第204話『俺、夏の昼に癒される』
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その後も、定期的に俺たちはエンリの家に集まって──
みんなで食事をしたり、他愛もない時間を過ごすようになった。
ユカリちゃんも夏休みに入り、
昼間からカエデやノアと遊ぶ姿もすっかりおなじみだ。
そして今日も──
「エンリ〜、俺そうめん飽きた〜〜」
「前回お出ししたのは……たしか、2週間前でしたっけ?」
「家でも食ってるもん飽きたー!」
カエデがすかさず手を挙げた。
「じゃあお好み焼きやな!」
「それも飽きたー。ちなみにたこ焼きも勘弁な」
「なんやとォォ!? 粉もんは命やぞ!?」
そのとき──
横からユカリちゃんがにこーっと笑いながら、
「わたし、どっちも好きー! エンリお姉ちゃんのご飯も、カエデちゃんのご飯も、ぜーんぶ好きー!」
「ユカリちゃんはほんまええ子やわぁ〜〜♡」
カエデがそのまま抱きつき、ほっぺに頬ずりをかまし始める。
「カ、カエデちゃんくるしぃ〜よ〜〜〜」
「潤さんも、少しはユカリちゃんを見習ったらどうですか?♪」
「なんで俺だけ相対評価で怒られてんの!?」
そこにノアがキラキラしながら入室。
「さあ! 今日も武勇伝をお届けに参りました!」
「はいっ! 師匠っ!」
ピシィッ!と姿勢を正して立つユカリ。
……どうやら、弟子入りしてるらしい。
「なんかすっかり仲良くなったねぇ〜」
エンリが微笑みながらつぶやくと、
「うん! ママの次にね、エンリお姉ちゃんとカエデちゃんとノアししょーが好きー!」
「俺は!? ちょっと待ってユカリちゃん!? 俺は!?」
「じゅんおにーちゃんも、すきっ!」
「なんか今、“一応好き”って空気じゃなかった!?」
でも、そんな天使に“嫌い”って言われたら一生立ち直れない。
……一応でも好きって言ってもらえただけで、救われた気分だ。
「ところで、ユカリちゃんのママってどんな人なん?」
「ママはねぇ〜、すっごく綺麗でキラキラしてて〜、それでね、すっごく頑張り屋さんなのー!」
「ええママやな〜……ユカリちゃんはママのこと、大好きなんやな」
「うんっ!」
──その“うん”は、まっすぐで、
でもどこか──少しだけ、背伸びしたように聞こえた。
「さあ! それじゃ、お好み焼きでも──」
「それは嫌だ……」
「なんでやー! 潤く〜んっ!」
全員で笑いながら、そのままキッチンへ。
夏の昼下がりに響く笑い声。
そこにあったのは、なんてことない“幸せ”だった。
──食事を終えたあとは、みんなでアニメを観て、
ユカリちゃんは、いつの間にかソファの上で眠っていた。
「ほんま、寝顔もかわええわぁ〜……」
「ふふ……天使みたいですね」
「潤様、ここは添い寝でお昼寝など──」
「しないわ。いや……添い寝はしないけど、俺も昼寝する……」
──こうして、
騒がしくて優しい、穏やかな昼下がりが流れていった。
──目が覚めると、部屋はすっかり暗くなっていた。
「……って、うわっ!? もう19時!? やっべ寝すぎた!!」
俺は慌てて跳ね起き、スマホを見る。
完全にやらかしてた。
なんだ“ちょっとだけ昼寝するわ”って……3時間寝とるがな。
まわりを見渡せば、全員がそれぞれのポーズで熟睡中。
ユカリちゃんはソファに丸まって寝息を立て、
カエデはリビングの座布団に顔突っ込んで爆睡。
ノアは……なんかすごく静かに、仏のような顔で寝てる。
……この人たち全員どんな神経してんだ。
「おーい、みんな起きろー。ヤバい時間だぞー」
まずカエデをつつくと、
「ん……なんや潤くん……寝込みを襲うなんて……うちまだそういう覚悟できてへんで……」
「覚悟いらねぇよ!? 起きろ! 19時回ってんぞ!!」
次にノアを揺らすと、
「……潤様……このまま目覚めなければ永遠に夢の中で……」
「だから起きろって言ってんの!! 夢の中で添い寝してんじゃねぇ!!」
ようやくエンリも目を覚まし、
最後にユカリちゃんがぱちっと目を開けた。
「あれ……もう夜?」
「寝心地、悪くなかった?」
「ううん。気持ちよかった〜」
──ああもう、マジで天使。
でも現実問題──
「ってかそろそろ送らないとまずいな……エンリ、ユカリちゃんの準備頼む」
「はい。あ、でも……まだお皿洗いが残ってて……」
「私も手伝います。あの鉄板、かなり焦げついてますし」
エンリとノアが台所の方へ向かう。
「んじゃ、俺とカエデで送ってくか」
「任しとき! こんな日はウチの運転が火を吹くでぇ〜!」
「火を吹く車とか怖いんだけど!? 法律的にも物理的にも!!」
──外に出ると、空はすでに真っ暗。
しかも──
ザアアアアアアア……
「うわ……めっちゃ降ってんな」
土砂降り。しかも横殴りの風つき。
こりゃ歩きで帰るのは無理だ。車で来といて正解だった。
「ユカリちゃん、濡れないようにしてな。カエデの車、あっち」
「うんっ!」
傘を差しつつ、俺はユカリちゃんのランドセルを持って後部座席に乗せる。
「後ろ乗ってな。シートベルトちゃんとしてるかー?」
「おっけー!」
「エンリお姉ちゃんとノアししょーに、ちゃんとバイバイ言ってくるね!」
玄関でぴょこっと手を振るユカリちゃん。
2人に見送られながら、
俺とカエデ、ユカリを乗せた車がゆっくりと走り出した。
車内には、エンジン音とワイパーの音、そして──
にこにこしながら景色を眺めるユカリちゃんの、ほんの少しの鼻歌が流れていた。
【あとがき小話】
作者「本気で、俺の語尾可愛くしてみるか?」
潤「……は? お前、普段の文体もけっこうブレてんのに、さらに属性足す気?」
作者「だってさ~、親しみやすさって大事じゃん?」
潤「ずっと言ってんな、それ。なに? ヒロインでも目指してんの?」
作者「違うにょん! 作者はね、読者さんとの距離感を大切にしたいにょん!」
潤「今、背筋ゾワッてなったわ……」
作者「そんな~、冷たいにょん! もっとこう、“かわいい♡”とかないのにょん?」
潤「いやマジでその語尾、作品の評価下がるから今すぐやめろ」