第197話『俺、やっとホテルに辿り着く』
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──スタジオ照明が切り替わる。
フロアの中央、ガラス張りのテーブルを挟んで座る四人。
司会者、そして鳴海議員の正面には──
リアとユズハ、2人の“若手ゲスト”が並んでいた。
「では本日最初のテーマはこちらです──」
司会者の声に合わせて、背景モニターに文字が映し出される。
【テーマ①:AIに規制は必要か?】
「──AIの発展は社会にとって恩恵か、それともリスクか。まずは鳴海議員、お考えをお聞かせください」
鳴海卓郎は、余裕の笑みを浮かべ、マイクの前に身を乗り出す。
「AI技術の進歩は、我が国の未来を形作る柱の一つです。
しかし同時に、技術は常に“悪用”のリスクと背中合わせ。
ゆえに、一定の制限とルール──つまり“規制”は必要不可欠だと考えています」
──整った声。穏やかで、どこか誠実さすら滲む口調。
「たとえば──個人情報の漏洩リスクや、労働市場への影響。
放置すれば、社会の弱者が最も深刻なダメージを受ける。
だからこそ、今のうちに法整備を進め、社会の“土台”を守る。私は、そう考えています」
コメント欄:
「たしかに一理あるな」
「正論っぽいけど…線引きは難しそう」
「鳴海ってやっぱり言い方うまいよな」
──順当すぎる回答に、司会も笑顔でうなずいた。
だが──
ユズハが、スッとマイクに手を添える。
「えっと〜……つまり、それって“未来のための規制”って意味ですよね?」
「そうですね。未来と、現在の安定を守るための“予防的措置”とも言えるでしょう」
「じゃあぁ……今、実際に問題になってるケースってありますかぁ?」
一瞬、鳴海の表情がぴくりと揺れた。
だが、すぐに整える。
「今すぐの危機というよりも、“未然に防ぐ”ための制度ですからね。
将来的に──たとえば生成AIによる偽情報の拡散や、社会的な混乱を防ぐ目的です」
ユズハはにこにことしながら、もう一押し。
「うふふ♡ でもぉ〜今って、既に偽情報っていっぱい拡がってるじゃないですかぁ。
それってAIのせい……じゃないものも多いですよね〜?」
「……その通り。ただ、それでもAIは加速装置になり得る。
だからこそ、我々は“責任ある技術の使い方”を考える必要があるのです」
──この時点で、完全に“言質”を取らせない構え。
ユズハは肩をすくめ、小さくウインクした。
(……この人、しぶといな〜♡)
そして──
リアが、静かにマイクを握った。
「鳴海議員。今回、議員提案として出された“生成AI事前審査制度”の法案。
これは──“AIの活用自体”を萎縮させる懸念があると、専門家の間でも問題視されています。
なぜ、今このタイミングで“その法案”を出したのですか?」
スタジオが、わずかに緊張を帯びる。
司会が視線でバランスを取ろうとするが、リアは構わず続ける。
「既にAIは社会に浸透し、医療や教育、研究でも活用されています。
それを“倫理機構の認可制”という名目で縛るのは、
結果的に“既得権益側”が技術の主導権を握るだけでは?」
「……ご指摘は理解します。しかしそれは誤解です」
鳴海の声が、落ち着いて返ってくる。
「制度の目的は“公平性の担保”であり、特定の企業や団体を優遇するものではありません。
むしろ、審査制を導入することで“透明性”を高め、不正な開発を抑制できるのです」
リアの表情は崩れない。
その横で、ユズハが小声で耳打ちする。
「ねぇ……これ、ぜーんぶ“聞こえはいいけど本音は隠してる”パターンですよね?」
「……分かっています。けれど、まだ確証が足りない」
コメント欄:
「どっちの言い分も分かるな……」
「リアって子、理路整然としててかっこいい」
「議員が綺麗にかわしてるな〜」
──均衡は、まだ崩れない。
「……ならば、制度設計の詳細を伺ってもよろしいですか?」
リアが姿勢を正し、鋭く切り込んだ。
「“AI倫理機構”という審査機関の構成メンバーは誰が選定し、
何をもって審査基準とするのか。
また、“審査に通らなければ技術を発表できない”という前提が──
“表現の自由”や“学問の自由”に抵触する可能性については、どうお考えですか?」
コメント欄:
「おっ、これはいい質問」
「たしかに審査基準は気になるな」
鳴海はわずかに眉を動かしたが、すぐに口元を緩める。
「倫理機構の構成は、各分野の有識者によって構成されます。
選定は政・官・民の三者から公平に選出され、
基準も、現時点で公開可能な範囲で既に草案が提示されています」
「“公開可能な範囲”……ですか?」
「すべての情報が未確定のままでは、かえって混乱を招く。
だからこそ、段階的に整備しつつ社会に説明責任を果たす。
拙速な公開よりも、慎重な構築が肝要です」
──言葉の一つひとつが、洗練されていた。
内容に具体性が欠けているのに、なぜか納得させられてしまう“何か”がある。
コメント欄:
「んー……まぁそれも一理あるかも」
「リアの質問は鋭いけど……まだ詰めが甘い?」
「鳴海ってやっぱり口が上手いな」
ユズハがすかさず割って入る。
「でも〜? それって実質的に“政府と繋がってる人”が審査をコントロールできるってことですよねぇ?」
「いいえ。“政府が監視する機構”ではなく、“技術が暴走しないための歯止め”です」
──ぴしゃりと切り返された。
「民間主導では市場の暴走を止められない。
かといって、国家主導では自由が損なわれる。
だからこそ、第三者機関としての“倫理機構”が必要なのです」
コメント欄:
「あ〜たしかにそれはわかる」
「正直ユズハの方が強引に見えてきた……」
「議員が大人で理性的なのが印象良いな」
ユズハは、眉をひそめた。
(……この人、完全に“演じてる”。
それなのに、コメント欄では“誠実な政治家”に見られてる……!)
その横でリアも目を伏せる。
(……論理では揺らせない。
この人は“言質を与えず、綺麗な言葉”で包み続ける)
場の空気が、完全に鳴海に傾いていく。
コメント欄には“議員の冷静さ”を称える言葉が目立ち始め、
逆にリアとユズハには「ちょっと強引すぎる」という評価がちらほら──
「……ですが」
リアの声が、再び場を引き締めた。
「その制度の“透明性”と“中立性”が担保されていない限り──
私たちが納得することはできません」
「……ご意見として、真摯に受け止めましょう」
──静かに、しかし一歩も譲らない鳴海の姿勢。
そして──
コメント欄:
「……どっちも間違ってないけど、議員の方が冷静で信頼感ある」
「若者も頑張ってるけど、ちょっと尖りすぎな感じするな〜」
「鳴海さん、やっぱ政治家として一枚上手って感じ」
──空気が、決定的に変わり始めていた。
──そして、スタジオの空気が鳴海寄りに傾いていく頃。
潤は、ホテルの正面玄関に滑り込んでいた。
タクシーの扉を押し開け、足早にロビーへと向かう。
(……時間的には、まだディナー中のはずだ)
目指すはホテル内にある唯一の高級レストラン。
──だが、入口前に立った潤が見たのは、静まり返った店内と、
席に残されたワイングラスだけだった。
「……もう、いない……」
視線を彷徨わせる。
けれど──マイも、矢野も、その姿を消していた。
(まずい、急がないと──)
──運命の“分岐点”は、すでに動き始めていた。
作者『さっきさ、朝の投稿読み返したら……
まるでまた深海潜る雰囲気出てたな』
潤『潜るんちゃうんかーーい』
作者『いや、自分で始めといてアレだけど……
なろうの前書き作者日記……ネタないのよ……』
潤『出た本音……』
作者『ちょびっと執筆のモチベ上がってるのもあって、そっちに専念したいなってのもあるし』
潤『モチベ下がったら前書きやるんかーい』
作者『違うわ! 断じて違う!!』
潤『はいはい。じゃあ今日、何があったんよ?』
作者『………………冷やし中華食べた』
潤『それはもう、“何も起きてない日”に正式認定です』
作者『いやでもさ!?
冷やし中華って、食べるたびに「夏が来たな…」って思うじゃん!?』
潤『うん、思う。で?』
作者『それだけ。』
潤『弱ぇぇぇぇぇぇえ!!!』
作者『でも冷やし中華食べると……文章も冷やしがちになるよね……』
潤『なにその納豆みたいな後味の締め!?』
作者『……冷やし中華はじめました(ネタは終わりました)』
潤『だから黙って執筆戻れ!!』