第193話『俺、実寸人形作られてるんだけど?!』
作者『更新遅れてさーせんしたぁぁぁぁ!!』
潤『多分みんな……「お?また深海か?」ってなったぞ?』
作者『今日はガチ目に忙しくて……なかなか時間を取れなかった……』
潤『頑張れ!』
作者『おっ……暖かい……』
潤『血反吐をはくまでなぁ!?』
作者『このおにがぁぁぁぁ!!』
潤『あと……背中にバニー服の気配あるから気をつけろ。』
作者『:(;゛゜'ω゜'):』
「んで?つまりどういう事だよ?」
仮眠をとって頭が冴えたタイミングで、俺は改めて尋ねた。
「つまりどゆこと……ですか?」
隣でリアが同じようにオウム返ししながら、深くため息をつく。
「……つまり、レグルスホールディングスが新たにAI開発部門を立ち上げようとしているのです。そのために、自分たちの手駒である議員を使って法案を通し、市場の独占と技術流出の遮断を狙ってます」
「おいおい、レグルスってまたかよ……」
俺は思わず天を仰いだ。
「しつこすぎんだろ、あいつら……なんか呪いのアイテムでも回収してんのか?」
「まあ、そこに関しては偶然でしょうね。今回の件に関しては、レグルス側が前々から水面下で動いていたようです。ただ──これは逆に、大きなチャンスでもあるのですよ?」
「……なんで?」
「何でって……分かってください、潤。いくらレグルスが財閥クラスの巨大企業でも、AI開発となれば、数十億単位の資金が必要になります。その計画に揺らぎが生じれば、受けるダメージは決して小さくありません」
「へえ……でも、それだけで止まるとは思えないけど」
「それだけではありません。我々がこれまで積み重ねてきた小さな妨害と損害。あれらもすべて積もれば、確実にレグルスの足元を蝕んでいるはずです」
「──で?今回はどうすんだよ?」
俺の言葉に、リアは珍しく肩をすくめた。
「ええ……“厳しい”の一言に尽きます。やり方はどうあれ、現時点での法案は形式的に“合法”とされており、違法性を訴えるには根拠が弱すぎる」
「……告発したらいけんじゃね? “これは明らかに汚職だ”って」
「残念ながら──」
リアは静かに首を振る。
「現時点で我々が掴んでいる情報も、あくまで憶測を含めた“状況証拠”の寄せ集めです。これで訴えたとしても……証拠不十分で不起訴、もしくは民事で争うにしても──5年以上の長期裁判となるでしょう」
「……それは……ムリだな……」
「ええ。我が社の財力では到底戦い抜けません」
俺は、深く深く、吐き出すように息をついた。
「……何だよ、それ……結局、金持ちは何やっても許されんのかよ……」
「ええ。悲しいことに、それが今の日本の現実です」
その言葉に、俺は思わず拳を握りしめる。
──だが。
「……ですが」
リアの目が細く鋭くなる。
「私が警察を辞めて、あなたの元に来た理由……正攻法では倒せない“悪”を倒すため。その信念に変わりはありません」
「正攻法じゃない……?」
俺は眉をひそめる。
「なんか怪しい雰囲気しかないんだけど……? というかお前が言うと“合法な範囲で戦います”じゃなくて、“正攻法以外は全部ありです”に聞こえるんだけど」
リアは、ポケットから無言でリモコン型のスイッチを取り出し──
カチッ。
「ひゃいっ!?」
突然どこかから短い悲鳴が飛んできた。
「うおっ!? 何だ今の声!?」
俺が振り返ると、カーテンの陰からイヨがしゅるっと顔を出した。
「てかお前……いつからそこに!? っていうか、そもそも他のメンバーと一緒に逃げたんじゃなかったのかよ!?」
「うぅ……つかまりました……」
うなだれるイヨ。
──って、おい、何してんだよリア。
「この状況を打破するには、彼女の“特技”が必要ですので。少々、強引な召喚でしたが」
「今までのが全部地味に怖いんだけど!!」
──俺はまだ仮眠から完全に目が覚めてなかった気がする。
会議室。円卓にヒロインズとイヨが集まっていた。
「で? 作戦とかあるんですかぁ〜」
ユズハが足を組んで問いかけると、エンリが静かに立ち上がり、ホワイトボードに文字を走らせる。
「作戦決行は2日後の土曜日……その日は、矢野がホテルに予約を取っているとの情報を得ています」
「んん?今サラッと犯罪的な単語聞こえた気がしたけど?つまり居ない間に忍び込んで……データ、消すって……こと?」
ユズハが眉をひそめる。
「はい。そして同時に、土曜の夜──Abemoにて“AIと未来を若者と語る”という討論番組が放送予定です。そこに、この法案の立案者である鳴海議員の出演が決まりました」
「それってまさか──」
「はい。番組内で、彼に“次回の審査では公平性を重視し、一部メディアの立ち合いを認める”という発言を引き出します。つまり、再検査と透明性の演出をセットで成功させます」
「えっ……番組中に発言を“誘導”すんの?ガチで?」
「ガチです」
「エグいってレベルじゃない……で?各自の役割は?」
⸻
エンリがさらさらと分担を書き出す:
•潜入班:潤、イヨ、ミリー
•討論番組:リア、ユズハ
•全体バックアップ:カエデ
•陽動担当:ノア、エンリ
⸻
「私とノアさんは、バスにて“皆さんと出掛けるフリ”を行います。万が一、レグルス側が警戒している場合を想定して──」
「いやいやいや!いくらなんでも、それはバレるだろ……」
潤が頭を抱えると、ノアが胸を張る。
「ご安心ください、潤様。髪型、猫背、身長に至るまで忠実に再現した“潤様人形”を、私が作成しました」
「ちょっと待ってくれ!?今……今すごいこと言ったよね!?」
「しっかり実寸で制作しました」
「実寸って何!?なんでそんな堂々と言うの!?」
「ちなみに……」
ノアはポーチから写真を取り出す。
──“潤が体育座りしてる姿の1/1スケールぬいぐるみ”が写っていた。しかも服まで同じ。
「なにその自信に満ちた表情!やめろぉ!しかもポーズがやけにリアルなんだけど!?ねぇ、それ俺の私物参考にしたよね!?」
「えっ……その人形って、抱きしめたら“じゅんくんのにおい”もするのかなぁ……?」
ミリーが無邪気に呟く。
「ミリーさん、それは……私の潤様成分です。勝手に抱きつくのはおやめください」
ノアがスッと前に出る。
「えー?いいじゃーん、後でクンカクンカさせてくださーい♡」
ユズハが悪魔のような笑みを浮かべる。
「お断りします。潤様を模した物は、私だけが──」
「はいストーーーップ!!!」
潤が机をバンッと叩く。
「今それどころじゃないからな!?どこまでが実寸なんだよ!!」
「さぁ皆さん、2日後が作戦決行日です。準備を怠らずに……」
「俺の質問に答えてから終われえええええええええええ!!」
あとがき小話
作者『ツバキさんも魔法少女やってみる?』
ツバキ『……は?』
潤(おい待て作者……!今、地雷をフルスイングで踏みに行かなかったか!?)
ツバキ『私は“魔法少女”などという精神年齢が迷子な存在に、何の憧れも抱いておりません』
作者『じゃあ魔法執事でもいいよ?』
潤(発想の軌道が大気圏を突き抜けてんだよ!)
ツバキ『……“執事”とはつまり、主に忠誠を誓う立場。つまり、私にひれ伏せと?』
潤『いやそこじゃねぇ!!解釈歪んでるって!!』
ミリー『ねぇねぇ〜じゅんくん!ミリーは魔法少女だよっ!衣装はピンクとハートで、キラキラで、あとあと──』
カエデ『ウチはスパッツにしてな!あと武器は金属バットな!』
ユズハ『へぇ〜?じゃあ私は“闇堕ち魔法少女”ですかね〜♡ ギャル魔法で魂ごと誘惑しちゃう系〜?』
リア『“少女”の定義について議論する必要がありますね』
エンリ『では私は、世界を浄化する母性系……ヒール特化魔法少女で』
ノア『潤様、私は変身せずとも潤様のために戦います。衣装も変えません』
潤(もう黙ってたら“バトルドレス選抜会”始まってたんだが!?)
作者『じゃあまとめてチーム組もうぜ!その名も──』
\《魔法破壊乙女団★ダークエレガンス∞(インフィニティ)》/
潤『名前が呪文じゃねぇか!!!』