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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
235/262

第210話『俺、ヒーローじゃないって言っただろ?』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)



「お疲れ様〜!」


「おつかれさま〜じゅんくん! 今日ね、みんなでご飯行かない?」


にこにこ笑顔でミリーが俺の背中に飛びついてくる。


「みんな誘っていこーよー! ねっねっ!」


 


「……また今度な」


 


「えぇ〜〜〜〜っ……?」


 


申し訳ないとは思う。でも──

今の俺には、“やらなきゃいけないこと”がある。


 


しょぼーんとするミリーの手を、そっと振りほどく。

俺はそのまま自宅に戻り、玄関で静かに深呼吸する。


 


──パーカー。

──マスク。

──手袋。

──そしてフードを深くかぶる。


 


俺はもう、ヒーローじゃない。


だから──この姿で十分だ。


 


 


──夜の街。



フードを深くかぶったまま、俺はゆっくり歩く。


通行人の顔は見ない。会話も、ネオンも、何も興味はない。

ただ──


俺の目には“ウィンドウ”だけが浮かんでいた。


 


【奪取対象:松葉 和樹】

悪事:現在進行中(詳細不明)

→ 才能奪取条件未達成

→ スキル奪取不可


 


……いつものことだ。


最近は、こればっかだ。


何をやったのかは、わからない。

けど──“悪事をしてる”ってだけで、十分。


 


目の前のサラリーマン風の男が、不審そうに俺を見た。


「……なんですか?」


 


俺は、ゆっくりと歩み寄る。


「何してんだ」


「は?」


「悪事だよ。何した?」


「な、何もしてませんけど……っ!?」


 


俺は男の胸ぐらを掴む。


「ウィンドウが言ってんだよ。“お前は悪人だ”ってな」


「え、ちょっ……待ってください、俺、本当に何も──」


 


バキン。


壁に男を押し付け、拳がすぐ横を砕く。

声にならない悲鳴。男の顔色が真っ青に染まる。


 


「今すぐ自首しろ。黙って罪を洗って来い」


「で、でも……っ!」


「何したかなんて、俺は知らない。

でも、お前がやったことは──お前自身が一番わかってんだろ?」


 


男が震える。顔面蒼白で、崩れるようにしゃがみ込む。


 


「そ、そんなつもりじゃなかったんだ……っ」


「じゃあ、“やった”んだな」


 


「ひっ、すみません、すみませんすみません……!」


男は半狂乱で立ち上がり、よろけながら夜の街へ走り去っていく。


 


 


──俺の拳が震えている。


 


わかってる。

これが正しいなんて、思ってない。


だけど──


 


“やらなきゃ誰も止めねぇ”


 


法じゃ届かない奴がいる。

スキルじゃ足りないこともある。


だったら──俺がやるしかない。


 


「……次、いくか」


 


ウィンドウに、また別の名前が表示された。

でも俺は──その“名前だけの何者か”を、追って夜を歩く。


 


誰が何をしたかなんて、もうどうでもいい。


 


“悪”がそこにあるなら──

俺は、叩き潰す。


それだけだ。




────────────


──────


ジュー……


鉄板の上でお好み焼きが音を立てる。

ソースの匂いが漂う中、3人の箸が一瞬止まった。


 


ユズハがヘラでじわじわとお好み焼きを押しながら、ぽつり。


「……最近、ノリ悪くないですかぁ?」


 


「わかる〜。じゅんくん誘ったのに来なかったし〜」

ミリーがぷーっと頬を膨らませて、隣の席に視線を送る。


 


リアは黙ってお好み焼きを切り分け、一番大きい部分を迷わず自分の皿へ。


「ノアはスケジュールが埋まってるのはわかります。

エンリも何かの対応中でしょう。

ただ──お好み焼きにカエデが飛びつかない時点で、異常事態です」


 


「うちもそれ思ったー!」

ミリーは手を叩く。


「カエデちゃんって“粉もん=戦”みたいなとこあるのに〜!」


 


「ねぇねぇ、最近みんなちょっと他人行儀っていうか〜」

ユズハが小声で続ける。


「なんか一線引いてない? 話すけど踏み込まない感じ……」


 


「うん〜表向きは元気だけど〜、奥の方が暗いの〜」

ミリーはお好み焼きの具をつつきながら眉を寄せる。


 


リアは箸を止めたまま、じっと鉄板の焦げを見つめる。


「潤の言動も変です。最近、こちらの目を見て話しません」


 


「え、それ致命的じゃん……」

ユズハがリアの皿からちょろっとソースのしみた一切れをつまんでぱくっ。


「ねぇ、まさかとは思うけど──“隠し事”してるとか?」


 


「してるよ、絶対」

ミリーが断言する。


「最近のニュース、タイミング合いすぎだもん」


 


「“自首事件”ですか」

リアが頷く。


「軽犯罪者が次々に震えながら警察に出頭してくる。

しかも動機は不明。“何かに怯えている”という証言だけ──」


 


「しかもその“何か”が、毎晩出没してるんだよねぇ?」

ユズハは鉄板の端を指差すようにして続ける。


「じゅんくんが“用事ある”って言うのも、必ず夜なんだよ〜?」


 


「でも潤くん、怖い人じゃないよ〜?」

ミリーが不安そうに言う。


「誰かを傷つけるような人じゃないの。

けど、最近ちょっとだけ……顔が怖い時ある」


 


リアはしばし黙り込んだ後、箸を置いた。


「だからこそ、確認が必要です。

あの人がどこで、誰と、何をしているのか──」


 


「張り込み?」

ユズハが身を乗り出す。


 


「尾行だね〜」

ミリーも続く。


 


「調査です」

リアは静かに断言した。


 


ユズハがいたずらっぽく笑って立ち上がる。


「なら明日、決行しちゃいますぅ? 名探偵ユズハちゃんの腕が鳴るぅ〜!」


 


「私、カメラ持ってく〜」

ミリーは嬉しそうに鞄を確認する。


 


リアはスケジュールアプリを開きながら、表情を変えずに呟く。


「では、0時集合。現場は──潤のアパート周辺で」


 


──この夜、

お好み焼きの鉄板の上で決まったのは、ひとつの追跡計画だった。








【あとがき小話】


作者『ねぇ〜エンリ〜俺にさ、癒しの極意教えて〜!ガチで教えて〜!枯れかけてるから〜!』


エンリ『ふふ、それは大変ですね。癒しの極意……ですか』


潤『(あれか。どうせ「優しい笑顔」とか「温もり」とか、ぬるま湯成分全開のやつだろ……)』


エンリ『まずは、どんなに疲れていても、隣にいてあげること──』


作者『(うんうん)』


エンリ『そして、話を聞いてあげること』


潤『(まぁ王道だな)』


エンリ『最後に──“何もしていないのに偉いね”って、抱きしめてあげること、です』


作者『それだああああああああ!!』


潤『お前が一番何もしてねぇぇぇぇ!!』


カエデ『……なぁエンリちゃん?潤くんにもその癒し分けたってなぁ?最近寝落ちしてるでぇ』


エンリ『もちろんです。潤さん?おいでなさい?(ぽんぽん)』


潤『ちょっ……待て……!この流れで来られると逃げづらいっ……!!』


ノア『潤様は私が癒しますので、他の方はお控えください(腕組み密着)』


ミリー『ミリーも癒せるよ!?むしろ抱きしめられる方が好きだけど!!』


ユズハ『じゃあ私は横でASMR囁きしますね〜。先輩、今日もお疲れさまでぇす♡』


リア『私は……癒しより、潤に常識を与えたいです。まずは休憩の取り方から見直しましょう』


作者『癒しのはずが修羅場生まれてるんですけどォ!?どうして!?』


潤『(……一番癒されるのは、お前が黙ることなんじゃないか?)』

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