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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
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第192話『俺、ユズハが壊れるのを横目に俺も壊れる』


作者『あのさ、ガーリックシュリンプあるじゃん?』


潤『ああ、あのエビとかジャガイモがオリーブまみれになってるやつな』


作者『そう!あれ超好きなんだけど……』


潤『わかる、プリプリのエビににんにく香るやつな』


作者『あれさ……白米にバジャーッ!!ってぶっかけて食べてみたい』


潤『……は?』


作者『バジャーッ!ってね。炭水化物 on 炭水化物!』


潤『馬鹿野郎ッ!死に急ぐな!胃袋の寿命が縮むぞ!!』


──時は遡り。

実機テストの翌日。

俺は、悪徳リクルートエージェント社の応接室で──


 


「……あのタヌキィがぁぁぁぁぁッ!!」


机をバンッと叩きながら、叫んでいた。


珍しく──というほどでもないが、いつにも増して吠えていた俺の姿を見て、

斜め向かいのソファから声が飛んでくる。


 


ユズハ「おやおやぁ? 先輩が珍しく激おこですね〜♡」


潤「珍しくないわ!! ってかあの試験、どう見ても仕組まれてただろ!?

まるで“落とすためにやった”みたいな内容だったじゃん!」


ユズハ「だったらぁ〜? いつもみたいに“えいやっ♡”ってやっちゃえばいいんじゃないですかぁ?」


潤「その“えいやっ♡”がどれだけ重いか、お前知らねえだろ……! でもまあ──」


潤「やるか!? 行くか!? あのタヌキ野郎を────ッ!!」


 


立ち上がり、拳を握った瞬間──


 


パシィン!


 


「ッいてぇ!?」


 


リア「落ち着きなさい、潤」


背後から、冷静に──そしてやや本気気味の“ツッコミビンタ”が炸裂した。


振り返ると、そこには腕を組んだリアがいた。

氷のように冷静な眼差しで、こちらを見据えている。


 


潤「ちょ、リア!? ビンタはやりすぎじゃね!?」


リア「相手は“制度の執行者”です。ルールと法律上、表面上は“正当な審査”を行っただけ。

倫理的には問題があっても、法的には立証が困難です」


潤「……じゃあどうすんだよ。俺たち“泣き寝入り”ってやつ?」


ユズハ「そうですよぉ〜? このままだと、み〜んなで仲良くマッチ売りですよぉ?」


潤「ちょっと待て! 俺まだマッチ売ったことないけど!?」


 


リア「……はぁ。なぜ例えがいつも貧困方向なのかはさておき。

いいですか? 今回の件、“法案の進行スピード”が異常です」


潤「……は?」


リア「通常、こういった産業規制系の法案は、審議と審査で半年以上かかるものです。

それが今回は、わずか三ヶ月で“提出・可決・施行”まで完了している」


ユズハ「えぇ〜じゃあ……誰かが超急いでたってことぉ?」


リア「ええ。そしてそのタイミングに合わせるように、Neulogic社のAIがリリース予定──

偶然にしては、出来過ぎていると思いませんか?」


潤「……いや、偶然じゃね? たまたま重なっただけとか──」


リア「あなた、もう少し疑うことを学びなさい」


潤「す、すみません……」


 


リア「すでにエンリと連携して、法案提出経緯や関係団体との接触記録などを調べています。

そして──」


 


リアは机の端にあった厚みのあるファイルを、ドサッと俺の前に置いた。


 


リア「──これが、現時点での“関係資料”です」


潤「え、うわ、ちょ、待って!? これ全部!? いや、俺その、要点だけとか……?」


リア「何を言っているんですか? これから“その要点”を探すんですよ」

「あとユズハ、あなた今日“非番”でしたよね? 逃しません」


ユズハ「ひえっ!? え〜でもぉぉ〜私ぃ〜スパの予約がぁ〜〜〜!!」


リア「解約してください」


ユズハ「リアさん冷たいぃぃぃ!」


 


──こうして俺たちは、分厚い資料の山と格闘することになった。



──それから、8時間後。


 


俺たちは──地獄を見ていた。


 


白目を剥いて机に突っ伏し、震えながら“カタカタカタ……”と意味不明な擬音を発しているユズハ。

資料を束ねたクリップを指先でカチカチしながら、完全に精神を異次元に飛ばしている。


俺? 俺も大差ねぇ。

目は乾くわ、腰は死ぬわ、脳はもうPDF見るだけでエラー吐くわで、

椅子に体を溶かしながら半目で呟いた。


 


「お前……まだ意識あるか……?」


ユズハ「……ハートを……燃やせ……」


潤「死んだな、こいつ」


 


──そして、唯一。


唯一人、まったく表情も乱さず、背筋を伸ばして資料をペラペラと読み進めているのが──リアだった。


 


潤(お前何なんだよ……サイボーグか? 情報を主食にしてんのか……?)


 


そのときだった。


 


──ガチャ。


「皆さん、お疲れ様です」


エンリの声で振り返ると──

彼女の手には、またしても“資料の束”が握られていた。


 


潤「……マジかよ……」


ユズハ「……ま、まだぁ……?」


俺たちは揃って椅子にもたれ、現実逃避しかけていた。


だが。


エンリの顔は、これまでで一番険しかった。


「……内容は“決定打”ではありません。ですが、違和感の残る箇所がありました。

レグルス傘下の一部部署に、倫理機構から過去に出向していた職員がいる記録──

そして、矢野代表の親族が“とある投資部門”と接点を持っていた可能性があります」


リアが目を細める。


「……微細ですが、興味深いですね。追って深堀りの価値はありそうです」


潤「つまり……まだ繋がってはいないけど、匂いはしてるってことか」


リア「はい。となれば、やることはひとつです」


 


──再び、調査が始まった。


エンリが残していった資料と、社内で集められた監査データ。


矢野・鳴海・レグルス──それぞれの行動履歴と周辺情報を突き合わせる、地道な作業。


 


ユズハ「ぐはっ……見ろ潤先輩……文字が……分裂して踊ってる……」


潤「俺の目はさっきから“日本語のはずなのに意味が分からない症候群”にかかってる……」


 


その横で、リアはまったく疲れた様子も見せず、

ひたすら資料を読み込み、整理し、照合していた。


(やっぱこの人サイボーグだわ……)


 


──そして、朝。


夜明け前の青白い光が、窓際を照らす。


机の上は、メモと資料とコーヒーの空きカップで埋まっていた。


 


その時、リアの指が止まる。


「……ありました」


全員が顔を上げた。


「倫理機構の広報資料と、議会提出の答弁記録──

それと、レグルス系列の出資報告書をクロスチェックしたところ……」


リアは、一枚の紙をピンと引き出した。


「“倫理機構が推奨するAI倫理フレームワーク案”──

実はこれ、レグルス傘下の“投資部門”が関わる外部研究所が起草に協力していたようです」


潤「つまり……?」


エンリが補足する。


「制度設計の段階から、すでに“関係者”が入り込んでいたということです」


 


そして──


リア「鳴海議員は、この案を“未来社会の基準”として採用すると明言しています。

この構造でAI市場に“制度の外堀”を先に作った上で、

自分たちだけが“認可済みAI”を出せるようにする──

……これは、封鎖です」


潤「……繋がった、ってことか」


リア「はい。倫理、制度、政治、そして企業。

そのすべてを使って、Neulogic社を市場から排除する構造が──

“最初から仕組まれていた”」





「……っしゃあああああああああああ!!」


思わず、叫んでいた。


 


「うぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!キターーーーー!!!」

隣でユズハがノートを抱えて奇声を上げる。


──夜明け前のオフィスに響く狂喜の声。

完全にテンションがおかしい。いや、理性が吹き飛びかけてる。


 


「リア!!あったぞ!やっと見つけた!突破口だ!!!」

「まだ油断はできませんが……ようやく、希望が見えてきましたね」


リアの表情もわずかに緩んでいた。けれど──


 


「……まずは休息ですね。二人とも、目が虚ろです」


「やだ、寝たくない!寝たら忘れる!」


「なんでだよ!?」


「でも先輩、すぐ行動に移したら足元掬われますよ?」


「……うっ……」


 


「大丈夫です。逃げません、真実はそこにありますから」


「うぅぅぅ……リアさん優しいぃぃぃぃ……」


「寝ろ」


 


──夜明け。

俺たちは、ようやく“戦うための地図”を手に入れた。


……まずは、仮眠からだが。


あとがき小話

討論回「潤はカッコいい主人公か?」


 


カエデ『はいは〜いっ!今日のテーマはコレやで〜!』


カエデ『潤くんは、果たしてカッコいい主人公なんか!?どやっ!?』


潤『いやテーマ酷くね!?というか、お前が司会で俺が裁かれる形なの!?』


作者『正座して。』


潤『なに!?なんでお前まで敵側なの!?』


 


カエデ『そもそも潤くんって、戦ってる時はちょいカッコええのに、

日常になるとすぐテンパるやん?

ノアちゃんに迫られたらフリーズ、

ユズハちゃんに煽られたら赤面、

ミリーちゃんに甘えられたら泣きそうな顔なるし──』


潤『……やめて?なんかグサグサくるんだけど!?』


カエデ『しかもこの前、ウチが「潤くんはウチのんや!」って言ったら

「待ってこの状況まずい」って言いながらドアに小声で謝ってたやろ?』


潤『あれは!ノアの気配がしたから!生命の危機だったんだよ!!』


作者『そしてその結果──

“潤くん、毎日命がけで出社してる説”が生まれたんですよね(ドキュメンタリー風)』


潤『黙れ作者!!!今そういうノリじゃねえ!!!』


 


カエデ『じゃあ聞くけど、潤くんって“ここぞ”って時にキメ顔したことある?』


潤『え……いや……それは……』


カエデ『あかんあかん、それ即答できん時点で……』


潤『でも俺、たまには……ほら、スキルで助けたりとか、

命張って動いたりしてるじゃん!?』


カエデ『うんうん、そっちはええねん。

でも潤くんって──キメ顔のあと転ける系やん?』


潤『たしかにィィィィ!!!?!?!?』


 


作者『というわけで、

潤が“カッコいい主人公”かどうかは……!』


カエデ『ウチらの庇護欲とツッコミ魂で成立してる系やね♡』


潤『俺の存在、ヒロインのボケと暴走で維持されてたの!?』


 


最終結論:

潤は──“カッコいい(こともある)”、

でも基本“カッコつかないから可愛い”。



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