可愛いな。


あの無邪気な笑顔と、どこか凛とした空気。


そんな事を考えていると──


「はいっ、ありがとうございました〜!お次の方〜!」


 


そして順番が回ってきた

──名前も知らない相手に、こんなに緊張すんの、初めてかもしれない。





【あとがき小話】

〜作者、ロマンを3秒で台無しにするの巻〜



作者『なんかさ……創作ってすげーよな……』


リア『急にどうしたんでしょう』


作者『いや、こうして俺が綴った物語がさ……通勤中とか、布団の中とか、お風呂とか……』


リア『はい』


作者『下手したらさ……恋人とのデート中に読まれてるかも、とか思うと……』


リア『……ふふ、少しロマンチックですね』


作者『……うん……(΄◉◞౪◟◉`)』


リア『……何ですか、その顔は』


作者『いや……その電車の中で、

俺のギャグ読んで“プフッ”って吹き出した瞬間を想像して……

勝ったなって……』


リア『ロマンチック、今落としましたよ』


作者『返してもらえる?』


リア『もう、駅のホームに転がってますね』



潤(あー……どんな恋愛漫画よりこの会話のほうが“人間”してるわ……)

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