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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
239/262

第213話『それでも隣にいると、君が言ったから』


ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)



『じゅんくん!!』


 


『せんぱ〜い? そんな思い詰めた顔して、どうしたんですかぁ?』


 


『あなたは全く……何かあるなら、ちゃんと話してください』


 


夜の路地。

潤はフードを深く被ったまま、わざと視線を逸らして歩き出そうとする。


 


その腕に、ミリーが飛びつく。


 


『ダメだもんっ! 今の潤くんなんか、怖いのっ!!』


 


潤はほんの少し目を細めて──口元だけで答える。


 


『怖い? なら……いいことじゃないか』


 


『よくないですぅ!!』

横からユズハが回り込んで、潤の腕にしがみつく。


『ワイルドな男気取っても〜ダメですよ? 先輩は先輩なんですから!

ほらほら〜いつもみたいに、のほほんとしててくださいよ〜?』


 


『そんな暇は──ない』


 


冷たい声と共に、潤が再び歩き出そうとしたその瞬間。


リアが一歩前に出て、道を塞ぐ。


 


『……はぁ。まったく、相変わらず融通の利かない人ですね』


『そんな行き当たりばったりな行動……まるで、自分に“罰”を与えようとしているかのようです』


 


潤が、ぴたりと足を止める。


 


『……罰? 俺が?』


 


一拍の沈黙のあと、潤はぼそりと呟く。


『……それも、仕方ないのかもしれないな……』


 


『でも──止まるわけにはいかない』


 


『じゅんくんの、ばかぁ〜〜!!』

ミリーが叫ぶように声を上げる。


『なんで、なんで話してくれないの!?』


 


『そーですよぉっ! ユズハたちそんなに頼りないですかぁ!?』


 


潤は2人の手を振り払い、背中を向けて歩き出す。


──だが、リアがその背に手を回して、抱きしめるようにして引き留めた。


 


『ダメです……! 行かせません!』


 


潤が低く唸るように答える。


『……止めるなよ、リア』


 


『悪人が減る。それだけだろ。誰かがやらなきゃならない。

──なら、俺がやる。それでいいだろ?』


 


リアの表情が、確かに曇った。


そのすぐ横で、ユズハの声が強くなる。


 


『先輩……っ! なんでそんなに、1人でやりたがるんですかっ!?』


 


──いつもならふざけた声。

でも今のユズハは違った。


真剣な目で、真正面から潤を見ていた。


 


『……じゃあ聞きますけど?』


潤が初めて振り返り、少し声を荒げる。


 


『お前らに──何ができるんだよ!?』


 


『確かに……お前らは俺より優秀だ。俺がどれだけ無能だったか知ってるだろ?』


『スキルなんてなけりゃ、今ごろフリーターで、先輩にペコペコ頭下げて生きてた。

でも今は違う。俺は、“才能奪取”って力を持ってる。』


 


潤の拳が震えながら握り締められる。


 


『だから……だからこそ、“俺がやるしかない”だろ……!!』


 


──その言葉に、ユズハが口を噤み、唇を噛んだ。


 


『……じゃあ……』


 


ミリーの声が震える。


 


『じゅんくんにとって、ミリーたちは……何なの!?』


 


潤が目を見開く。


ミリーは怒っていた。涙を浮かべながら、それでもまっすぐに──


 


『力があるから、助けてくれたの!?』


『力がなかったら……ミリーのこと、見捨ててたの!?』


 


『……っ、それは……!』


潤が言葉を詰まらせる。


 


『……助けたいとは思ってた……けど──

この力がなかったら、助けられなかった……』


 


『だから俺は、“持ってる側”として──責任がある。

“助けられる奴”が、“助けるべき”なんだ……!』


 


潤の拳が、今にも血が出そうなほど握りしめられていた。



『べきって──先輩は、いつからそんな“すごい人”になったんですか?』


 


ユズハの声が震える。

けれどその目は、真っすぐ潤を見据えていた。


 


『私の知ってる先輩は、からかうとすぐ顔真っ赤にして、

情けなくて、でもちょっとかっこよくて──

大体は、ダサくて、でも愛される人なんです』


 


『そんな先輩は……“力があるから”生まれたんですか?』


 


『そうだよ!!』


潤が叫ぶように返す。


 


『俺は……昔、何もできなかった!

先輩に怒られてもペコペコして、

不良を見かけたら道を譲って、

誰かを助けるなんて、できるわけがない』


 


『そんな俺が、ようやく“変われた”んだ……!』


 


『この才能奪取って力を手に入れて──

俺は、力を持つ者として、やるべきことをやる。

たとえ、誰から責められても! たとえ、全部の罪を俺一人が背負うことになっても……』


 


リアが一歩踏み出し、潤を正面から見据える。


その声は静かだった。でも、強かった。


 


『……力の責任、ですか』


『確かに私たちは、その力を持っていません。

あなたがどれほどの重圧を背負ってるか、本当の意味では分からない』


 


『ですが──なら、なぜそんなに……苦しそうな顔をしているんですか?』


 


『俺がやらなきゃ──誰もやらないんだよ!』


潤が叫ぶ。


 


『苦しいに決まってんだろ! やめたいよ!

でも、誰かが傷つくくらいなら、俺がやるしかないだろ!?』


 


潤は言葉を止めない。もう止まれなかった。


 


『……この際だから、言わせてもらう。

今までありがとう……でも今日は、1人でやる。

レグルスも、悪人も、全部──俺が潰す。

俺だけが悪者になればいい。お前らは──』


 


──パァンッ!!


 


ミリーのビンタが潤の頬に音を立てて響いた。


 


『じゅんくんは、それで……本当に幸せなの?』


 


ミリーの瞳が濡れていた。怒りと、涙と、悲しみで。


 


『悪い人を倒したら、それで終わり?

誰かを助けたら、それで満足?』


 


『……それは……』


 


『じゅんくんの思い描く未来に、私たちは──いるの?』


 


『私はね……じゅんくんがいない未来なんて、絶対にイヤなの……』


 


潤の目が揺れる。

何かが、胸の奥で音を立てて崩れたようだった。


 


『先輩……』


ユズハが静かに言う。


『私たちのこと、置いていっちゃうんですか?』


 


『先輩の辛さも、悩みも……

私たちには、全部分けてくれないんですか?』


 


『私たちだって、誰かを助けたいんです。

でもそれは、“先輩が笑ってくれてる”ことが前提です。』


 


リアがそっと涙を拭う。


 


『あなたの持つ力を、私たちは持っていません』


『でも──あなたが背負うものを、“一緒に担ぐ”ことなら、できます』


 


『それでも、あなたは……私たちを、邪魔だと言うんですか?』


 


『邪魔……?』


潤が小さく呟く。


 


『そんなわけ……あるかよ……!』


 


『でも俺といると、危険な目に遭うかもしれない。

巻き込まれて、傷つくかもしれない。』


 


『それでも──それでも、いいって言うのかよ……?』


 


『俺は、“正義のヒーロー”みたいにカッコよくて、

誰からも好かれて、みんなを救えるような存在じゃないんだぞ……?』


 


──返事は、まだなかった。


でも潤の声は、もう誰かを突き放すものではなかった。


 


心の中で張っていた糸が、今、切れかけていた。



『だからね?じゅんくん……』


ミリーが、手をそっと伸ばす。

それは触れそうで、触れない距離。


『私たちは、潤くんのこと──ひとりにさせたくないの』


 


(俺だって……みんなと笑っていたい。

でも……俺が隣にいることで、誰かがまた……

ユカリちゃんの時みたいに──)


 


『先輩、もしかして──“私たちが傷つくかも”って心配してるんですか?』


ユズハが、あきれたように笑いながら前に出る。


『なら逆に聞きますけど、“自分がダメダメだ”って言ったのは先輩でしょ?』


『だからこそ、私たちがいるんですよ! カッコよくて強いから、じゃない。

ダサくて、心配性で、でも……見捨てられないから。』


 


『でも……』


潤が、ぽつりと呟く。


『……俺は、ユカリちゃんのとき、動けなかった……。

きっと、なんとかなるって……結局、何もできなかった……

そのせいで──みんなが……』


 


リアが、静かに前に出てくる。

その表情には、冷静と温度の両方があった。


 


『私たちは、その出来事を知りません。

でも──その時、潤がどんな想いでいたか、少しは想像できます』


『……エンリ、ノア、カエデ……彼女たちが、なぜあんなにも傷ついているのかも、きっと──』


『“誰かを救いたかった”からじゃないですか?』


『そして、その“誰か”の中には──

潤、あなたも含まれていたと思います』


 


潤は、目を見開く。


『……俺も、救われる側だった……?』


 


ミリーが、弾けるように笑う。


『あたりまえだもんっ! じゅんくんが苦しんでたら、助けたいって思うし!』


『間違っても、傷ついても、それでも──一緒にいられたら、幸せって思える。』


 


──その時。


風が、街角を吹き抜ける。

静寂の中──ビルの影から、3つの影が現れる。


 


『……ごめんな、潤くん』


カエデだった。


『ずっとウチらが“背負わせてた”んや……』


 


『私達は、あのとき……動けませんでした』


エンリが俯きながらも、確かな足取りで近づく。


『あの選択が、正しかったかは今でも分かりません……でも──』


 


『これからは、違います』


ノアが潤のすぐ傍まで歩み寄り、その手をそっと取る。


『潤様──あなたがどんな道を進もうとも……

私は、必ず隣におります。

孤独にはさせません』


 


潤が、驚いたように全員を見る。


 


『……お前ら……』


 


リアが前に出て、真っ直ぐに潤を見上げる。


『見えませんか、潤? あなたは、もう“ひとり”ではありません』


『あなたが“力”を持っているから、私たちがついてくるんじゃない。

“あなた”だから──ついていきたいんです』


 


沈黙が落ちる。


けれどその沈黙は、今までのように重苦しくない。


──温かい、決意の静けさだった。


 


潤の唇が、ほんのわずかに震える。


そして──ようやく。


 


『……ありがとう』


 


その言葉が、かすかに夜の風に溶けた。



あとがき『重要なご相談』



作者『え〜今回は、ちょっとだけ真面目なご相談です!』


潤『おっ、珍しく真面目モードだな?』


作者『現在、才能奪取は【1日2話更新】を続けてますが……

読たん的には「追うの大変かも?」って気になってまして。』


潤『俺らは勢いで走ってるけど、読たんには他にも読む作品あるしな。』


作者『なので──ちょっとしたアンケート代わりに、

この話に【リアクション】や【感想】をもらえたら、

“2話更新でも楽しみにしてくれてる”って受け取って続けます!』


潤『逆に、反応が無いようなら1話ずつに切り替えて、

ゆっくり読みやすくしようかなって思ってるらしい。』


作者『形式は問いません!バットでもグットでも!

どんな反応でも励みになりますし、判断の材料になります!』


潤『いつも読んでくれてるだけで嬉しいけど……

よかったら、ちょこっとでも応えてくれると作者が跳ねて喜びます。』


作者『本当です。跳ねます。バインバインします。』


潤『……急にふざけるなよ』



※この話に一つでもリアクションが付きましたら毎日2話を続けて参ります

最新を追って下さってる猛者たんに委ねますので8月3日まで様子見致します


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