第194話『俺、遂に作戦開始!』
書くと言う事を……少し考えてみよう……
書くという行為はつまり宇宙創成であり、我々が白紙に向かうたびにそこには無限の可能性が広がっていて、それはまるで何もなかった場所に突然「ここに世界を創ろう」と決意する神の一筆、つまりそれは初めてポテトにタルタルソースをかけて食べたあの瞬間、えっこれってマヨネーズの親戚?酸味の向こうにある幸福?これが文明か?という衝撃に近く、タルタルとはもはや具現化された可能性の塊であり、その汎用性たるやエビにもチキンにもポテトにも寄り添うその懐の深さに涙を禁じ得ず、そして我々が語尾ににゃんをつけるとき、そこにもまた一種の調味料的役割が生じていて、ただの「おはよう」も「おはようにゃん」となることで柔らかさと破壊力と猫耳が生まれ、あまつさえ「行ってきますにゃん」「ちょっと席外しますにゃん」「原稿間に合いませんにゃん」が成立する時点でこれはもう言語革命であり、もし古代ギリシャににゃん語があれば哲学者たちはパルテノン神殿で「愛とはにゃんである」と語り、「真理はにゃんの中にある」と彫刻していたに違いなく、つまりにゃんとは魂の調味料であり、書くという行為において文末ににゃんを添えることはもはや神の余白に祈りを刻むが如き所作であり──────
結論:全人類は語尾ににゃんを添えるべきにゃん。
──土曜日、午前十一時。
悪徳リクルートエージェント社・作戦室。
「いよいよだな……」
潤の言葉に、静まり返った部屋の空気がピリつく。
ヒロインズが各々の装備を整え、緊張感と……少しの“変な気配”を纏って集結していた。
「準備万端、ですね」
リアはスーツ姿で腕を組み、ノートPCを開いたまま座している。
一方で──
「えへへっ、じゅんくん見て〜! 潜入仕様のメイド服ッ♪」
ミリーは“潜入班”とは思えぬテンションでくるくると回っていた。
──袖に盗聴器、スカートの裏にWi-Fiルーター、そしてハート型GPSタグ。
「やべぇよ……もうすでに情報戦のハッキング拠点みたいな格好だよ……」
「先輩、落ち着いて? これは“私たちの大勝負”なんですよ?」
ユズハは番組用に完璧なセットアップ。いつもより色っぽく決めた衣装とポニテで──
「“清楚風インフルエンサー代表”」を演じる構えらしい。
「ふふ……あとは、私たちのタイミングを揃えるだけです」
エンリは陽動担当として、ノアと並び立つ。
そしてその横には──
「潤様っ♡ 潤様人形の準備も万端ですっ」
「おい待て。お前、まだそれ言ってんのか」
「ご安心ください。髪の分け目・首筋のシワ・肩幅・靴底の擦れ方まで完璧に再現しております!」
「いや誰だよ!?そんな細かい再現求めたヤツ!?」
「大丈夫大丈夫、見た目が本人なら、レグルスなんて顔しか見ないっすよ」
どこからともなく現れたのは、顔にタピオカのフィルターを被せた──松久先輩(応援参加)。
「お前はまたなんで居るんだよ!?」
「……なんか面白そうだったから。あとバスの空気読み担当っす」
「役割ゆるっ!? てかそんな役あんのかよ!?」
「……おしゃべりはそこまでです」
静かに、しかし確実なタイミングでリアが立ち上がった。
「作戦を確認します。これは“分断”と“同時展開”が鍵です。少しでもタイミングがズレれば、すべては水の泡」
リアが持つpcには──
・矢野の滞在先ホテル(潜入ターゲット)
・討論番組収録スタジオ(リア・ユズハ担当)
・観光バスのルート(ノア・エンリの陽動)
の三拠点が接続されている。
「我々は今、この“同時多発型作戦”に挑むのです──」
「って言ってるけど、普通に考えて無理あるよね!?ねぇ!?」
「じゅんくん、深呼吸ー!吸ってー、はいてー♪」
「先輩、暴れても無駄ですよ? もう運命の歯車は回ってるんですからぁ♡」
「それ絶対わざとだろ!?誰か俺の味方いないのかよ!?」
「うふふ……私が居ますよ、潤様。私と潤様人形、どちらがお好みですか?」
「質問のクセが強いなおい!!!」
──こうして、作戦当日。
奇妙な一体感とカオスな空気に包まれながら、悪徳リクルートエージェント社史上、最も繊細かつ大胆な作戦が──始まろうとしていた。
まずは
エンリ、ノア、久松先輩、そして潤人形(※バスの席に鎮座)を乗せた会社保有のボロい送迎バスが、エンジン音をうならせて出発した。
──陽動部隊、始動。
同時刻、ビルの屋上で双眼鏡を構えていた社員から、カエデのイヤホンに連絡が入る。
「うし! 不審車、食いついたで! ほんま、予告通りどんぴしゃや!」
「陽動は成功やな……! さすがウチの分析眼♡」
──まずは第一段階、突破。
次に俺が声をかけた。
「じゃ、作戦通り。カエデは全体の連絡役。
イヨ、ミリー、俺は倫理機構に潜入して“例のデータ”の削除。
リアとユズハは、撮影現場に直接向かって──」
「はいはーいっ♪ ユズハちゃん、華麗に出陣しちゃいますよぉ〜♡」
「……相方がユズハというのは正直、悪夢に近いですが……善処します。
潤も、あなたなりの方法で気をつけてください」
──リアとユズハ、現場へ移動開始。
そして──
「じゃあ、行こか! 出発や!」
「ふぇぇぇ……が、がんばりますぅ〜……」
「だいじょーぶっ! イヨちゃんに何かあったら、ミリーがズバババーンと!しちゃうから!」
「え、え、え? ミリー?何も起きないように頑張ろうね!? ね!?」
「おっしゃー! 任務開始やでっ! ウチは後方支援、抜かりなくやったる!」
──カエデが元気よく送り出そうとした、その時だった。
ガッ!
ビルの玄関口に、ヒールを鳴らしながら駆け込んできたのは──
「はぁっ、はぁっ……っ! た、助けてください……!
マイさんが……矢野と、2人で……ホテルに──!!」
──秘書・浅川だった。
──その瞬間、場の空気が一気に張り詰めた。
「えっ!?どゆこと?!」
俺は浅川に尋ねる
浅川は肩で息をしながら、震える声で続けた。
「マイさん……再審査のお願いに、今晩……矢野と食事って……でも私、危ないからやめた方がいいって言ったんです……! でも社長は……“責任を取るわ”って……なんか、心に決めてる表情が……!」
(……繋がった。
倫理機構のデータ再審査……
矢野のホテル予約……
そして──マイの食事の予定)
「……あの……エロダヌキ!!
イヨ!ミリー!そっちは頼んだ!」
俺は矢野のいるホテルへと駆け出す
あとがき小話
作者『作者が文字と触れ合うキッカケは!』
潤『唐突に始まったな』
作者『メモリーズオフそれからです!』
潤『無視かよ!? ていうか知名度ギリギリすぎない!?』
作者『いや割とガチでそれまで“文字読むとか面白いの?”って感じだったし……今の世にこそお手軽なギャルゲーが流行れば、そこから小説へ──なんて導線も作れるのではと!』
潤『それお前の“厨二開眼地点”の話じゃん。もうちょい一般性をだな……』
作者『でも!あの甘酸っぱい選択肢地獄と、クリックするたびに迫る破滅エンド!からの感動回収!』
潤『うるせぇわ!何回バッドエンド踏み抜いたか知らねぇけどテンション高ぇよ!!』
作者『ギャルゲー=純文学理論、ここに確立されたな。』
潤『してねぇよ!!あと今の子たち“恋愛ゲーム”知らねぇから!!』
作者『いやほんと、ああいうので感情動かされた経験ある人は、小説の奥行きも飲み込み早い気がする』
潤『まぁ確かに、アニメ→ラノベ→なろう→一次創作って人もいるし、入り口なんて何でもいいってのは納得だな』
作者『だから!全人類一度はギャルゲーをやれ!今すぐやれ!』
潤『急に宗教みたいになんのやめろ!!』
──ということで、
皆さんの“文字との最初の出会い”も、よければ教えてください!
意外な作品に導かれて、
いまこうして物語の海にいる人──
あなたの一歩も、きっと何かの物語だったはずです。