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才能奪って成り上がる!無職の俺がヒロイン達と社会を支配するまで  作者: pyoco
第3章『初心者の作者が本気出すでしょう』
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第186話『私、このままでいいのかな?』

作者『冷凍パスタが凄すぎる!』


潤『最近のは安くてうまいよな。何よりお手軽』


作者『そうそう、結構種類もあって、休日は大体朝昼分として1個食べてます』


潤『朝昼1食?足りんのかよ?』


作者『あとは……プロテイン?あれも最近うまいのよ……それとクレアチンと……』


潤『それ、食事っていうか……トレーニングしてる人のサバイバルセットじゃねーか!?』

潤(なんか俺の知らんところで、作者が“筋肉寄り”に進化してやがる……)

──Neulogic社・本社フロア


朝のオフィスに、低くざらついた声が響いていた。


 


「でさー、俺……思うんだよね。潤って奴、マジでうちの製品だけ持ってこうとしてんじゃねぇかって」


 


そう言って鼻で笑ったのは、若手技術職の三橋。


 


「だってさ、名前からして“悪徳”だぜ?もうアウトじゃん。

 あれで信頼しろってのが無理ゲーって話」


 


「わざわざこの死にかけの会社に手差し伸べてきた時点で怪しいよなー。

 慈善事業じゃないんだし」


 


「でしょでしょ?だからさ──俺、マイ社長に会ったらガツンと言ってやるつもりなんだわ」


 


「『責任とってくださいよ?』ってな」


 


「「うわぁ〜〜!それ超カッコいいっすわ!」」


 


「いや俺はムリ。マジ無理。社長に意見とか死にに行くようなもんだし……」


 


そんな“飲み会テンション”の会話の横を、ヒールの音が鋭く切り裂いた。


 


「──コホン」


 


浅川が冷ややかな目で立ち止まり、咳払いだけで空気を変える。


 


「あなた達……いい加減にしてください」


 


「やっべ……出たよ秘書の人……」


 


「さーっ!仕事仕事〜〜っと!」


 


「おい!逃げんなって!……チッ」


 


取り残された三橋は、明らかに不満げな表情を浮かべたまま浅川を睨み返す。


 


「でもさ、実際どうすんの?

 ──開発、もう完成目前なんだぜ?この段階で“内部不祥事”とか洒落になんねーだろマジで」


 


「マイさんも……全力で動いてるわ。

 だから今は信じて、それぞれの作業に集中するべきよ。

 完成まで、あと一歩なんだから」


 


「だからこそヤバいんだよ!!

 このタイミングで難癖つけられて、“潤”とかいう間抜けに全部持ってかれるとか──冗談じゃ済まねぇっての」


 


「…………それは……確かに、否定できないけど……」


 


空気が一瞬、重く沈む。


 


そんな中、穏やかな声が割って入った。


 


「──こらこら。二人とも、あまりそういう会話をしてると……

 他の社員の士気に関わるんじゃないかな?」


 


穏やかな笑顔を浮かべて現れたのは、財務担当役員・榊原彰人。


 


(Neulogic社の金の番人──幾度となく資金繰りを立て直してきた、実務の要とも言える男だ)


 


「今が一番大事な時期だろう?そういう空気が蔓延してしまえば、

 “完成目前”だったはずの開発すら崩れるかもしれない」


 


三橋は舌打ちしそうな勢いで唇を噛み、なおも不満を押し出す。


 


「で……でも榊原さん、現実的に考えて今回の件、どうすんすか?

 言っちゃ悪いですけど、俺たちからすりゃ完全に爆弾っすよ」


 


榊原は一瞬だけ視線を伏せ、静かに答えた。


 


「今回の不祥事は、財務を預かる私の責任でもある──そう考えてるよ。違うかい?」


 


「いやいや榊原さんは、社長と違って本当にヤバかった時に何度も新しい融資先見つけてきたじゃないっすか!

 何度、あんたに救われたことか……」


 


「……それを言うなら──今回の資金調達は、マイ社長と潤さんの尽力によるものだよ。

 彼らが動いてくれなければ、今こうして開発を続けていられる環境すら無かった」


 


三橋「………………」


 


榊原は声のトーンを変えず、しかし一段階強く締めくくる。


 


「さ、仕事だ。私もそろそろ今回の件について、話をしに行かなきゃいけない」


 


「──浅川さんも、社長のもとへ向かうところだったろ?」


 


その言葉に、浅川は無言で小さく頷いた。

一度、マイに対して口を開く覚悟は決まっていた。


──ただし、その先に待つのは

“会社を、誰が裏切ったのか”という現実だ。

 

 



──────




──Neulogic社・会議室。

ガチャ、と静かに開かれたドアから、浅川が一礼しながら入室する。


 


「失礼します──」


 


「……浅川ね。ええ、入って頂戴」


 


マイの声が響く。

会議室にはすでに幹部たちが揃っていた。ピリついた空気の中、全員が椅子に背筋を伸ばして座っている。


 


「遅れて申し訳ございません」

浅川が緊張した面持ちで頭を下げる。


 


「いやいや、気にしなくていいよ」

幹部の1人が手を挙げるようにして応じた。


榊原も少し遅れ会議室に入る

「皆、集まってくれてありがとう。……本日は、財務を預かる私から話があってね」


 


幹部の一人が口を開く。


「榊原さん、大丈夫ですって。少しぐらい遅れたからって、あなたを責める人なんていませんよ」


 


「いや、それでも先に言わせて欲しい」


榊原は立ち上がり、深く頭を下げた。


 


「──今回、私が管理する財務部門において、不正会計の疑惑が浮上したこと。

 まずは、それについて皆さんに謝罪したい」


 


「頭を……頭を上げてください榊原さん!」

別の役員が慌てて席を立ちかける。


 


「あなたのおかげで、今まで何度この会社が救われたか……今回の件は“起きてしまったこと”でしょう。

 仕方ないんです、なあ、みんな?」


 


幹部たちはうなずき、場を和ませようと笑顔を見せる。


──だが、その空気を凍らせたのはマイだった。


 


「……榊原さん、頭を上げてください」


 


マイの声は静かだが、場を締める鋭さがあった。


 


「これはあなた一人の責任ではありません。社長である私にも、明らかに管理不足があった。

 ──ただし」


 


マイの視線が全員をなぞる。


 


「今回の件は、我が社にとって致命傷となりかねません」


 


「浅川。資料を」


 


「はい」

浅川が即座にプロジェクターを操作し、スクリーンに複数のスライドを表示する。


 


「……現在、我が社Neulogicは、外部からの資金援助──

 主に“悪徳リクルートエージェント社”からの出資および、銀行からの融資見込みにより、経営を維持しております」


 


「開発中のAIは9割以上が完成しており、残りは市販化に向けた調整段階。

 ですが、この段階こそ──莫大なサーバー維持費・販売戦略・広告投資が必要です」


 


「それらの費用の大部分は、外部支援と銀行の融資に頼らざるを得ません。

 ……銀行審査は通過目前ですが、まだ確定ではありません」


 


浅川の声に、幹部たちがざわめく。


 


「──そして今回、その銀行への資料において不正な資金引き出しの痕跡が見つかりました」


 


「この事実が外部に漏れれば、融資の白紙撤回はおろか、

 最悪の場合──他の出資企業に我が社のAI技術が“買い取られる”形で失われるリスクがあります」


 


会議室の空気が、凍る。


 


だがマイは、息を詰める空気の中で、凛と続けた。


 


「だからこそ、私たちは即座に“管理体制に問題はない”と証明しなければなりません。

 ──つまり、犯人の特定が急務です」


 


「…………!」


 


役員が思わず立ち上がる。


 


「待ってくださいよマイ社長。それってまるで……

 まるで俺たちの中に**“横領した裏切り者がいる”**みたいな言い方じゃないですか?」


 


どよめく室内を、マイが切るように進める。


 


「……ええ。私は“横領”だと判断しています」


 


別の役員が眉をひそめて反論する。


 


「……つまり、それって“役員の誰か”か、榊原さんとこの部下──

 あるいは浅川くん、マイ社長……あなた自身?ってことですか?」


 


さらに別の幹部が便乗する。


 


「というか、“潤”って人間も怪しいだろ?

 社内で噂になってましたよ。ウチの技術を持ってこうとしてるって──」


 


不穏なヤジが飛び交う中、場の流れを断ち切ったのは榊原だった。


 


「──まぁまぁ、皆さん」


 


榊原はいつもの笑顔を崩さず、ゆっくりと場をなだめる。


 


「こういう時こそ冷静にいきましょう。

 幸い、今回の額なら多少の修正で帳簿上の処理は可能です。

 大切なのは“誠実な姿勢”です」


 


「警察と連携し、外部に対して我々は全力で解決に努めていると示す。

 ──それで審査は乗り切れる、私はそう考えています」


 


緊迫した会議は、やがて榊原の言葉に引っ張られる形で「警察との合同捜査」方針へとまとまっていく。


 


だが──


 


──会議後。社長室。


 


ブラインド越しに日差しが射し込む静かな部屋で、マイは背もたれに体を預けていた。

珍しくその肩は落ち、目元には疲れが滲んでいる。


 


「……はぁ」


 


深いため息のあと、マイは浅川に視線を向けた。


 


「このままでは……確実に審査は通らない」


 


「浅川……私は、どうしたらいいのかしら……?」


 


その言葉に、浅川は何も言わず──ただ、黙って唇を噛みしめていた。


 


沈黙だけが、部屋に残る。





あとがき小話


作者『ここから3話のタイトル──誰目線か当てて見て』


潤『当てて見てって何だよ!そんな堂々と読たんに“考えてみてー”なんて言う作者居ねーよ』


作者『だって……色んな思い込めて書いたタイトル見て欲しいんだもん〜ぷー(*´・ω・)』


潤『ぷーって何だぷーって……で、正解は?』


作者『ありません!』


潤『くそがーーーーーッ!!』


──ってことで、読たんの勘に頼る全力クイズスタートです♪

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