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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
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第198話『私、やっぱり弱い』

ここまで読んでくれた奇特なあなた!


ブクマ・いいね・感想・★・DM・テレパシー、なんでも嬉しいです!

作者は1PVでも跳ねて喜ぶタイプなので、反応があるとガチで次の原動力になります。

どうかこのテンションのまま、応援いただけると助かります!


(いや、助けてください!!)


──都内某ホテル・高層階レストラン。

夜の帳が降り、窓の向こうには東京の街並みが滲んでいた。

しかし──マイの目に、それは映っていない。


 


「……ご馳走様でした。お料理、とても美味しかったです」


「そりゃよかった。お口に合うて、なによりや」


矢野はまるで日常の延長かのように笑っていた。

その顔に、悪意はなかった。むしろ柔らかく、飄々として──だからこそ、タチが悪い。


 


マイはワイングラスの縁をなぞる手に力を込める。

その微かな緊張が、今の自分の唯一の“意志”だった。


会社は、今もギリギリで立っている。

再審査が通らなければ、潰れる。

社員たちも、未来も、あの子(潤)との約束も──全部、意味を失う。


「──で、やけどな」


ふいにテーブルに滑り込むように差し出された、小さなカードキー。


「部屋、取ってある。あんたと、もっと深い話ができたらええなぁって思ってな」


……その瞬間、時間が止まったようだった。


心臓の音だけが、はっきりと聞こえる。

天井のシャンデリアの明かりがやけに眩しくて、顔をあげるのが遅れた。

だが──理解している。

これは、選択だ。


 


「……断ったら?」


「いやぁ、それはそれで。しゃあないけど、再審査の話は一回白紙に戻るかもなぁ。残念やけど」


優しい語り口。

でもその裏に潜むものは、はっきりと見えた。


──これは、取引じゃない。

“取引のふりをした脅迫”だ。


 


「……分かりました。私でいいなら」


小さく呟いて、カードキーを手に取る。

手のひらに当たるその冷たさが、まるで自分の“尊厳”を測る温度のようだった。


 


(……私が折れれば、それで済むなら)


(社員を守れて、あの子(潤)の会社にも迷惑をかけずに済むなら──)


(私は、それを選ぶ。社長だから)


 


──でも。

本当は怖かった。


震える手を見られないよう、無理に笑った。

口元だけの作り笑い。

それを“覚悟”だと呼ぶには、あまりに弱くて、惨めだった。


……あの子なら、どうするだろう。


……潤なら、何て言うんだろう。


 


そんなこと、考えたって意味はない。

誰も助けに来ない。

これは私の問題で、私の責任。


でも、どうしてだろう。

あの時の言葉が、頭から離れなかった。


『マイさんは、絶対に悪くない』

『俺が、何とかします』


──なんとかなるはずがない。

でも──ほんの、一ミリだけ。

ほんの、少しだけでいい。

あの子が、どこかで私のことを──


 


──“助けたい”と思ってくれていたら。


そんな自分勝手な期待が、胸の奥で息を潜めていた。


 


 


──エレベーターに乗り込む。

無機質な金属の扉が、静かに閉まっていく。


その直前。

レストランの入り口のあたりに、何か“空気の揺らぎ”のようなものを感じた。


……何?


けれど振り返る余裕はなかった。

怖くなるから。

今、立ち止まったら──後戻りできなくなるから。


 


「……行こう」


ボタンを押す指が微かに震えていた。

だがその震えを、誰も知らない。


それでいい。


──社長だから。私は、社長だから。

誰にも頼らず、責任を果たす。

そう、決めたんだから。





──たとえ、どこかで誰かにすがりたかったとしても。






──ホテル最上階。スイートルーム。


室内は静かだった。

落ち着いた照明、上質なソファ、そしてベッド。

矢野が先に足を踏み入れ、ジャケットを脱ぎながら振り返った。


「緊張せんでええよ。飲み物でも用意しよか?」


マイは小さく頷いた。

喉が渇いていたのか、それとも別の何かが渇いていたのか──もう、自分でも分からなかった。


 


ソファに座った彼の前まで、ゆっくりと歩を進める。


足音が、やけに重い。

一歩進むごとに、覚悟が削られていく気がした。


 


「……マイさん」


「はい……」


 


矢野が手を伸ばす。

マイの頬に触れるその手は、やけに優しかった。


──ああ、これは本物の地獄だ。


怒鳴ってくれた方がよかった。

暴力的なほうがまだ、対処しやすかった。


笑いながら、優しくしながら、

善意の仮面を被って、彼は“踏み込んでくる”。


 


「……いいんやな? もう、後戻りできへんで?」


 


──分かってる。

ここで拒めば、社員も、会社も、潤たちも終わる。

私が折れれば、それで済む。全部守れる。

それだけの話。


 


(……もう、やるしかない)


震える指で、スカートの裾に手をかけようとした時──


 


「……潤さん……助けて……」


 


──ぽろり、と。

口に出すつもりなどなかった言葉が、こぼれ落ちた。


「……っ……!」


涙が、止まらなかった。

顔を伏せて、膝が震える。


──でも、立たなきゃ。

泣きながらでも、やらなきゃ。

それが“社長”で、それが“責任”なんだから──!


 


 


 


──その時だった。


 


『アチョォオオオオーーーーッ!!!』


 


「……え?」


情けなく響き渡った叫び声に、マイも矢野も、頭が真っ白になった。


「……は?」


ガチャ──!!

スイートルームのドアが、無理矢理開いた。


 


「うおおおおおおおおおおッ!? ま、間に合ったぁぁぁぁぁ!!」


ずだだだだん!!

派手な足音と共に現れたのは──


 


「潤さん……!?」


 


白シャツのボタンがズレてて、髪はボサボサ、息切れMAX。

けれどその目だけは、誰よりも真っ直ぐだった。


「おい矢野!! その手ぇ、どけろ!! 今すぐッ!!」


 


矢野は立ち上がり、驚いた顔で潤を見る。


「なんやお前……部屋間違えてへん?」


「間違えてねぇよ!! お前が間違ってんだよ!! この人は……この人は、“そういうこと”で会社を守ろうとしてねぇんだよ!!!」


 


──マイの視界が、潤の背中でいっぱいになる。


その背中は、震えていた。

たぶん、怖いのだろう。自信なんてないのだろう。

でも、それでも彼は来た。

誰よりも早く、誰よりも不器用に──


 


「潤さん……来てくれたんですね……」


絞り出すようなその声に、潤は振り向かないまま、拳を握る。


「当たり前だろ……! こんなの……放っとけるわけねぇだろ……!」


 


そして、矢野に向き直った。


「──話は、あとでたっぷり聞かせてもらうからな……この外道野郎ッ!!」


 


──ここに、“社長の決意”と、“たった一人の救済者”が揃った。


嵐のような夜が、いま幕を開ける。





【あとがき小話】


作者『読たん……聞いてくれ……』




読たんは静かに頷いてるはず。

画面の前で、たぶん「はいはいまたかよ」って顔してる、そこのあなた。





作者『作者さ、スマホで執筆してるって言ったじゃん?……最近、よく顔面に落とすのよ。スマホ』




読たん(想像)『へぇ〜』

って言ってる




作者『で、思ったんだけど……これ、避けられるようになったら“進化”じゃね?』






読たん(想像)『いや知らんがな』

って言ってる




作者『……言ったな?今「知らんがな」って言ったな?』






読たん(想像)『言ってねぇよ!?』

って顔してる




作者『なんでわかるかって?』





作者『だってさ──』


 


 


 


今、





お前、後ろに居るもん


 


潤『ホラーは段階踏め!!』


作者『いやだって!最近、夜中に鼻にスマホ直撃すると“避けれたかもって”ビジョン見えるのよ!!』


潤『それ夢っていうか幻覚だよ!?スキルウィンドウ開くな!!』



【スキルウィンドウ展開】


【奪取対象:作者(被ダメ状態)】

悪事:スマホに物理でやられ続けている

スキル:記憶強化(Lv2)/直撃耐性(Lv1)/ノア感知(Lv∞)/投稿反射(Lv3)


→ イエス!


──取得スキル:【ノア感知(Lv∞)】



ノア『潤様?また他の方と楽しそうにしていませんでしたか?』


潤『なんで俺が被害者みたいな登場のされ方してんの!?』


作者『というわけで──

次回更新はスマホに顔面殴られながら頑張ります!』


潤『苦しみながら頑張らなくていいから!?』


作者『……でも正直、顔面にスマホ当たった瞬間ってさ、ちょっと気持ちよくない?』


潤『もう執筆以外のスキルが爆誕してるよ!!』



※画面の前の読たんへ

「え、ちょっと今後ろ振り返った」そこのあなた、ようこそ──才能奪取・あとがきホラー支部へ。



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