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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
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第196話『俺、私鉄で移動中』

ちょこっとだけ、作者日記をおやすみします。


理由は──

本気で、自作と向き合いたくなったから。


ちょっとだけ静かになるけど、心配しないでね。

次に戻ってくるときは、きっと――

「今までと違う何か」を連れてくるから。


……だから、もう少しだけ待っててください。




─都内某所・AI倫理機構本部ビル前(夜)──


ビルの窓には、ところどころ照明が残っていたが、全体的には重厚で無機質な静けさが支配していた。

その建物の裏手、フェンスの隙間に小さな影が2つ──。


「ひぃぃぃ……やっぱり怖いですぅ……こ、これ絶対映画で最初にやられるタイプの展開ですぅ……!」


「大丈夫大丈夫っ♪ ミリーがついてるから問題なーしっ☆」


「そういうテンションが一番危ないんですぅぅ……!」


泣きそうな声で訴えるイヨに、ミリーはノリノリでウインクを飛ばす。

が、夜風に揺れるフェンスの金属音が、彼女のテンションだけを妙に浮かせた。


──パトロールルート、センサー配置、監視カメラの死角。全部、昼間のノイズデータで把握済み。


「……ってことで! 今っ☆ 右側の非常口へGO!」


「うわぁぁあ……ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!!」


ミリーは音もなくフェンスを跳ね越え、イヨの手を引っ張るようにして侵入。

イヨは涙目でついて行くが、心臓はすでに臨界寸前だった。


──施設内部・B2保管階層──


警備員の足音が近づく。


「ミ、ミリーさんっ!? だ、誰か来て……ひゃああっ!!」


「しーっ☆ ほら、今だけミリーが影になってあげるねっ♪」


ひょいっとイヨの前に立ち、ミリーは自分の体で彼女を影に隠すように覆う。

まるで踊るような姿勢で、警備員の動きに合わせて微調整しながら身を低くする。


「どこの……パルクール女子ですかぁ……うぅぅ……」


「ふふふっ、イヨちゃん可愛いっ♡」


影の中で、イヨの頬が真っ赤になった。


──セキュリティルーム目前──


「で、でも……ほんとに……いけるんですか? ここ、レベル4ですよ?」


「うん、でもここのパスコードはね……ふふっ、さっき拾ったIDカードのおかげで解けちゃったの!」


「ひ、拾ったって……どこで……!? うわああああ!!!」


IDカードをスキャンすると、電子音と共にロックが外れる。


ドアの向こうに広がるのは、無数のディスプレイとストレージ機器が連なる真っ白な制御室だった。


「……よし、じゃあ、ミリーはこっちのメイン端末を。イヨちゃんは予備電源の確保お願いね♪」


「ふぁっ!? ちょっ……私にもできることが……あったぁぁ!!」


──夜のビルに、ふたつの影が散っていく。


この“潜入”が、彼女たちの役割であり──


この先の作戦成功を、左右する一手だった。



──────



──AI倫理機構・地下サーバールーム付近


「……完了、なのっ!」


ミリーがUSBキーを抜き、小さくガッツポーズを取ったそのときだった。


廊下の向こう、無線の交信音が鳴る。


「……警備班、今フロアのログに異常。データ室周辺を再確認──」


(っ……ばれた!?)


すぐにドアの外へ視線を送る。


巡回の足音が近づく──!


ミリーは慌てて非常口の前に身を隠すが、そこからは物理的に出られない。

彼女の髪飾り型通信機がノイズを帯びながらかすかに光った。


「イヨ……やばい、なの……動けない……」


通信は届いていた。


しかし──返事は、ない。


数秒の沈黙。


(やっぱり……わたしが先に捕まっちゃうのかな、なの……)


そのとき──


──パシュンッ


小さな空気の弾けるような音。


廊下の奥にある非常用の配線盤が、唐突にバチバチと火花を散らす。


「うわっ、漏電か!? ちょっと待て、確認するぞ!」


警備員たちがそちらに気を取られ、姿勢を崩す。


直後──

サーバールームの裏手通路に繋がる隠し搬入通路が、ひっそりと開いていた。


「──ミリー、今。出て」


イヨの小さな声が、背後から届いた。


「い、イヨ!? えっ、今どこに──」


「見られてない。走って」


──そしてふたりは、狭い裏通路を駆け抜ける。


機器の陰に隠れながら、反射板と小型ジャマーを次々に置いていくイヨ。

気配も音も──自分の存在そのものも、まるで風のように隠す。


やがて最後のセキュリティゲート。


「出口はあっち。でも巡回、もう戻ってくる」


「どうするの、なの……!?」


イヨは少しだけ考えて、ミリーを見た。


「……目を閉じて。三秒で、通す」


「え? な、なのっ?」


──カチン。

指先で小型起爆装置を起動。配線の奥、旧設備の電源系統に設置した極小EMPが作動。


一瞬だけ──

建物全体が「深呼吸したような」静寂に包まれる。


照明が数秒間、フッと落ちた。


その“空白”の中で、ふたりは廊下を駆け抜ける。

足音すら吸い込まれるような沈黙の中──。


──

──


数十秒後。


屋外の非常階段を降り、ふたりは小さなタクシーが待つ裏路地へと滑り込んだ。


「…………イヨ、すご……なの……」


「うん……でも、ちょっと怖かった」


初めてイヨが、ほんの少しだけ肩で息をした。


けれど、その顔には──


わずかな達成感と、ミリーを無事に帰せた安堵の微笑みが浮かんでいた。







✦ あとがき小話 ✦


潤『最近さ……作者の気配、ちょっと薄くない?』


ユズハ『あー、それね。あの人、今“修行モード”入ってるらしいですよ~』


ミリー『うぅ〜さみしいの〜! でも作者が書いてくれるって信じて……ミリー、踊るっ!』


リア『無意味です。踊っても原稿は進みません。作者が“本気”で潜ると言ったのなら……』


エンリ『……きっと戻ってくる頃には、もっと深くて優しい物語を連れてくるはずです』


ノア『潤様、作者様はおそらく──“私たちがもっと輝ける舞台”を用意してくださっているのです。だから……少しだけ、我慢しましょう』


カエデ『せやけど、ウチは寂しいから毎晩寝る前に作者に念送っとくで。びびらんといてな♡』


潤『こえーよ! 念とかやめろ!』


──そんなわけで、作者はしばらく“篭りモード”に入ります。

次に現れる時、きっと何かが変わってる。変えてやる。

だから──もうちょっとだけ、待っててくれ。


 


\次回予告/

【作者、静かに爆誕準備中】


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