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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
238/262

第212話『俺、誰かの役に立てるなら』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)


──夜の交差点。


冷えたアスファルトに足音が響く中、

リアは指定した待ち合わせ場所で、静かに腕時計を見ていた。


時刻は、約束の5分前。


 


「……さて、今日の潤の行動ルートに合わせれば、出発はあと十数分……」


 


メガネ越しにスマホの地図と潤の出勤ログを確認しながら、

リアは淡々と計画の確認を進めていた。


 


「問題は──この作戦の“実行者”たちの、質ですね……」


 


その瞬間だった。


 


「──っしゃああああああああっ!! 張り込み開始ィィィ!!」


「突入ですぅぅぅぅぅ!!」


 


リアが顔を上げると、交差点の向こうからダッシュで現れた二人の姿が──


 


ひとりは、サングラスにスーツ姿で腰に偽物のIDカードをぶら下げたユズハ。


もうひとりは、何故か「FBI」と書かれたキャップとオモチャのトランシーバーを持ったミリー。


 


夜の街に浮かぶ明らかな“ごっこ遊び”の気配。


 


リアはその場で、静かに息を吐いた。


 


「……やはり、嫌な予感は当たるのですね」


 


「リアちゃん、待たせました〜!」

「特殊捜査チーム、到着ですっ!」


 


ユズハがバシッと敬礼ポーズを決める。

その横でミリーは目をキラッキラさせながら、無線機に「ターゲットはまだ移動していません〜」と小声で言っている。


 


「……それは何の役に立つつもりなんですか?」


 


「え? 雰囲気ですよ? やっぱ“張り込み”って言ったら、刑事ドラマのノリで行かないと!」


「です!」


 


ふたりのサングラスが、同時にキラリと反射した。


リアは頭を押さえるようにしながら、溜め息を一つ。


 


「……もう一度確認します。

今回の目的は“雰囲気を出す”ことではなく、“潤の行動を監視し、異常の有無を確認する”ことです」


 


「わかってますってぇ〜。でもでも、ちょっと緊張もほぐれるじゃないですか?」


「じゅんくんの後をつけるの、なんかどきどきするし……!」


 


リアが静かに地面を見つめたあと、目線を戻す。


 


「……あなた達に本格的な尾行行動を期待した私が悪いのでしょうね」


 


「えへへ♪ バレてました?」


 


「最初からです」

「ですぅ!」


 


──かくして、“絶妙に使えない尾行チーム”が揃った夜。



すでに不穏な空気しか漂っていなかった。


 


だが、その不穏さは──


開始2分で爆発した。


 


「確認っ! ターゲット、南口ロータリーより歩行開始ですっ!」


リアが通信用イヤホンを指先で押さえながら、声を落として報告する。


「各自、5メートル間隔を維持して接近。目線を合わせず、自然に──」


 


「は〜い、了解です先輩っ!」


「りょーかいでーす♡」


 


──その返事からして、すでに信用ならない。


 


リアはサイドから巻き込む形で距離を詰め、

遠巻きにフードを被った潤の背中を捕捉する。


 


その後方──


 


「……先輩、見えた見えた♪」


ユズハが物陰から顔を出しながら、小声で笑う。


「さあ、張り込みドラマ第2話、開幕ですねぇ〜……」


 


「ねえユズハちゃん、今から“あのセリフ”やってもいい?」


ミリーがワクワクした顔で近づいてくる。


「尾行っぽいやつ! ほら、“泳がせるか……”ってやつ〜!」


 


「ふふっ、いいですよ。じゃ、私が刑事Aやるんで、ミリーちゃんは情報屋ってことで」


 


「情報屋!?」


 


──ゴソッ。


物陰からふたりが同時に顔を出す。


 


「……泳がせるか」


「シロっぽい顔してたけど、目が泳いでました〜」


 


──背後にいたリアのこめかみに青筋が浮かんだ。


 


「……出すな顔を」


 


『はっ!?』

『あっ!?』


慌てて飛びのく2人。だがその直後──


 


「ん?」


ミリーが何かに気づいたように指をさす。


「あれ? あの人の方が怪しくない?」


 


見ると、潤とはまったく関係ない中年男性が、スマホを胸ポケットに忍ばせて周囲を見渡している。


 


「……盗撮っぽい?」


ユズハも覗き込む。


「てことは、“ターゲット変更”ですね!」


 


「ダメです」リアが即座に制止する。


 


「でもあの人の方が悪そうだったよ〜?」

「ですよね〜? ですよね〜?」


 


「“張り込み対象は潤”だと3回説明したはずですけど?」


「ふぇ〜〜〜〜〜〜……」


 


──3人の列が再構成される。


再び潤を尾行──しようとした、ちょうどその時だった。


 


「……ふーっ」


 


「……っっ!!」


リアの肩が、ビクッと跳ねる。


 


「……今、耳に“ふー”ってしました?」


「してません〜〜〜♡」

(※完全に満面の笑み)


「してました〜〜〜♡」

(※バレたのに悪びれてない)


 


「…………」


リアは一度、イヤホンを外して、無言で空を見上げた。


「……もう、全員別行動でいいですか?」


 


「だめ〜! チームプレー! チームプレーだよぉ〜!」

「私たち、“尾行アイドルユニット”じゃないですか〜!」


「そんなユニット存在しませんし、今からも作らないでください」


 


──そのやり取りの横で、ふと見ると潤の姿がない。


リアが冷静に視線を走らせると──50メートル先で、すでに次の角を曲がろうとしていた。


 


「しまった……!」


 


「いけない! 潤くん逃げちゃうっ!」


「先輩ぇ〜〜〜待ってくださいよぉ〜〜〜っ!」


 


──追跡ミッション、再開。

だがこの夜、“追う側”がこんなにもてんやわんやだとは──

追われる側の潤もきっと、想像していないだろう。



──尾行再開から数分後。


潤は大通りを外れ、わざわざ裏路地に足を踏み入れていった。


 


「ちょ……じゅんくん、なんでそっち!?」

「雰囲気からして絶対ヤバいやつじゃんあれ〜〜!?」


 


ユズハとミリーが、物陰から顔を出して目を丸くする。


その先には、明らかに悪目立ちする5〜6人のヤンキー集団。

金髪にジャージ、酒缶片手にコンビニ前で騒いでいる。


そのど真ん中に、潤が、迷いなく突っ込んで行った。


 


「──やばい! あれ絶対絡まれるやつぅぅぅぅ!!」


「逃げて〜じゅんくんっっ!!」


 


──けれど潤は、逃げない。

というか、むしろ“話しかけてすらいない”。


その姿は、まるで──“獣の群れに自分から踏み込む処刑人”。


 


「なんだテメェ……」

「なぁおい、マジで見たか今……ぶつかってきといて無視だぜ?」


「“フード”だぞフード! こういうやつってなぁ、ノリでブン殴ればだいたい土下座すんだよ!」


 


──グキィッ!!


 


金髪ヤンキーが缶を放り捨て、腕を振り上げた、その瞬間。


 


──バキン。


 


音の方が速かった。


潤が一歩も動かず、腕だけでヤンキーの拳を“巻き取るように”流し──

そのまま、ありえない関節の角度で相手を地面に叩きつけていた。


 


「ぐえぇっ!?」


 


「お、おいっ!? な、なんだ今の……?」


「はっ、はぇえっ……ちょ、こいつ──なんだよっ……!」


 


続く仲間が一斉に襲いかかろうとするが──


 


潤は一言も発さず、ただ“動きだけ”でそれを無力化していく。


──踵を軸に身体を回しながら、

──肘と手首の返しだけで武器を捌き、

──時には膝で相手の腹を突いて“力を抜かせる”。


 


その動きは……かっこよくて……でも……


 


「……なにあれ、なんか……」


「うん……キモい……」

「武術……っていうより……なんか……ねじり?」


 


物陰でユズハとミリーが絶句していた。


 


──そして、全員が倒れ伏したあと。


潤は、倒れて呻くリーダー格のヤンキーにゆっくりしゃがみ込む。


 


フードの影から、冷たい目だけが覗く。


 


「……このままにしといてもいいけど」


 


「次は、俺じゃ済まないぞ」


 


「──自首しろ。今日のうちにな」


 


「……っひ、は……はいっ……!!」


 


ヤンキーはガタガタと震えながら、仲間を引きずって逃げ去っていく。

逃げるでもなく、捨て台詞でもなく──完全に“敗北した獣”の目だった。


 


潤は立ち上がる。


その顔には、達成感も勝利もなかった。


あったのは──


 


“責任”と、“罰”。


 


誰も見ていないはずの路地裏で、

誰にも気づかれないまま、

潤はただ「誰かを守った代わりに」また一つ、自分を削ったような顔をしていた。


 


──だが、見ている者がいた。


ユズハ、ミリー、リア。


 


その3人が、静かに歩み出す。


 


「……先輩」


 


ユズハが呼びかける声は、いつもの軽さがなかった。


 


「じゅんくん……っ!」


ミリーが走る。何かを伝えたくて、けれど何から話せばいいか分からなくて。


 


リアは無言で歩き出す。

そして言葉を探しながら、静かに──潤の背中に近づいていく。


 


──止めなきゃいけない。

──この人は、きっともう、自分を止められないから。




【あとがき小話】 


作者「ダークサイドじゅぅぅぅん……」


潤「いじんな……しばくぞ?」


 


作者「仲間だね?暗黒面が呼んでるよ……シュコー……シューコー……」


潤「やめろ!一緒にすんなや!その呼吸音やめろ!ダースベイダーか!!」


 


作者「でもさ、フォースあったらさ……テレビのリモコンとか、飲み物とか、こう……ヒュッて取れるよね?」


潤「使い方雑!!」


 


作者「やっぱりダースベイダーも、“もう動きたくない”ってときは、フォースで“ヒュッ”ってやってるのかな?」


潤「やめろぉぉぉ!銀河の威厳が溶けるぅぅぅ!」


 


作者「スターウォーズ見ながら、“あ、今絶対めんどくさかったんだな”とか思っちゃうじゃん?」


潤「そういう目で見るなよ!?やめろ、崇高なサイファイのイメージ崩壊するから!!」


 


作者「つまり、フォースとは──“横着の力”。」


潤「やめろおおおおおぉぉぉ!!!」


 


──闇に堕ちたのは、作者の思考だった。

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